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落第妖狐転生伝  作者: 陽野 月美
11/15

其ノ十 帰宅

其ノ十



それから三日目の朝。近くの博物館に行ってあとは帰るだけだ。

2日ぶりの家だ。余談なんだけどここで三日ぶりと言うべきか迷うよね。ま、そんな時は何回そこの場所で寝たか、で数えればいいかな。だから2日。簡単だろう?

さーて。お家に帰るぞ。博物館は恐竜の博物だった。なかなかに面白かった。まぁもちろん。古龍(こりゅう)の化石とかもあったし、そっちの方が興味深かったんだけどね。ばっかでかい骨もあったし。まぁそんなのがこの狭い世界の空を飛んだら窮屈そうだが…

やはり、というかなんというか。帰りのバスってみんな寝るんだな。スヤスヤしている。まぁそんなもんだろう。てかさっきまで寝てたのによく寝れるな。合宿所のベッドで快眠はできなかったらしい。そりゃ寝付けないわな。

ちなみに僕や愛鬼、零奈は寝ない。眠くないから寝ない。

零奈と愛鬼は体力が違うし、僕は慣れてるからね。


「いやぁ…なんかやっと異世界感出てきたね。でっかい龍とか」


「さっさとあれくらいは倒せるようになれよ…じゃねぇとずっとこのままだぜ?」


「ぶっちゃけてしまうともう諦めてるよね。なんならもうギルドにでも務めて愛鬼専属のオペレーターにでもなろうかなって思ってるもん」


「おぉ…いやぁそれはそれで有難いけどよぉ…ちょっとは欲出せよ。頼めばある程度は加護与えれるぞ?」


「鬼の息がかかった化け狐とか何それ…大丈夫だよ。僕はこれで満足してるし」


「いやいやいや!!そんな事言うなよ!!なぁ…」


「わ、分かったって!だからそんなにうるうるした目で見ないで!努力するから…」


「よし、ならばよし」


満足気に頷いている。

でも割とどうしよう。父さんに頼んで修行つけて貰おうかな。


場所、日付変わり8月7日、我が家の庭。

父さんに修行をつけてもらう。


「さて…ぶっちゃけ言うとな。父さんな、もう希華に教えることってないんだよなぁ…」


「そんなこといわずにそんなこと言わずにー!体術とか…あとはどうすれば神妖者(しんようしゃ)になれるのか!とか」


「運、だよな。あとは魔術の訓練とか妖術の訓練…」


「教えて!!」


「えっと…じゃあ基本的な妖狐術、【狐火(きつねび)】とか…」


「うんうん!どうやるの?」


「手を開いて前に出して…妖力を溜める…」


「こうして…ふぅぅっ!!」


「……流石に…まぁ出ないわなぁ…」


「ちょっと待ってね…」


意識を集中させ呼吸を整える。そしてプレッシャーを放ちつつ力を蓄える。


「…!!中々のプレッシャーだな…」


ん?何だこの感じ?


「お、これは…」


「お…おお…おお…!?」


ゴゴゴゴという音と共に黒紫色の炎が手の中に出てきた。


「!?【禍津狐火】…!?」


「ん?何それ?」


「え、えっと…狐火の上位互換…と言ってしまってはいけないかな。それは…禍津属性だからな…私達が使う狐火とは違うものだ。呪術と妖狐術の合わせ技だな!てか、なんでその歳で呪術を…」


……なんだろう、この炎を見てると…心を掻き乱されるような…でも乱れ方がとても美しい…この炎に…身を任せてみたいなぁ…!!


「はいっ!!」


そう言うと同時に父さんは僕の肩に手を置いた。

あ、炎が消えた…


「その炎は危ない。その炎を見た時に、気が昂ったでしょ?それ、危ないんだよね。だから、それはもう二度と使わないように!」


「ちぇ…分かったよ。使わないようにする」


多分、これが死神が言っていた闇、なんだろうな。怖い怖い…


「あとはその妖力の中から禍津を取り除けばいいかなー。楽しいこととか考えるといいよ」


なるほどなるほど。

それから暫くは【狐火】の訓練をした。


約1ヶ月がたった。


「……ふっ!」


僕の手の中にオレンジ色の火の玉が現れる。


「いやー、流石俺の子だな。サラッと取得しちゃってもー!」


「えっへへー!でもなんで急に使えるようになってきたんだろう?これまでそんな素振り全くなかっでしょ?」


「そりゃあれだよ。希華の誕生日が近いからだよ」


「え?」


今日は9月2日。僕の誕生日のちょうど1週間前だった。


「どういう因果関係?」


「12歳になると、まぁ一端の狐にはなれるって訳だな。父さんがあんまり危惧してなかったのはこれに起因するんだよ」


「なるほどね!じゃあ僕もやっとこすっとこどっこい神妖者になれるってこと?」


「うん…まぁそこまでの力が備わるかはわからないけどな」


妖魔者(ようましゃ)くらいにはなるかな?」


「多分。妖狐型の妖魔者って感じだろうね」


「そっかぁ…まぁ贅沢は言わないさ…」


「ははー…素質はあるんだけどなぁ…身体能力とか見た目以上だし。多分筋肉密度が違うんだろうね。それが起こるってのは妖力が作用している証拠だし」


「てことは頑張れば僕も妖狐になれるのか…」


「ま、希望を捨てることは無いさ。希華は私達の希望の花なんだから!」


「そっか…そうだね!」


改めて僕は、自分の名前の意味を噛み締めた。

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