本題
──ピザが好きなのか?それともイタリア語を学びたい? ......その話は置いといて、健が入学する前にこの文芸部を代わりに復帰させてほしいと留学している綾先輩から言われたそうだ。
健は今高校二年生。 つまり綾先輩はもうイタリアの高等学校を卒業している。
ちなみに、そのまま大学へ進学したそうだ。
そして現在。 高校二年の俺達四人はこうやって光の探求部で活動している。
この光の探求部ができるまでの経緯を健は語り終えた。
「なるほどなー、 そういう事だったのか」
俺は納得した。 だが、ひとつ疑問がある。
「でもさ、 このメンバーで光の落ちた場所へ行っても同じじゃないのか?」
「確かに··········」
その時突然、 鈴華が喋り出した。
「私、そこ少し見覚えがあるというか、行ったことあるかもしれない」
「え?」
「!?」
鈴華は続けて答える。
「でも、 あまり記憶がないの、 でもそこには行ったことがある。 間違いなく」
「それはいつ行ったとかわかる?」
健は動揺しながらも、質問する。
「具体的にはわからないけど小さい頃だったはず。 でもそこに何があったのか思い出したいけどなんか黒い靄が掛かったみたいで思い出せない··········どうしても」
「そこには、私にとって大切な物があったかもしれないの」
明莉は席から立ち上がる。
「これは行くしかないわね」
「だな」
「そうだね」
明莉は真剣な顔をしていた。 それは俺達も同じだった。
昨日、既に光は山奥に落ちている。 つまりチャンスは今日の夜間だ。
そして夜に校門前で集合にすることになった。集合時間は八時。 健が中学の時に集合した時間より少し早めだがまあ問題は無いだろう。
俺は一番最初に集合場所に到着し、月を眺めていた。今日は満月だ。 ──あぁ、綺麗だなー、 あの光もこの満月のように綺麗なのか。 そんなことを考えてぼーっとしているうちに真涼が来ていた。
「立、 早いね」
「まあな。満月だし少し早めに出たくなった」
「·····そうなんだ。ねぇ、 立」
「ん?」
「光の落ちた場所に私のとても大切な思い出があると思うの。 でも怖い」
「··········」
俺は少し驚いた。この感情はなんだろう。 でも真鈴の言葉には共感できる。俺はすぐに問いかけた。
「思い出すことがだな」
「·····うん。 思い出したら後悔するかもしれない。これはほんとに直感だけど、怖いの」