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光は消えない  作者: 真宮 つき
6/10

複雑

「だけど俺はそこに行って知るべきだと思うぞ」

「え?」

「そこには鈴華にとって大切な思い出があるのだろ? それが如何にどんなものであろうと、忘れてしまった記憶を取り戻すべきだ。光が何回も同じ場所に落ちているのも、もしかしたら鈴華に対して何かを伝えたいんじゃないのか?」

 その時、真鈴から不安そうな表情は消えていた。

「確かに私が恐れてたら駄目だよね。 立ち向かわなきゃ」

「あ、後な、俺達が居るだろ」

「うん、 ありがと。 忘れてた......私一人じゃないんだって」

 鈴華のいつもの笑顔は戻っていた。

 数分後には健と明莉も集まり、自転車で現地まで漕いだ。

 若干の緊張感の影響か、気付くと裏山の入り口までやってきた。

「あー懐かしいな、 何年ぶりだろ」

 健は懐かしそうに呟いていた。 だが健はこの日をどれだけ待ち望んでいただろうか、 さらに今回は闇雲に光を探索しに行くわけじゃない。

 光の謎を解き明かして健は綾先輩に良い報告をしたいと思っているはずだ。

 鈴華のためでもある。

 だから明莉も真っ先に立ち上がった。


「とりあえず、二手にに分かれよう。この山も広そうだしな──俺と鈴華、健と明莉で。何かあったらすぐにグループにLINEしてくれ」

「おっけー、皆は懐中電灯を持っていると思うけど、逸れないようにね。あと深くまで探索は禁止で」

 建の忠告に俺達三人は頷いた。一応電波は繋がっているが、山中となると繋がりにくくなったり、奥まで進みすぎたりすると電波が一切繋がらず、誰かが遭難という形になってしまう可能性も有り得る。

「そうだな。気を付けるよ」



 健、明莉と分かれて、俺と鈴華は片手に懐中電灯を照らし──周囲を見渡しながら歩いた。相変わらず辺りは真っ暗だ。フクロウのホーホーという鳴き声に、虫の囀りが聞こえてくる。

「··········暗いな」

「そうね·····ほんとに光なんて落ちたのかしら·····」

「でも、ここなんだろ。まあ森は広いしな」

 たとえ発見しても──もしかしたら高鴨綾と同じように記憶を消され、入口に戻されるかもしれない。そんな思考が俺の脳内を巡る。



 歩き続けた。大して時間は経ってないが、やはり「光」とやらは見当たらない。脳裏に俺は一つあることを想起した。

「そういえば、事前に調べておいたんだが、この森の中に白虎神社っていう名前の神社があるらしいな」

「白虎神社......初めて聞いたわ。場所とかは大体わかったり?」

「いや、それが正確な場所まではわからないんだ。ただこの森の中にあるらしい。こんな繁茂した所にあるとして、神主とかは恐らくいないだろうな」

「なんか不気味ね、とりあえず探してみましょ」

 ··········その時だった。──暗闇であった森林が一気に展開し二人の視界には、星々が映る夜空と巨大な神社が現れた。

「!? な、なんだこれは」

「う、眩しい·····」

 神社は眩い光を放ち、全体に黄金を纏っていた。まるで京都で観た金閣のように........いや、それ以上に光の主張が激しい。

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