プロローグ
皆さんは,「オーク」と呼ばれるモンスターをご存じだろうか
ご存じでないという方に説明すると,オークというのは,でかくて強い化け物のことである
今,雑な説明をしたことに腹を立てて,このページを閉じようと,あるいはブラウザバックをしようとしただろう.だが,もう少しだけ読んでほしい.せめてあと三行ぐらいまでは.
さて,オークのことをもう少し詳しく説明すると,奴らは大抵筋肉質で,豚のような醜い容姿をしており,二足歩行をする.そして,次の説明が重要なのだが,奴らは大抵,人間やエルフの女性を捕まえては,なにやらいかがわしい・いやらしいことをして回るという習性があると言われている.
ここまでの説明でお分かりの通り,オークというのは実にいけ好かないスケベ野郎の魔獣ということになる.
さて,この小説は,そんな好色大魔王であるオークの姿に,ある日突然変えられてしまった一人の青年のお話である.また,この男は,こともあろうか職がない.つまり,無職のオークが主人公ということになる.
もっと正確に言えば,この話は,そんな無職の青年が一人のエルフの少女と出会い,なんやかんやあってオークにされ,さらになんやかんやあって,国を揺るがす大問題と対峙するという構成になっている.
ちなみにこのお話,舞台になるのは王様の住んでいるお城がボンと建っていて,その城下町には人間と少しのモンスターが仲良く暮らしているファンタジー世界だ.「なんでファンタジーの世界観で主人公が無職なんだよ」と思う方,いらっしゃると思うが,そこに深い理由は無いし,私は取り立ててこの設定に不満が無いので,そこは了承してほしい.
ここまで読んでもらって,「ああ,俺が求めているものはこれじゃないな」と思った方,遠慮なくこのページを閉じるなり,ブラウザバックなりをしてもらうといい.そうでない方も,遠慮はいらない.「この文体が気持ちが悪い」だとか,「文章が読みずらい」だとか,あるいは「率直に面白くない」と思うことが,この小説を読んでいる間中に頻出するはずだ.
さて,ここらでエピローグは終わりであるが,前述したように,次の章からはいきなり無職の主人公が公園で暇をつぶしている場面から始まる.正直,その描写は心躍るようなものでもないし,読むのが苦痛であろうと思う.だが,この場面の主人公の心理状態や行動だけは,拙いながらもかなりリアルに書けていると自負している.(残りの部分は全て蛇足である)
よって,どうか心折れないで一章の前半だけは目を通してほしい.先ほど「遠慮なく途中で読むのをやめて構わない」と言った気がするが,気にしてはいけない.
また,さらに蛇足になるが,主人公が無職であることと,作者である私の個人的なプロフィールとには,何の関係もない.私は職が無い傍ら,暇つぶしの自己投影のためにこれを書いているわけでは,決してない.