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アルスハイム工房へようこそ  作者: 日向タカト
第4話「オルフェンスの対岸」
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チャプター4 「星と魂の煌めき」23

 アストルムは静かにフィルを見つめて、そして走り出した。彼女がエリシオンの門をくぐると、その背中が消えた。恐らく、アルスハイム工房に眠っている彼女の身体に、魂が戻ったのだろう。

 あとは自分が帰らないといけない。

 しかし、先ほどの揺れでフィルが居る場所とエリシオンの門を繋げる通路は完全に崩落してしまった。

 彼我の距離はフィルが跳んでも届くかどうか。

「フィルくん!!」

 名前を呼ぶ声がした。

 声の主セリックがエリシオンの門側に僅かに残っていた通路の床に立っていた。

「跳べ!」

 彼は思いっきり手を伸して、そう言った。

「僕を信じろ!」

 息を整えながら、後ろを振り返ると、崩落がすぐ近くまでに迫っていた。

 迷っている場合じゃない。

 このまま崩落で落ちるか、前へ跳ぶしか選択肢はない。

「くそ! イチかバチかだ!」

 フィルは少し下がり、わずかに残された足場を一気に走り出した。

 跳躍。

 踏み切った直後、自分が迎えるであろう結末がわかった

 距離が足りない。

「っ!」

 互いの手を必死に掴もうとする。

 しかし、わずか数センチ。

 いや、それ以下だろうか。

 だが、足りない。

 結果を想像して、きつく目を閉じた時だった。

「オルフェンスの対岸から離れすぎてるから、ここで君にしてあげられるのは、このぐらいだ」

 誰かの声がした。

 そんな気がした。

 身体がほんの少し前に押し出された気がした。

 届かないと思っていた手が、セリックの手に届いた。

 諦めかけていたフィルの手首を、セリックががっしりと掴んだ。

「……ギリギリだ……」

 フィルは宙づりになりながら視線を上げると、セリックは右手で門の縁を掴み、身体を投げ出すように伸ばしていた。

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