第19話 ブラックで面倒で気怠いクエスト
とある面倒くさい先輩らを止めるため、わざわざクソクエストを先回りで受ける事になった私達。
「理事長から許可は降りたわ。準備はよろしいかしら?」
「はい!!」
※元気な声出してますが内心真っ暗です。
※元気な態度をしていますがすっげぇ気怠いです。
※前向きな姿勢とってますが中身は後ろ向きです。
『主よ、心と言葉が合ってないぞ。』
「言わなくていいの。」
「それじゃ出発するわ、[転移石]を往復分支給されたからすぐに迎えるわ。」
それは二重丸模様で厚さ8mm直径6cm程の青い円盤石。
これは転移石と言うアイテムで、一度訪れた場所を認識すればそこへワープ出来るのだ。ただし使い切りでレアアイテム、転移を覚えれば無用の長物。
「へぇ...それが転移石。初めて見ました!」
「教科書で見たことあるけど…実物を見たのは私も初めてです。」
「画面越s....実物は私も同じです。」
「ならちょうどいいわね、今から使う所をよく見ておきなさい。」
モネは円盤をペキッと砕くと彼女を中心に魔法陣が広がる。
魔法陣の外が白くなり、気づいた時にはどこかの森にいた。
「おお...凄い!」
ゲームと同じ演出だーーーーーーーー!!!!
ひゃっふー便利!!!!!
「こんな一瞬で....!」
「ようこそ、薄明の森へ。ここは薄暗いから普段とは違う魔物が現れるわ。」
モネさんゲームみたいな説明してる...。
「メリーとリズは気を付けて。二人のレベルではこの森の魔物を倒すのはちょっと大変だよ。」
「わかった....ん?なんでここの事知ってるの?」
「え、いや、地理の本で...。」
「それ知ってるわ、この辺りの魔物はレベルが少し高いと書いてあった。」
「そうなのリズ?」
あっぶね。
「サソリは向こうよ、もう一度聞くけど準備はいいわね?」
「はい!」
※サラはさっさと帰りたい気持ちでいっぱいです。
ーーーーーーーーーー
薄明の森
推奨レベル...18〜20
・生い茂る大きな木々の影で日の光が薄いステージ。
そのため普段そこらじゃ会えない魔物がいたり
ちょっとレアな薬草が取れたりする。
噂では森の主がいるらしいが.......?
さぁ始まった討伐クエスト!
内容は簡単、定められた数の魔物を倒せばいいだけ!
「....はぁ。」
「サラ、どうしたの?」
「いや....なんでも。」
気怠いだけです。
「イビルスコーピオンはどこから出てくるのでしょう、物陰から来ないか不安です。」
「サラは何かいい技持ってたりする....?」
「...相手の行動を見ない限りその技が有効なのかわかんない。」
「だよねー....。」
ゲーム何周もした私はこんな時もあろうかと色々技を習得している。だがもしもの事も考え普段人目の着く場所では使わない。
変に疑われるのは面倒くさいし、強さの秘訣を流出させる気はない。例え私のお人形さんにも。
ガサッ
「!!!」
物音がした方向に反射的に剣を向ける。
すると真っ黒な私....私の影が地面から現れ、魔物を串刺しにしていた。
「...(やっちまった)。」
「すごーい....何今の技?」
「光魔法[ 影討 ]ね、第一学年で覚えてるなんて凄いわ!」
「影なのに光魔法....?」
「影あるところ光あり...光ありて影があり、光属性影魔法のややこしい定義だわ。」
ついうっかり反射的に不意打ち技をバラしてしまった。目をつけられたらどしよ、肝心な時の手を失った。
(....何何何今のぉぉぉぉぉーーーーー!?私の横にいた兎の魔物が一瞬で串刺しにされたーーーー!?何あれ、あれが今の第一学年なの!?そういえば確か...あれはサフラ・アコニリン、今の第一学年のレベル最上位者じゃないか!!なんて鋭さだ....!)
前回上司の指示でサラ達の監視に隠れてやって来た諜報暗殺部隊員...略して暗殺者のアスター。いきなり起きたその事態に驚愕、冷や汗かきながらバレないよう動く。
(....あれぇ?ウサギの魔物にしては気配が小さすぎた気がする。ゲームの記憶を頼りにするなら...隠密部隊が追って来たか?アイツら何かあったらすぐコソコソ隠れて監視してる....って設定あったし。)
サラにはバレてた。
「どうしたのサラ。」
「いやなんでも。イビルスコーピオンはもう少し向こうなのかな?」
私達は森の奥へ進む。
私は暗殺者の通りそうな所にこっそり糸を張り嫌がらせをしながら進む。
(プギャッ)
あ、コケた。(笑)
それからさらに進み広い場所に出た。
ストーリーでは森の主であるでっかい熊と戦うのだが...今そこには黒い甲殻のサソリがウヨウヨいる。
MMOアプリのモブ湧き場か?
「あれだ。」
「あれだね。」
「あれだわ。」
「あれれれれ?」
ギチギチカチカチと音をならし、辺りを彷徨く。
「なんであんなに集まってんだ?下手に突っ込めないぞ。」
「あーー....多分これ脱皮だね。」
「脱皮?リズ、何か知ってるの?」
「天才リズ様教えてください。」
「イビルスコーピオンは基本は単体で行動するけど、脱皮の時期になると群れになって脱皮する習性があるの。これは生存本能による一時的な仲間意識によるものらしいわ。」
「なるほどなるほどねぇ...だとしたらこれは放って置けない。ただでさえまぁまぁ大きいのにこれ以上この数がさらに成長するのは生態系的にもまずいわ。」
「得策としては脱皮中や脱皮直後の甲殻が柔らかい時を狙う。多少時間が経って乾いても酸性の液体に弱いわ、普通に戦うより数は多いけど目立つ弱点がある...不幸中の幸いと言うべきかしらね。」
攻略するには十分な情報だ。
あとは多少距離を保ち、デバフの塊である毒に気をつければ解決だ。
これは早く帰れそうだ、無事に帰って...今夜坦々麺食べるんだ!
無事に帰って
今夜坦々麺を食べるんだ!
食べるんだ......
食べ....
...あ。
「ちょっと待って、何匹かこっち見てない?」
「ごめんリズ、サラ、先輩。....枝踏んじゃった。」
「...あぁ。」
ごめんなさい私のせいです余計なもの回収しました。
「キシャアアアーーーーーーッッ!!!!」
「あ゛ーーーーーー!!!!」




