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アルスハイム工房へようこそ  作者: 日向タカト
第4話「オルフェンスの対岸」
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チャプター4 「星と魂の煌めき」1

 フィルは黒猫の住処にセリックを呼び出していた。彼と約束した竜を倒すための武器が出来たこと、そして今後のことをマリスと相談するためだ。

 しかし、そこは黒猫の住処の室内ではなく、裏庭だった。

「フィルくん、竜を倒すための武器ができたって?」

 対面にいるセリックが質問した。

「どうにか形にできました」

 フィルは頷きながら、製作した武器をセリックに手渡した。

 それは剣身のない、柄のみ剣だった。握りの部分には透明な筒がありその中には青く発光している水で満たされており星魔石の欠片がいくつか浮いている。さらに柄には魔石が埋め込まれている。

 セリックはさまざまな角度から確認していた。

「刃がない。これでどうやって倒すんだ?」

 セリックはマリスに視線を向けたが、彼女は首を振った。

 フィルとレスリーがこの剣を作り上げたのは今朝のことで、マリスにも説明していない。だから、彼女が剣の詳細を知らないのも無理もない。

 フィルはセリックから剣の柄を受け取った。

「竜を倒すには簡単に言えば、魔石を使った……いや、高い魔力密度を帯びた武器を作る必要があったんだ。魔剣だと魔力は空気中に発散してしまうし、魔石は武具の加工に向かない」

 フィルは、星の魔力や星魔石のことを伏せながら、セリックに説明する。

「魔石のように魔力密度が高く、魔剣のように強度が必要になる。これを満たすものを普通の武具製作方法では正直言って作れない。だから、考え方を少し変えた。――セリックさん、それに魔力を込めてみてください」

「わかった」

 セリックの魔力に反応した柄は、握りに埋め込まれた容器が星魔石の欠片から漏れ出る魔力によって、高濃度の魔力水を生成し、それを凍らせていく。そうして、剣身が生成される。その剣身は氷で出来ていた。氷同士が軋み合い、ミシミシと音を立てる。

「魔力を纏わせても発散してしまうなら、高濃度の魔力水を凍らせてしまえばいい。氷の表面から魔力は多少発散してしまうけど、それでも氷自体が有する魔力密度は高い」

「考えたわね。これなら条件を満たせるわね」

「この剣の感覚を確かめたいから少し振り回してみるよ」

 そう言ってセリックは剣を構えた。

 長く息を吐いて、そして動いた。

 セリックが斬撃を繰り出す度に陽光に照らされた氷の刃がキラリと輝く。一、二分ほどするとセリックは満足そうに頷いた。

「うん。これなら大丈夫だ」

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