第26話 テメェ見ているなッ!
翌々日、
「...という感じだ。サフラ、お前には引き続きクチナシの役になるが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ部長!ドーンとお任せください!」
セミの鳴き声響く外、
冷却魔法で程よく冷えた部室で私達は次の劇の打ち合わせ。以前代わりに担当した邪神クチナシの役が大人気となり、今回は例の勇者物語の魔王軍目線を中心としたお話をしようという事でまた任されたのだ。
正直目立つ目立たないの件は吹っ切れたので今まで以上に役に力を込められる、最近入院してた身だけど準備は万全だぜヤッフー。
「次の公演は夏季休暇の3日目以降から始まる、加えて特報だ。今回はなんと国王様や御貴族様までいらっしゃる。」
「!?」
一同が当然ビックリ驚くする。
「その中でも当然ながら....サフラ!」
「へい!!!」
「お前はお偉いさん方に特に注目されているのはわかっているな?」
そりゃそうだわ。
新入生がいきなり物語の3大目玉キャラの一角になったんだぞ。自分で思うもあれだが高レベルの演技で。
以降も公演ですげぇ頑張ってた、第一学年なのに全舞台に出てる。そうなれば注目されて当たり前だ。
「そういう訳だ、頑張ってほしい。俺たちもサポートするからな!」
「私...素晴らしい後輩持てて嬉しいわ!やはり貴方に邪神役を任せて正解だったわ...!」
おおぅ、堅物女子のリップ先輩が涙流してる...。
「さて、練習を....む!?」
「誰?」
「!」
部長と私が何かに気づく、ソイツは私達に気づかれた事で逃げた。それも足音も無く颯爽と。
「悪い予感がします、部長ごめんなさい行ってきます!」
「おう、気をつけろよ!」
なんの疑いもなく送り出すのもおかしい気がするが...まいいや。逃げたのは男、廊下にいる生徒を華麗に避けながら走り逃げてゆく。
ていうか速すぎる、全然追いつけない。
『今の...只者じゃないのぅ。』
「ああ、私でも追いつけそうにない。」
認識阻害っていう存在感を薄くする魔法を使っているのか、相手の姿を上手く捉える事が出来なくなってきた。
「あああ待ちやがれーーーー!!!」
「!」
うわっ!?
風を吹かせる魔法使ってきやがった鬱陶しい!
どっかの教室に入られたら見失ってしまうくっそーどうしたら...お?あれは!!!
「会長副会長ソイツを止めて!!!!!」
「ん?」
「...誰か来る、認識阻害か!」
「「でやあああ!!!!」」
偶然出会った生徒会長リンドと副会長キリス。
彼らに逃げてるソイツを止めるよう頼んでみれば認識阻害をあっさり見破り、リンドはソイツに足をかけつまづいたところをキリスが投げ飛ばした。大理石に叩きつけられるのは痛かろう。
なんて素敵なコンビネーションでしょう、この二人が揃ってる時に喧嘩売るのは自殺と同義だな。
「これでいいかいサラちゃん!」
「はい、ありがとうございます!」
「うう...。」
「誰だお前は、学園の者じゃないな?」
認識阻害が解け、黒色の戦闘軍服に身を包んだ青年が現れた。
「...暗殺部隊か。」
「!、サラさん知っているのか。」
「生徒会長も知っていましたか、まぁ色々ありまして。」
「サラちゃんよく見つけたねこの人。」
「見られていましたので。でもおかしいな...一昨日脅したんだけどなぁ...。」
「「は?」」
私はメモ帳を取り出して、
「撮影魔法[念写]。」
「これは...!?」
「サラちゃん.....これどう言う状況?」
そこに写っているのはシアの子分達が撮った2日前の光景。バッチリ姿が映ってるねー!
「待て、これクフェアじゃないか。」
「ホントだ、何で?」
「クフェア先輩も暗殺部隊ですよ。」
「「は!?」」
流石に他の人に聞かれたらまずいので誰もいない生徒会室へ移動。
「盗聴盗撮阻害の結界を張りました、では説明しましょう。」
私説明中。
「....つまりサフラさんは一方的に見られてた側。英雄エキナ様の力で監視をやめにするよう裏で手を回したのに言う事聞かない派閥が監視をして来たから仕返した...でいいかい?」
「はい、クフェア先輩もその派閥内の者かと。」
写真を見ているうちに気づいた、いや思い出した。
暗殺部隊の服装は[2パターン]ある事を。
ここでこの世界の知識を合わせ纏める。
諜報隠密特殊部隊、通称暗殺部隊は派閥が2つ存在し、
[諜報戦闘員]と[強襲戦闘員]で分かれている。
諜報戦闘員は黒のフード・羽織物が特徴で、主に情報収集を中心とする部隊だ。サソリの時に出会った女性はこっち。
強襲戦闘員は戦闘を中心とする部隊。黒い軍服と真っ黒なプロテクターが特徴的な見た目だ。隠密技術を活かし相手を葬るという、暗殺者の肩書きにピッタリな奴らだ。
一応、諜報戦闘員も高い戦闘技術を持っている。もしその場で何かがあれば即座に行動出来るようにね。
強襲戦闘員は大規模、または強大な敵を騒ぎにならないよう鎮圧するとかそういう役割だ。だからこの前のように集団で行動するのが多いのだ。
「今サラちゃんは学園内の注目の的、過去の偉業も考えると...。」
「別の視点から見れば脅威...というわけか。」
「第一学年でエキナ様を一瞬本気にさせる程の実力を持っていますからね。災いの芽を早めに摘み取るあの派閥ならこの件を起こしてもおかしくはありません。」
「だな、それを証拠に...。」
リンドは男が装備していたナイフ、腕や靴のつま先や踵の針を調べる。
「麻痺毒だ、おそらく君を拘束していた可能性がある。」
「でもサラちゃんって。」
「麻痺毒耐性ガッツリ持ってます。ひとまずもっと詳しい話は偉いさんの前で吐かせます。学園長室へ行きましょう。」
ーーーーーーーーーー
演劇部室
「...という事があった。」
「...サラ、また何かに巻き込まれたの?」
「みたいね。困ったわ、次の休みどこ行くか話し合う予定だったのに。」
サフラを探しに演劇部へやって来たカメリアとスリジャ。しかしそこにサフラの姿はどこにもなく、部長から事情を聞いたのだ。
「とにかく、こっちも何かわかったら連絡する...ん?」
「「?」」
「...皆さん、お時間よろしいでしょうか?」
「クフェア先輩!」
現れたのは十聖の一角にして暗殺部隊強襲戦闘員のクフェア。何やら難しい顔を浮かべている。
「...その顔からして事情があるようだな。」
「はい...。」
クフェアは深呼吸をして.......、
「サフラ・アコニリンは...今、暗殺部隊に命を狙われています。」




