第10話 お掃除
「テルン先生、貴方が私を尋問するにあたって決定的な証拠となった監視魔道具をください!」
「.....!!?」
テルンを含めた尋問時の教師の顔が見事に青くなっている。まるで突かれたくない話題を出された嘘つきのような顔。
「...サラの顔。」
「あの顔になってるって事は...何かあるんだね。」
ああまた悪魔のようなニヤけ顔になってしまった。
だって...私が要求した物は存在しないのだから。
「な...何よそれ...???」
「とぼけますか。」
こんな事もあろうかと尋問される前に演劇部の部室のにあった魔道具ラジオを持って来ていた。この世界でもお高ーい録音機能付きのね。
魔力を流してスイッチを押せばあら不思議、尋問で流れた声が聞こえる聞こえる。私の音声魔法も使ったままだから会場に響いてる。イエーイみんな聞いてる?
「...どういう事だ?学園長は出張でいないのになんで尋問が起きてる?」
「確か魔物襲撃があった時には学園長はいなかった筈だぞ!」
「...!!!!」
おーさらに顔色悪くなった!
...もっと染まりそうだ。
「そ...それがなんだってのよ!私達の声だって言いたいの!?」
「はい!ですからそれを証明するために...特別ゲストをお呼びしておりまーす!」
私が手を伸ばした先にいたのは....。
「魔道具科副担任のチアです。」
「.....!!!」
「テルン先生顔色悪くなりました?なりますよねぇ!襲撃の時にチア先生はいましたし、魔道具科副担任という素晴らしい技術者!...録音魔道具の声が誰か特定するくらい出来ます、それもこれだけはっきり録音されていればねぇ!チア先生!」
「音声検索魔法[サーチボイス]。」
魔道具から光が溢れ8つの光の玉が現れる。光の玉は蛍のように飛んでいき...尋問時の教師8名にそれぞれの光の玉がくっついた。
「チア先生の能力は本物です、そして魔法に反応した8名は私の魔剣狙いで無断に尋問をしました。この場合処罰はどうなるのでしょうか?」
すると観客席から初老の女性が立ち上がった。
「...私は教頭のミナエでございます。尋問の許可証は学園長、または緊急時であれば私も発行が可能ですが、そのどちらでも無しに生徒への尋問は違反です。サフラ・アコニリン、ラジオから流れた内容では貴方が盗みを犯したと言われていますが...私が騎士団から聞いた情報とは異なりますね。学園警護騎士団第3団長殿、」
「ハッ!我々第3団が知り目撃したのは、サフラ・アコニリンがチア教師を守るため我々が到着するまでの間魔物を引き付け勇敢に戦っていた事、そして恥ずかしながら我々が逃してしまった群れの残党を討伐したのをこの目ではっきりと見ました!その後も現場確認のためしばらく調査をしておりましたがサフラ・アコニリンが盗みを働いた形跡は一切ございませんでした、彼女は無実です!それどころか多少無謀ながらも命を賭け教師と友を守り抜いた学園生として誇らしい存在であると言わせていただきます!!!」
すげぇ熱く語るなぁあの人...。
私が命賭けたのはカメリア達じゃなくて経験値なんだよ.....言わない方がいいか。
「すげぇぜサラ!!」
「あんたがいなかったら俺たちも危なかった!」
「ありがとー!!!」
あー余計に目立ってしまった。
「...さて、第3団長の証言によりテルン教師ら8名の行為があまりにもおかしいものであると証明出来ました。聴く限りではまるで彼女の魔剣を欲しがるようにも感じますが、そういえば貴方がこの試合で欲しがっていたのもその魔剣でしたね...?」
「....クソガキ...謀ったな!!!」
正式という餌に釣られたのが悪い。
でもまぁ...勝つっていうのは正直不安だった。
蒸発した毒が効いた時点で勝つ見込みがあったけど...[あの力]まで得てしまうのは正直驚いた。まぁ大なり小なり文武実力ある人はどの道1つ得るからいいや、一番乗りー!
「さーて!そう考えると監視魔道具の件は嘘であるのがわかりますし...何もらいましょうか?...そうだ!」
「...なによ!」
「テルン先生、私が倒した蜘蛛の魔物の素材。いくつか持ってますよね?全部返してください。」
「...そのくらいいくらでもいいわ。もういらない。」
「ありがとうございます!」
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その後、教師ら8名の処遇が決まった。
実は他にも余罪があったようで全員これ見事に解雇。
その後は知らない、興味も無い。
さてさて返ってきた蜘蛛の素材は...、
ふむ、せいぜい10匹分かー...残りどこ行った?
「サフラさん。」
「ん?...うぇえ!?教頭先生!」
「...この度我らが学園の教師が貴方に危害を加えた事を謝罪します。」
教頭先生は私に深く頭を下げた。
その顔はとても辛そうで、かなり責任を感じているようだ。
...上の者としてなんだろうけどなぁ、どうするか...。
・教頭という立場でありながら欲深い教師の暴走を止められなかった。だから処罰を受けるべき。
・でもこの人学園長がいない間も必死に多くの仕事をしている。同じ教師であれば多少何をしているかはわかる、それも普段は善人を装っておけば疑い向けられる事はまぁ無い。特にテルン先生のような功績や人望のある人間はより疑われない。そして教頭が忙しい隙を狙った賭け混じりの尋問したと考えればすんなり事が進んだのに納得がいく。
...両方だな、ややこしくなるくらいならそれが良い。
でも処罰を決めるのはどの道私じゃない、なら謝罪をありがたく受け取る方が後がスッキリする。
問題はその謝罪の内容は...........、
「あ、そうだ!」
「?」
〜1週間後〜
「というわけで、じゃじゃーん!」
「わぉ、何この黒い装備!」
「蜘蛛だ!」
「...蜘蛛?」
「襲撃で倒した蜘蛛の素材を使った装備です!」
多少背が伸びても大丈夫なよう学園の制服服を主としたデザイン。
繊維は蜘蛛糸を加工した物、こう見えて鎧程じゃないけどすっごい頑丈その上軽い。
藍墨色(黒寄りの紺)主体でスカートの一部にはなぜか白色の蜘蛛の巣デザイン。
第一学年のスカーフは白色なので遠目で黒白と面白い色になった。
セーラーカラーって部分によく見たら一つ蜘蛛のマークがついてある、なんだこれ。
要するに...黒紺色の蜘蛛の巣デザイン付きの制服デザインの装備。
「ほえぇ...サラやっぱりすごーい....。」
「しかもこれ何!?丈夫そうなのに肌触りが良い!」
「教頭先生が腕の良い職人さんに頼んでくれたんだ。蜘蛛の素材を使った装備を作って欲しいって私が頼んだのだけどこれはいいよ!」
「良いなー、私もそういうの欲しいなぁ。」
「大丈夫だよメリー。メリーの潜在能力と才能は私以上だ。きっかけがあれば間違いなく私を超えるね。小さい時からずっと見てきた私からの言葉だぞ?」
「言ったな?だったらすぐに超えてやるんだからね!!」
ハラリ...
「...?なんだ、背中のカラーに手紙が挟まってたよ。」
「何なに....、」
ーーーーー
サフラ・アコニリン第1学年生 へ
この度を期に我が学園は大きな功績を持った生徒には特別な制服を持つ権利を与える校則が決定しました。
この服は貴方の功績を讃え新たな制服として発行しました。
学園長 リオーブ・メウ
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「え...?」
「ふぇ....?」
「あー...?」
「「「えええーーーーーーーーっ!!??」」」
何考えてんだ学園ーーーーーーっ!?!?




