チャプター4 「星と魂の煌めき」2
「よかった。それが俺とレスリーで作った竜殺しの氷結剣です」
「武器は手に入った。マリスさん、竜を倒すにはどうしたらいい? この剣だからと言って、竜鱗を絶やすく切れるとは思えない」
「竜を殺すには、胸にある竜核と呼ばれるものを壊す必要がある。けれど、竜核は特殊な障壁で守られているの」
彼女の説明を聞いて、セリックはどこか納得したかのように頷いた。
「僕が竜の胸にあった赤い石を攻撃したときに感じた、自分の攻撃が何をしても届かない、何か薄い壁があるように思えたのは、そういうことなのか」
「その障壁を破壊するのに、高い魔力密度を帯びた武器――竜殺しの氷結剣が必要になるというわけよ」
「フィルくんとレスリーさんが武器を作った。次は僕がフィルくんとの約束を果たす番だ。この竜殺しの氷結剣で、竜を倒すよ」
「お願いします」
「それでプロタクラム都市群遺跡へはこれから向かうのかい? こっちはフィルくんから話を聞いて準備は済ませてあるからいつでもいけるよ」
「本当はそうしたいんですが、こっちの準備がまだ出来てなくて、明日の早朝にと思っています」
「私からはこれをフィルに渡しておくわ」
マリスが机の上に置いたのは一つの魔石だった。
「その魔石にはラピズに音魔法を封じ込めてもらったわ。名前は、声を届ける者。これを使えば、プロタクラム都市群遺跡にいる君たちと、ミシュルにいる私との間で連絡可能よ。何かあればこれで呼びかけて。私からもなにかあったら伝えるから」
「ありがとう、助かるよ」
「竜殺しの氷結剣があるとはいえ、相手は竜よ。気をつけなさい」
「まかせてくれ。武器があるなら、僕は竜を倒せる」
自信満ちた顔で頷くセリックとは対象的にマリスの表情は陰っていた。彼女は未だ明らかになっていない伝承の全体が気になっているのだろう。
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