表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第一章-1 宿屋の若旦那の許嫁、マリーの夜伽

「勇者様……どうぞこのマリーの体で戦の疲れを癒してくださいませ」

マリーと名乗った少女は羞恥と恐れで震える声を絞り出す。

そして薄手の肌着をするりと脱ぎ捨て……

「ちょーっちょっちょっちょ!」

剣二は珍獣のような声を上げたのだった。


ここは宿屋「銀妖精の寝床」。

魔族たちを全滅させた剣二が滞在することになった辺境の街の宿屋である。

宿屋の若旦那であり街の顔役でもある青年フランクが案内してくれたのはその宿で最も良い部屋だった。

そして部屋に入るとフランクの許嫁というこの少女が三つ指をついて待ち構えていた

訳も分からぬ剣二にマリーは夜伽の申し出をしたのだった。


「お、落ち着きましょう……」

マリー……年のころは15、6。白い肌に美しい金色の髪。

細いくせに出るところは出ているなかなかの美少女だ。

「こ、この体は……お気に召しませんか?」

「いえ!お気に召します!ですけど……ね!」

地球にいたころはこんな美少女には見たことすらなかったなあと思いながら、

剣二はスーハーと深呼吸する。

「(ハァーいい匂いする~)」

余計に落ち着かなくなった。だが誘惑に負けるわけにはいかない。


剣二は童貞を捨てると同時にこの異世界に転生する際に得た全ての女神の加護を失うのだ。


先だっての戦いで魔族たちを抹殺したパワー、

どんな攻撃を受けても傷一つ付かない生命力、

その他ありとあらゆるチート能力を失うのだ。

そうなればこの異世界で待ち受けるのは死あるのみ。

当然ながら剣二としてはそれだけは避けたいのであった。


「私の未来の夫……フランクのことを気にしているのですね」

あまり気にしてないがまあそれもそうだ。

「そうだ!許嫁なんだろ?あいつのことを裏切れないしなぁ!」

特に思い入れはないがこの場を乗り切れればなんでもいい。

「フランクも是非、私を慰みにとのことでした」

「なん……ですとぉ!?」

夫承認NTRだと……そんなのAVでしかみたことないぞ……。

「じゃあ……神様は許してくれないかも!」

「夕方、教会へ懺悔に伺いました」

「ダメって言われたでしょう?」

「勇者との性交は最高の神への奉仕であるとのことでした」

「うっそぉ……」

この世界の貞操観念どうなっているんだ。


そうやって迫られているうちにマリーは剣二を壁際まで追い詰めていた。

こうなれば仕方ない。奥の手だ。

剣二はおもむろにマリーの胸に右手を当てた。マリーがびくりと体を強張らせる。

「(やわらけぇ……最高。じゃなくてだな)」

剣二は邪念を振り払うと念を込めた。

「(ブレインウォッシュ……!)」

洗脳の魔法。本来は敵を寝返らせたり、尋問に使う魔法だ。

しかし、極限まで威力を抑えられたそれはマリーの意識だけを刈り取った。

「勇…者さ……ま?」

訳も分からず気を失うマリー。

倒れるところを優しく受け止める剣二。

「危ないところだった……」

とりあえずベットに寝かせてやって夜が明けるまで待とう。

と、その時だった。


「良い判断です、勇者剣二」


いつのまにやら部屋の中にはもう一人の少女がいた。

「女神プロメ」

剣二はその少女をにらみつける。

「いつからそこにいたんだ」

「最初からいましたが何か?」

「止めてくれよ!」

「なかなかの見ものでしたよ?」

剣二はげんなりした。

「趣味が悪いぞ」

「神なんて大体悪趣味なものですから。」

そういうと女神プロムと呼ばれた少女はクククと笑った。

「でなければあなたの『力』の代償に『純潔を守ること』なんて……いれないでしょう?」

「ああ、お前からもらったこのチートパワーで真っ先にお前を殺してやりたいぜ」


そう。この少女こそ剣二をこの世界に転生させた張本人。

そしてありとあらゆるパワーを与えた女神プロメディーテー……プロメなのであった。

せんくまと申します。


早速のブクマと点数ありがとうございます!

今後の励みになるので指摘や感想、点数等入れていただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ