再会
「落ち着け鈴華」
そう言うと、抵抗をやめて、鈴華は止まってくれた。
まあ無理もないだろう。こんな状況でも冷静になれっていう方が酷だ。
「ごめん、立」
「大丈夫だ。俺も急に腕を掴んですまなかった」
拘束を解放した。鈴華はようやく落ち着きを取り戻していて、そして何故か嫌な予感というやつは薄れて消えていた。
「おーーい、立、鈴華~~!!」
「この声は......」
やはり健だった。それに続いて明莉も走ってきていて、
「............なにこれ」
「うげぇ!! どうなってるのぉぉ! これは」
二人も目の前にある眩い神社に驚愕していた。特に健は驚きすぎて、もはや変顔ではないか。
「簡単に説明すると、神社が発光し始めて、鳥居の前にいるのが鈴華の祖父で──数年前に亡くなっているらしい」
「「??」」
当然だが、健と明莉は首を傾げていた。健はすぐに顔色を変え、悍ましい様子になり、
「て、てことは幽霊!?」
「そうだ」
「立はなんでそんなに冷静なの......?」
「わからん」
よくよく考えてみればそうだ。俺は自然になっていた。まるでこの光景が初見ではないかのような......。────実際はこんなファンタジーな光景を記憶喪失でない限りみた覚えがない。
オカルトとかは好きだった、もはや趣味だった。だけど、こんなにも唐突に目の当たりするとは思っていなかった
──俺の世界観が狂い始める。
もう幸福という感情で染まりそうになったが、そんなものに浸かっている暇はない、今は鈴華と成仏されなかった祖父を会わせてやりたい。
「立、明莉! 詳しい事情は後だ、とりあえず目の前にいる爺さんは鈴華の祖父だ」
「え......つまり、光がこの山に落ちるきっかけは鈴華のおじいさんに関わっていると?」
「そうなるな、それで鈴華と爺さんを会わせてやりたい」
一点を凝視していた鈴華がこちらを振り返った。
「......いいの?」
「おう、会ってこい」
「立......ありがとう」
健と明莉は、まだ状況がまだ上手く呑み込めていないのか呆然としていた。無理もない、もはやこの空間は非現実的であり、たとえ夢であっても納得できてしまう。
「明莉」
「?」
「爺さんの名前を一応聞いておきたい」
「月野光生よ」
「光生......」
「鈴華の爺さんは神主をやってなかったか?」
「あ......そんなこと昔おじいちゃんが言ってたような」
「この白虎神社の詳細をインターネットとかで調べたが、なぜか光生という名前だけしか載っていなくてな、もしかしたらって思ったが......間違いなさそうだな」
「......私、立に言われてからおじいちゃんの記憶を思い出す。なんで忘れていたのかしら」
そう、鈴華から言われたときおれは一つの確信に至った。