第21話 血の粛清
「....以上が報告となります。」
「ご苦労だったな。...そうだな、」
理事長室にて今回受けた依頼についての報告をするモネ。流石は十聖かつサポーターと言うべきか、報告書はわかりやすくしっかりまとめており重要な点は騎士団にも報告するべきなど理事長とさっきからずっとあれこれ喋っている。
「...です、やはりあの森の見回り体制は一度見直すべきでしょう。出来れば私も騎士団への報告に参加したいと思うのですが...。」
「そうだな、当事者がいるとこちらもありがたい。今日中に行う。」
「はい。」
すげぇー、めっちゃ話進んでる。
「君達もよく頑張った、ありがとう。」
私達は一礼し理事長室を出た。
「はー疲れた。帰ってくればちょうど放課後、さっさと寮に帰って寝よー。」
「その前にお風呂入りなよサラぁ。」
「それとちゃんと食事も。」
はいはい、わかりましたよもぅ。
しかしまぁこれでアイツらが大人しくしてくれると言うならいいもんだ。理事長も多少厳しめだが彼らのような生徒のためのレベリングスケジュールを組んだ授業を追加するそうだ。
それでいいじゃないか、ここはそう言う学園。大した努力をせず見栄張ろうなんてダサいだけだ、才能ある無しに努力する奴はかっこいいんだよ。
私の...お人形さんのように。
「...綺麗な夕日だね。」
「うん、明日はいい天気になりそうだ。」
「そろそろ夏休みだけどメリーはどこか行くの?」
「私はねー、んー...海に行きたいな!大陸の南にある観光地!」
「あらいいじゃない、私も行っていいのかしら?」
「勿論良いよ!サラは?」
二人が言ってるのはChapter.4で訪れる観光地エリアか。あそこの魔物には逃げ足の早い経験値大量魔物がいるんだよね。いわゆるメタルとかはぐれとかそう言うモンスターが。
あのステージ以降からそう言った魔物が現れる、襲撃イベントで紛れ込んでくれば大当たりだ。さっさと行きたいなぁ。
「....サラ、サラ?」
「ん?ああ、私も行きたいな...!」
「決まり!夏休みは三人で行くの決定!!」
「その約束、叶いはしません。」
「っ!?」
後ろの角から男の影、
光る床...これは転移石の!?
「「サラッ!!!」」
ーーーーーーーーーー
転移完了、
その瞬間衝撃波のような魔法を受ける。
催眠魔法がかけられる。
足元にチクッと針が刺さった。
男は私を引きずりながらどこかへ歩く。
男は私が気絶していると思ってるらしい。
気絶耐性あり、
強制睡眠耐性あり、
麻痺耐性あり、
...私には何も効いていない。
「おい、捕まえたぜ。」
「さっさと縛れ!」
「はいはいわか....ぐおわぁ!?」
「!?」
敵は拘束失敗。
学校から少し離れた第三倉庫か、ここ。
「貴様、なぜ動ける!?」
気絶耐性と麻痺耐性は夜中こっそりシアとの特訓で身につけている。強制睡眠耐性はシアが連れてきた知り合い蜘蛛の睡眠毒を分けてもらって何度か試した末ようやく身につけた。
おかげでその度にぐっすり寝れたわ。
え?麻酔が効かなくなるって?
大丈夫、一時的にこれらのスキルを無効化する薬があるから。医療で何かあった時はこれで大・丈・夫!
ってそんな場合じゃねぇ、
「お前ら...例の第五学年か?」
とりあえず焦るような演技で対話。
「そうだ、貴様に邪魔をされた第五学年様だよ。」
他の奴らも現れた、ご丁寧に武装済み。
全員高い所から私を見下ろす、それも殺気のある目で。
「もしかしてサソリの件で?追試受ければなんとかなるじゃないか!!」
「黙れっ!!」
足元に大きな魔法陣が現れる。
こいつは...
「範囲魔法[アイスエリア]。どうだ、寒いだろう?」
アイスエリア...対象の動きを寒さで鈍くさせる魔法。加えて寒さのダメージもある、今の格好じゃ寒くなってしまう。
「貴様の事は探らせてもらった。なんでも派手な魔法が使えない、足音を消す魔法は使えるのに炎魔法は最初級のファイアボールすら使えない。それと君は炎が相手だとその剣の毒を蒸発させ周囲を毒で満たす、なら氷だ。貴様はやり過ぎた、痛い目を見てもらうよ。」
「あなた気に入らないのよ!イキがりやがって!」
「殺しはしねぇ、だが痛ぶってはいいだよなぁ!」
「ボロボロになった後も好きに使わせてもらうぜ?」
「はーっはっはっはっはっは!!」
ここまで腐った奴らだとは思わなかった。
...もういいかな。
「....って感じです、理事長。」
「...は?」
馬鹿かな、眠ってもいないのに私を連れきた時点で妙だと思わないか?何もしてないと思うか?
通信くらい繋ぐなんて朝飯前だし当然だ。
(聞かせてもらったよ、我々学園は後日君達を厳粛に処断するとしよう。)
「もう後は無いか....殺せえええええ!!!!」
見下ろす奴らは私に氷の刃を向ける、
あれは氷柱弾か、まぁ良い技持ってるじゃないか。
こんな事出来るなら魔物討伐に活かせば良かったのに。
それに今も通信中だ....、
「...理事長、みんな、許してください。どうなるかわかりません。」
通信を切った。
....ああ、顔はニヤけてしまう。
合法的にこんな事が出来るなんて。
「大丈夫、死なせはしないから!」
「こ...これは!?」
第三倉庫、
入口を開けると血に濡れた床、
血に染まった奴らの体、
微かな息、
皆死んではいない。
「馬鹿な...なんだこれは!?」
夕暮れの光が窓から内を照らす、
そこには誰かの姿、
血染まる女の子、
血に濡れた刃が夕日で輝く。
「...なんとか生き残りました。」
女の子はただその一言を残しその場に倒れた。
「間違いない...十聖サフラ・アコニリンがこいつら全てを倒した....!」
「おい、早くこいつらを治療しろ!全員生きている!!」
7月6日
この日を以降学園では[血の粛清]と呼ばれた。
ーーーーーーーーーー
7月7日...七夕。
恋愛ゲームなら重要な日だ。
ガラッ
「サラーーーーー!!!」
「ここ病院、静かにして二人とも。」
昨日の件で病院に連れて行かれた私サラ。
どうやら加減してアイツら斬ってるうちに色々魔法くらったようで、治療魔法じゃ治しきれなかったのだ。
「大丈夫!?体なんとも無い!?」
「なんともあるから入院中。」
「体痛くない!?」
「痛いからここで寝込んでるの。」
「サフラさん、大丈夫!?」
「振り出しに戻った。」
「今回は本当に迷惑をかけちゃった...ごめんなさい。」
「モネ先輩が謝る事はありません。アイツら全員捕まったのですからそれで良いです。」
ついでに言えば学内不祥事の被害者として金は貰えるし、あの時の反撃も正当防衛として認められた。ギリギリまで理事長らと通信してたから音声が証拠となった。
加えて奴らが洗いざらい吐いたおかげでもあるがね。
まぁそんなわけで現在強制公欠中。
入院は傷が完治するまで、クソみたいな七夕だ。
「それにしても、まさかこうなるなんてね。今回の件でサラの知名度は善悪関係なく上がったわ、今後何かしらの件で狙われる可能性があるの。」
「だから私達は今後サラを守ってみせます!!大好きな友達としてずっと!!」
「ずっとじゃないくてもいいから...。」
まぁ、七夕一人寂しく過ごすよりはいいか。
サブクエスト[急がば先回れ]...クリア!




