チャプター4 「星と魂の煌めき」24
「今、引き上げるから……大人しくしててくれよ!」
両手でセリックの腕をしっかりと掴み、引き上げられていると、また声がした。
「大きくなったな、フィル」
聞き覚えがある。
聞き間違えることがない。
けれど、記憶にある声よりも若い声だ。
視線だけで周囲を確認するが、当然、声の主らしき姿はない
セリックに引き上げられ、エリシオンの門から生還することができた。
「休みたいだろうけど、ここをすぐ離れるぞ」
彼の焦りの理由は崩壊していくエリシオンの門だった。上部から門の破片が周囲の魔力水へと落ち、飛沫を上げていく。
フィルは最後の力を振り絞るように走り出す。
セリックと一緒に走る中、轟音と共にエリシオンの門が完全に崩れた。
二人はその場に座り込んで、やっと
「はぁ……はぁ……はぁ……間に合った……。セリックさん……ありがとうございます」
「間一髪だったね。門の中の様子を見ていたら、通路が崩落していく様子と君とアストルムさんの姿が見えて、慌てて駆け付けたよ。――アストルムさんの姿は消えてしまったようだけど大丈夫なのかい?」
「アストルムは魂だけで、実体があったわけじゃないんです。だから、工房で眠ってる身体に戻ったと思います」
フィルの言葉にセリックは安心したようだった。
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