第17話 卒業最低基準
「おい、そっちに逃げたぞ!!」
「はい!でええい!!」
各学年、夏休み前の期末試験を終えた頃....カメリアルートでお馴染みの襲撃イベントが発生していた。襲撃イベント自体はちょくちょく起きているのだが、近頃はレベル低いのが多くて経験値の量が少ない。
最近たまに夜中こっそり寮を抜けて魔物狩りしてたり、シアと作った糸の罠で引っかかった魔物を殺したりと...気が付けばレベルは20になった。こっそり学年トップのレベル。
カメリアとスリジャはまだレベル18、このゲームのレベルアップは割と苦労するのだ。私は良い経験値稼ぎ知ってるからこうなってるだけ。あー、経験値関連のアイテムあれば私も二人ももっとレベルあったんだけどな。
ちなみに、現時点でボスのレアドロップをした記録はない、私が蛮蜘蛛の剣を当てたっきりですぅ。いえーい私ラッキーガールぅ!!!!!
さて、夏休みまで残り2週間。
皆がヒャッハーになりかけるこの時期の襲撃は鬱陶しさを極める。
現に...ほら、
「危ない!!」
「うわあ!?」
『あーあ、第五学年もあろう者が単純な不意打ちをもらうとは。役立たずのぅ。』
「だなぁ、私らの分もう終わった。」
「サラ、大丈夫?」
「あー大丈夫、むしろ先輩が危ない。」
「確かに、十聖候補試験から私達結構強くなって周りの平均がなんと言うか...。」
「多分あれは修行したい人達中心だな、変化に強い人がいない。」
先輩があっさり負けた。
実を言うと現在低レベル襲撃(三群分)が起きているのだけどね、20人くらいの第五学年先輩らがどうにかするとかで参加する予定は無かったのだが...見ての通りだ。
お陰でカメリアとスリジャらとカフェに行こうとしたのにこの状況で医療班に呼び止められてしまい急遽参加したのだ。はぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー.................。
というーか、あの人ら総合的に弱い。学園卒業基準の32レベルを満たすため弱い者達[だけ]が集まってレベリングしているのだ。残念な事に飛び抜けて強い人がパーティにいない、おそらく見下されるのが嫌だとかくだらんプライド建てて同類と挑んだのだろう、はぁぁぁぁぁーーーーー..........馬鹿か?
その団体は「自分達で十分、手を出すな!」とか言って欠伸してる間に血流してる。ヒーラーも連れてきてねえのか...馬鹿だ。
適当にボコられた後にボスでも狩っとこう。
...あ、私21レベルになってる。やったぁ☆
「サラ、この群れは掃討完了だよ。あとは....アレだね。」
「実戦は学園の授業で学ぶ筈ですのになぜ今になって?」
「いるらしいの、戦うのが怖くて仮病やら自らリタイアしたりで休む人。けどこの学園はレベルと経験が重要視の方針、卒業最低基準を満たそうと必死こいてるらしいんだわ。」
「えー....この学園の入学説明会でもその辺言ってたのに。」
ため息をつく私達。
準備してから参加したとは言え、私達でも一群を潰したぞ。
私は速度と攻撃面に重視した装備で戦ったから多く狩る事が出来た。前世も当たらなければどうとやらで縦横無尽に戦うプレイスタイルしてたから、装備が充実してきた途端コツが掴めた。
やっぱ揃えておくもんだな。
...一方。
「うわああ、来るなぁ!!」
「逃げるな!群れの長だぞ!!」
「無理だって!!」
半分以上のパーティが怖気ついている。
軍隊としては壊滅的だな。
「...サラ、そろそろ。」
「だね。」
私はボスモンスターのオオトカゲに剣を投げる!
「ゴアアアーーーーーーーーッ!!?」
「なぁっ!?」
ナァーイスヒーット!
剣からはシアがたっぷり酸毒を出している。
脳は外したが脊髄には刺さった、5秒もなく死んだ。
「あ...あ...。」
そこにいる第五学年は腰抜かし呆然。
レアドロップも無しと来た腹立つ、
あのオオトカゲのレアドロは自動回復効果のあるレザーアーマーだったのに...ガックシ。
「大丈夫ですかー!」
「ほら立って下さい、救護班来ましたよ。」
「おや...?」
すると救護班から1人こちらへ寄ってきた。
「...やっぱり、サフラさんじゃないですか。」
「モネ先輩!」
「十聖服...!たしかモネ先輩でしたっけ?」
「そうよ、第五学年、十聖が1人モネ・ヴィオロ。」
妖精のデザインが描かれた桃色の学生服。
彼女は十聖の1人、モネ・ヴィオロだ。
学園一の回復魔法使いで医学や薬に詳しい人で、
いわゆる回復役[ヒーラー]と、
補助の薬を作る[アルケミスト]の二種を持つ人間なのだ。パーティにいたらめぇぇっちゃくちゃありがーーーーい人だ。
「モネ先輩、この人...先輩らの回復をお願いします。それと腰抜かしてる人がいます、今残りの群れが来たらまずいです。」
「わかったわ、任せて!」
モネは杖を上に掲げる。
「回復魔法[ラージヒール]!!」
ラージヒール...最大半径30m以内で仲間と認識した
生命を回復させる魔法。
「皆さん早く退きますよ!!」
「ううっ....。」
「キシャアーーーーーーッ!!」
「!?っ、うわー!!」
生き残りのトカゲがいたようだ。
別にそんな強くないのに、蹴れば殺せる程度のモブに怯えた第五学年生徒は事もあろうに私の剣を使おうとボスの遺体に突っ走る。
「触んな。」
剣に結びつけてた糸を引っ張り剣を回収。
勝手に取ろうとした生徒は猫じゃらしを追いかける猫のように無様にこけた。
「あ...あああ!!」
「おらよ!!」
私はトカゲの頭を思い切り蹴って一撃で殺した。
ほら簡単楽勝。
「な、何すんだよ!!」
「この剣に私の許可なく触らないでください。」
「う...うるせえ!!十聖だからって良い気になるな!!」
コイツら身の程知らないのか...はぁぁーぁ。
関わるの嫌だな、私は知らない人とは関わりたくないし手を貸す義理もない。十聖にそんな義務もないし自業自得だ。第一なんでコイツ自分の剣失くしてんだ。
出来るのは命の保証だけだな、多分。
「その言葉そっくり貴方達に返します。上位レベル者や実力者も無しに魔物襲撃に挑むなんて愚かです。私達がいなかったらどうするつもりだったのですか?こんなに追い込まれてるのに武器はどうしたのですか?」
「...!!」
「武器を捨てに来たのでしたら他所でしてください、邪魔ですから。戦う人であれば身の回りを理解している筈ですから。」
そう言うと彼らは何も言わず、救護班の措置も受けずに帰っていった。
「...困った人達です、わざわざ襲撃で鍛えようなんて無謀です。毎年何人かいるのですよ...覚悟も無しに学歴狙いで入学しこのようになる。お陰で私も疲労気味でしてね...サフラさん、ありがとうございました。」
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翌日
私達はいつものように女の子らしく学校に登校。
夏休みまであと少し、期末テストは終わったけど成績下げないよう頑張りましょー...
「いた、サフラさん!」
「え?」
走ってきたのは桃色学生服の女子学生。
...ってモネだ。
「ダチュラちゃんから聞いたわ、悩みを解決してくれるって!!」
ぬ?
「あなたの実力は知ってるわ、私からのお願い...聞いてもらえるかしら!?」




