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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
準備期間編
3/73

第3話 楽しく甘美な快感

 ディスティニーブレイブⅢの主人公は4種。

 男性2パターンと女性2パターン、この中から1人選べるのだ。

 これらの共通点は花。

 花の名前・色と花びら...そんな感じ。


 そして目の前にいるカメリア・レッドペタル...椿の赤い花びらの名を持つ彼女もその主人公の一人。通称メリー。

 ご丁寧に主人公によって展開もある程度変わる、そしてこの世界はカメリアルート!


 だが待て、カメリアルートでこんなストーリーあったか!?

 いやなかった!

 これぞ現実ってやつかぁぁぁぁ....面白ぃっ!!!

 あああああああ興味が湧いてきた!

 目の前にいるのがあの主ッ人ッ公ッ!!!

 それはつまりご近所である私の行動がミリ単位で未来に影響する事!!!!

 物語介入はすでに始まっていたあっ!!!


 「...あの、サラ...さん?」

 「...へ?あ、ごめんなさい!えーとこちらこそよろしくおねがいします!」

 「それでは私達は家の整理もありますのでこの辺で。今後ともよろしくお願いします。」

 「サラさん、ばいばーい!」


 ...まさか向こうから介入して来るなんて。

 あああああゲームと現実!!!

 前世じゃあり得ない甘美な現実!!!!

 夢でも幻想でもないっっっ!!!


 あは..あははははは!!!

 あーっっっっはっはっはっはっは!!!



ーーーーーーーーーー


 さて、私がカメリアルートで生きているのがわかった以上それに合わせた計画が必要だ。

 4主人公の中でカメリアルートの特徴は魔物の襲撃が多い。実際カメリアも幼い頃に友達が魔物に殺されたという設定がある。だとすりゃいくら6歳児の体であっても色々鍛えなくてはいけなくなった。

 畜生、ローズルートの災害多発よりはマシか...。

 (説明しよう、ローズルートとは男主人公(その2)のルートの事であり、冒険中の自然災害回数が少し多いのだ。お陰でタイムアタックが4主人公中最難関。)


 そんなわけで私は近頃木登りやかけっこ、出来る限りなどを多くした。ただしあくまで子供として出来る範囲。変に超越した事をすれば不気味がられるのがオチだ。騎士団を目指す女の子として今は生きることが最優先事項。

 

 「サラはすごいな、同年代の子達よりも体力も多くなってる。」

 「ええ、あの子の将来が楽しみだわ。」


 さすがゲームの異世界、前世だったら危険な仕事はやめろ言われるのにこの世界はそもそも危機がなん度もあるからそういった役職を目指してもおかしい点が無い。


 ケヒヒッ...あっはははは!!!

 前世はスリルある仕事したかったけどこんな世界じゃスリルが隣り合わせ!!

 いい世界だッッッ!!!


 「ねえサラちゃん!かけっこしよ!」

 「...へ?ああ、いいよ!」


 今はすっかり3月、来月にはようやく地域学校に入学だ。あーやっとだ。

 カメリアことメリーとは仲の良い友達として今は過ごしている。


 ...数年後、私色に染まる世界で生きる事を知らないままね♡


 「それじゃ...あの木にどっちがさきにつくかきょうそうしよ!」

 「まけないわよー!」

 「よーい...ドン!」


 容赦のない完璧なスタートダッシュ。

 悪いなカメリア、結構鍛えてるこの私の足に追いつくことは...は?


 「んんんーーーー!!!」

 「ふぁあ!?」


 予想外の事態が起きた。

 カメリアからほんのり淡いピンクの光が溢れ、私を追い越してゆく。

 負けた...だと!?


 そうだここになって思い出した。

 4主人公の設定上部、彼らは小さい頃から魔法に才能がある。

 ...これだ、そうだよコイツらには魔法の才能がある。

 それもクッソ高い!!!


 「す...すごいよメリーちゃん!それはマホウだよ!」

 「え、ええ?」


 ...チャンスだ。

 魔法は本来大きくなってからじゃないと上手く扱えないが、コイツから感覚とかを教えて貰えば案外少しは...。


 「それ、どうやったの?」

 「わ、わかんない!はやくはしりたいっておもったの!そしたら...少しずつはやくなったの!」

 

 だとしたら今のは走力の加速魔法[アクセル]に違いない。

 おそらく元からある魔力がカメリアの強い意思によって引き出された...そう言った所だろう。


 ...私の魔力がどれほどあるかは知らない。

 だが...ちょっと試してみたい。

 早く...走りたい...!!!


 ...。


 何も起こらねえなああああ!!!!!


 「...メリーちゃんは凄いよ。」

 「わ...わたしが...!」

 「うん!」


 ...まぁ、今私が目立っても意味がない。

 ここはおとなしく学校で習う時を....



 「ジュルルル...カチチチチチッ。」

 「!?」


 木の方から嫌な音がした。

 

 「っ魔物....!?」


 それはとても大きな蜘蛛。

 1mもあろう大きな蜘蛛。


 やばい...不意を取られ...


 「サラちゃん!!!!」


 気づけば地面に転がっていた。

 冷たくも生温い液体が頭や腕から流れているのを感じる。


 ああ...血だなこれ。

 凄い、ダラダラ流れてる。

 痛い。

 血が止まらない。

 前世ではこんなの無縁だった。


 こんな...


 「サラちゃん、サラちゃん!!!」


 こんなぁぁ....


 「ガチチチチチッ....!!!」


 こぉんなぁ.....


 「面白い事........初めて♡」

 「え...?」


 蜘蛛の顔に石がめり込む。

 蜘蛛は体液を吹き出し硬直する。

 その場にあった石を投げのだ。

 蜘蛛の顔は半分潰れた。


 近くにあった尖った石を持って蜘蛛に向かって歩く。


 その顔は狂気。


 6歳児でありながら悪魔のような笑顔。


 恐怖を一切持たない姿勢。


 死という恐れを何一つ見せていない...いや持っていない。


 カメリア目には悪魔が写っている。

 狂気の笑顔と恐怖の感情が無い、悪魔が。


 「...あはっ。」

 「...!!?」

 「あはっ...あはは...あはははは!!」

 「!?、!?」

 「あっはっははははは....!!!!」


 蜘蛛は虫の息。

 サラは動かない蜘蛛を何度も潰す。

 グチャっと音を立て、ゴリっと石で抉る。

 体液が飛び散る。

 内側を抉り皮を引き裂く。

 一切崩れない笑顔。


 ...恐怖に飲まれるカメリア。


 この後カメリアの悲鳴を聞きつけ大人達駆けつけるもが、そこには...狂気の笑顔で原型が殆ど無い蜘蛛を石で何度も潰すサラの姿だった。



ーーーーーーーーーー


 ...あれ、寝ていた。

 体には包帯、今いるのは自室のベッドの上。

 なんだろう、凄い爽快感がする。


 「サラ!!!」

 「わっ、おかあさん!」

 「良かった...良かった!!!」

 「目覚めたか、サラ!!」


 しばらくして私は昨日...蜘蛛の魔物が現れた際の事について聞いた。


 周りの大人達はあの蜘蛛...クレイジースパイダーの毒で私の感覚が麻痺したのだと思っていた。

 それも恐怖の感情が麻痺を起こし、凶暴化していたのだとか。

 何も覚えていない....、


 

 そう言った。


 ....あはっ。

 嘘に決まってる、そんな事くらいはっきり覚えてる。

 あれはあの蜘蛛の毒なんかじゃ無い。

 大人って信じられない事に対して色々補完したがるよね。


 そして気づいたことがある。

 カメリアの設定に書いてあった、幼き頃に亡くした友達についてだが...


 間違いなく私、サラである。


 ストーリー中の会話を思い出した。


 [6歳の頃...友達が魔物に襲われ死にました。]

 [もうあんな悲劇を繰り返したく無い。]


 ...と。

 

 

 あっっっっっはぁぁああ......!!!!!


 なんということでしょうッ!!!


 私の手で!!!!


 とうとう私の手でッ!!!!


 物語を!!!!


 歪ませ始めた!!!!


 介入し始めたのだ!!!!!


 最っっっっっっっ高!!!!!


 快っっっっっっっっっっ感!!!!!


 あああああああやってしまった!!


 これで私は明確なイ レ ギ ュ ラ ー!!!!

 

 あーーーーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!

その笑顔、狂気そのもの。

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