チャプター4 「星と魂の煌めき」12
竜の息吹を放った竜は、口腔を大きく開け、その場に留まっていた。だから、鼻から流れる血を拭い、セリックはすぐに動いた。
魔力を振り絞る。
加速を得る。
彼我の距離などないかのように、セリックが走った。
竜の顎、その真下に潜り混む。竜の眼光がセリックを捉えるが、もう遅い。
セリックが跳び、下顎に魔剣を突き刺す。竜が頭部を大きく仰け反らせる。セリックの眼下に、竜の胸元に赤く輝く竜核が見えた。
魔剣から手を離す。
セリックは竜核へと落下していく。
腰にある竜殺しの氷結剣を抜く。
氷の刃が形成される。
セリックは竜の胸元の竜鱗を左手で掴んだ。
落下の勢いが左腕に掛かるが、手を離さない。
右手に持った竜殺しの氷結剣を、竜核へ突き刺した。
「これで!!!」
竜核と竜殺しの氷結剣がぶつかる。
切っ先が竜核を守る薄い障壁に衝突する。
火花のように光が舞い散る。
ジリジリと切っ先が進んでいく。
やがて、ガラスが割れるような破砕音が聞こえ、切っ先が障壁を越えた。
「――!!」
急所を攻撃された竜が咆吼を上げる。
竜核に亀裂が走る。
あと少しだ。
しかし、竜はその手でセリックの身体を掴むと、床へと叩きつけるように投げつけた。
「かはっ……」
叩き付けられた衝撃で、セリックは息を吐き出し、竜殺しの氷結剣を手放してしまった。
竜は自分の方へと滑ってきた竜殺しの氷結剣に、忌々しげに尻尾を叩き付け、氷の刃を砕いた。その拍子に、柄だけになった竜殺しの氷結剣がどこかに行ってしまう。
全身が悲鳴をあげている。
動け、動け、動け!
だが、身体は動かない。
それでも竜殺しの氷結剣を探す。
すぐに行方がわかった。
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