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落第妖狐転生伝  作者: 陽野 月美
10/15

其ノ九 合流

其ノ九


あれ?ここどこだ?さっきまでルートだと思ったんだけど…


「ん?なんだ?ここどこだよ?」


「さぁ…?」


「おーーい!希華(のぞか)くん!愛鬼(あき)くん!美希(みき)ちゃん!」


「あ、零奈(れいな)ちゃん!どこ行ってたの?」


「みんな…良かった…」


そう言うと零菜はこちらに倒れてきた


「うわっ、ど、どうしたの?」


「いえ…なんでも…」


すると後ろから1つ目小僧が走ってきた。まぁそうだろう。テレビとか遊園地のお化け屋敷で散々見てきたしもう驚かない。


「お、いたいた。いやー無事で何より」


「無事?つーことは俺達命の危機に晒されていたと?」


「おうよ。全身黒づくめで目隠し?してる男がお前達を殺そうとしてたんだ」


「なっ…!?」

「そんな…」

「マジかっ…」


「おい、そいつについて詳しく教えてくれ」


「え?ええっと…カラスとか使役してたな。ゾンビとかスケルトンとかも。あと一瞬男か女かわかんなかったな」


「…死神」


「え?なんて?」


「あん?なんでもねぇよ。ちょっと気になっただけだ」


ふむ?今ボソッと死神と呟いた気がしたけど…まぁいいか。

しかしそんなことになっていたとは…


「で、その男はどうなったの?」


「おうよ、そこの龍のお嬢ちゃんが撃退しちまったぜ!」


「零奈が?凄いや!!ありがとう!!」


「おおっ…ありがとな!」


「零奈ちゃん!ありがとねっ!」


「いえいえ…出来ることをしただけです…それに…見逃してもらったって言った方が正しいですし…」


「そっか…そんなに強かったのか…ん?どうしたの?」


「え?あ、いえいえ!なんでもないですよ!」


「ん?そう?そっか…」


どうしたんだろう。こっちを見て…


「もしかしてその男が僕について何か言ってたの?」


「えっ…あ、えっと…」


ちょいちょいとこちらに手招きした。


「ん?どしたの?」


「実はですね…その男の人がこう言ったんです。希華くんが…騎狐(きぎつね)だって…」


「………」


は?ちょ、ちょっと待て。


「え…?その男が…そう言ったの…?」


「はい…闇を抱えているから…とても危険だって…」


「そっか…そっかそっか…」


僕が闇を抱えている…?


「おい、何してんだよ。さっさと戻ろうぜ。先生達心配してんだろ」


「え?あ、ああそうだね。そうしよう」


なんでその男は僕のことを知ってるんだ…そして僕に闇?いや、ある筈がない。僕は至って普通の少年だ。

しばらく歩いて先生達の元に着いた。



「あっ!戻ってきましたよ!!」


「あ、どもっす!大丈夫でしたよ!」


大丈夫さの欠片もなかったけどね。

まぁ取り敢えず今日は終わり。お風呂に入ってお部屋に戻るだけだ。


「まぁとりあえず、何があったか話してくれるか?」


「えっとですね…」


それから零奈は話し始めた。僕たちの身に何があったのかを。そしてそれに対してどう対処したのかを。


「なるほどな……遂に動いたか…まずいな…」


「どうしたの?愛鬼(あき)、さっきからずっと悩んでるけど…」


すると愛鬼はこちらに近付き耳打ちしてきた。


「なぁ、希華、話してしまっても…いいか?お前の転生のこと」


「愛鬼が話してもいいと思ったんならいいよ。生殺与奪の権は愛鬼にあるんだし」


「そこまでじゃないけど…まぁよし分かった」


そこで愛鬼は零奈に向き直った。


「実はな?こいつ、転生してきてんだよ。異世界から」


「そうなんだよね。別の世界からこっちに来たんだよ」


それから僕が何故ここに来たのか、愛鬼が何者なのか、全てを話した。


「………」


まぁそりゃいきなりこんなこと言われても戸惑うさ。


「そうだったんですか…じゃあ希華くんが騎狐だって言うのも…」


「うん、本当だよ。まぁ見ての通り全く力は使えないんだけどね」


「なるほど…分かりました!」


「え?」

「へ?」


僕と愛鬼の声が重なった。分かりました…?え、納得したと?


「はい!もちろん!2人が言うんですから!そうなんでしょう!」


あっさり信じて貰えた。大丈夫かな…悪い人に騙されたり…は、しないか。そこの線引きは出来る子だ。


「まぁでもあれだよ。僕の狐が起きることはないと思うし、僕が化け狐になることはないよ。まぁもう1回人生を歩ませてもらえるんだから…有難いもんだよ」


「はははっ!感謝しろよー?…今世は責めて…幸せになってくれ…」


今度は小さなその呟きを聞き逃さなかった。

だがしかし、その願いを聞き届けることは出来なかった。

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