第11話 英霊
私の新しい制服が発行された日の夜...寮の自室にて。
私は1人暗い部屋にテーブルライトをつけて椅子に座る。
「さて、こんなに早く現れるとは思ってなかったけど...出てきなよ、[英霊]さん。」
英霊...それはディスティニーブレイブシリーズの序盤終了辺りに追加されるシステム。設定としては死した高貴な存在の霊...であるらしく、装備...というか付けるとステータスが上昇したり経験値が上がったりなど、いわゆるサポート枠。
ストーリーが進むと一般生徒がたまーに持ってるが低レベルな英霊が大半(バランス的に)。しかし主人公の英霊だけは特殊。
主人公が装着出来る英霊はなんと進化する。
なんでかって?
主人公補正ってヤツだよ。
神に愛され選ばれし者って言うゲームだからこそ出来るご都合設定さ!身も蓋もねぇ!
ちなみに英霊にはもう一つ力がある。
それはバトル中、英霊必殺という技が使えるシステムだ。そのバトルにつき一度しか使えない技なのだがその効果は高く、好きなタイミングで撃つ事が出来るのでよく考えて発動しよう...って感じだ。
確か主人公がストーリー中で手に入れた英霊は進化を重ねると神クラスとかそんなんだった気がするし。あー羨ましいなぁ。
ストーリーとは関係なく自由に遊べるフリーモードで襲い掛かる奴はその英霊で薙ぎ払えたんだけどいざ逆の立場となると...やばい。
『こんなに早く...か。ククク、俺はお前がとても面白いヤツだと判断し、力を貸したのだ。遅いも早いもない、全てはお前の実力だ。』
「へぇ、嬉しい事言ってくれるじゃん。どんな姿なんだ、あんたは?」
勇ましい女性の声だし強いのが来そう。
一人称が俺ってのも好きだわ。
すると部屋に魔法陣が現れ、ソレが現れた。
「...ええ!?」
1.8mはあろう体格、黒い体に赤いライン、体と比べて若干細い脚、8つの目....、
...ってボス蜘蛛じゃん!?
私が倒したボス蜘蛛じゃん!!?
この前頭部吹っ飛ばした蜘蛛じゃん!!!?
「な...なんで!?」
『貴様の戦い方に面白さを感じてな、普通騎士共は剣やら魔法やらで応戦するというのに貴様はその鞄の中にある[緊急信号玉]とやらで俺を倒した。たった1人で俺らの軍隊に戦いを挑み、毒液で動けなくなったにも関わらず貴様は俺に勝った。...絶望的な状況から逆転するその力に惹かれたぞ!』
言われてみればそうだ、ゲームで緊急信号玉こと閃光玉を攻撃に転用するなんてプログラムは無い。だからそれの爆発力を使って頭を吹っ飛ばすなんて戦法はこの世界に存在しないのだと思う。
それにあの時私は死ぬ寸前だった状況で逆転したら驚くわな、それで私に惹かれたってのかよ。
『貴様の戦い方は実に面白い。変質した我が肉体の毒をあの魔女の炎を使い吸い込ませる...最高じゃないか!』
「あ...ありがとうございます...。」
なんとなくわかってきたぞ、
このボス蜘蛛はストレートに戦うというより戦略で戦うタイプなんだ。襲撃の時のように相手を確実に殺せるような状況を作ってから攻める、考えてみればかなり賢い行動だ。
だからゲームでは無かったであろう戦い方を楽しんでいるのだろう...だがわざわざ英霊になってまで興味を持つかなぁ!?
「...んんっ、英霊なら名前があると思うけど...なんていうの?」
『?、俺に名は無いぞ。』
「え。」
待って、英霊は例外なく名前持ってたぞ。
『俺は貴様に興味があって生きようと思ったら目覚めたのだ!』
生きる...目覚める...ってまさか、自力で英霊になったのか...!?信じられ...いや待て、そもそもここはゲームの世界で魔法もゴースト魔物だっている。強い気持ちや未練がボス蜘蛛の魂を引き留め偶然英霊として私...というより自分自身だった剣に宿ったって感じかもしれない。
「...そうだな、私は魔物なりの戦略なんてあまり知っている訳ではない。だがあんたという魔物の知将を得た今これからの日々がさらに面白くなりそうだ。私は私の目的のためにもっと強くもっと色んな事が知りたいの。だから正式な契約をお願いするわ。」
『その答えを待っていた!』
私は蜘蛛の足に触れると蜘蛛が輝き...
『これからよろしく頼むぞ、小娘。』
「わーお...10cmくらいになった。それと私は小娘じゃない、サフラ・アコニリン。サラって呼んで。」
『サラか。いい名前だ。』
「そして貴方の名前は...シアだ。」
酸→アシッド(Acid) →シア(Cia)
『シア...名前をくれてありがとう。』
また光った。
今度は何になった........ふぁ。
そこにいたのは甲殻で作られた服(鎧?)を着て、手足細くグラマラスな体型の背高い黒髪美女。
『ほぅ、人と契約すれば俺はこんな見た目にもなれるのか!改めてよろしく頼むぞ、サラよ。』
「はは....驚き疲れた。」
英霊(蜘蛛(美女))ゲット!




