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8:一日

「ふん、うちのネージュとお見合いだなんて、千億年早いよ」

「シエル、断っていただいて助かりました。まさか、お見合いセッティングされそうになるとは思いませんでした!」

 前世の私なら大歓迎でしたが、今の私は十代。まだまだ結婚を決めるのは早いお年頃なのです。


 王宮からの帰り道、シエルと今日の事を話しながら手を繋いで帰っております。

 王様は家まで送ると言われましたが、シエルが歩いて帰ると断りました。

 私も、歩いて帰る方が好きです。途中で寄り道して、シエルに甘いドーナツとケーキを買ってもらいましたから。

 シエルはすぐに私を甘やかします。私としては大歓迎ですが、この調子では肥満ペットになる日も近いかもしれません。前世のテレビ番組で見たデップリとしたお腹の犬や猫の姿が脳裏をよぎります。

「また、ちょくちょく仕事で王宮に来る事になるかもしれない」

「そうですか」

「でも、お見合いなんて絶対にさせないから!」

 力強く頼もしいお言葉です。シエルは親バカ……人間バカな獣人ですね。

「はい! 宜しくお願いします!」

 しばらくは、こうしてシエルと二人でのんびりと過ごすのもいいかもしれません。



 私の一日は、シエルに起こされるところから始まります。

「ネージュ、朝だよ」

「ふわわ……あ、おはようございます」

 寝起きは良い方なので、私はすんなり起きて服を着替えます。前世の騒音目覚ましと違い、シエルの声は心地よいです……。

 シエルは朝の六時頃、私はその一時間後くらいに起きていますが、その頃になると朝ご飯が出来ています。天国ですか、ここは。

 料理を手伝うと申し出たこともありましたが、「餌付けする楽しみが無くなるのは嫌」という理由で未ださせてもらえません。仕方ないので、お皿を運ぶだけに止めています。

 前世では考えられないくらい、贅沢な朝です。

 朝食後の洗い物も、「ネージュの手が荒れるのは嫌」という理由でさせてもらえません。シエルが魔法でちゃっちゃと洗ってしまいます。

 お世話になっているのに何もしないでいるのは罪悪感が湧くので、部屋のお掃除(掃き掃除限定)を何とか引き受けさせてもらいました。

 洗濯も、シエルが魔法でやってしまうので、私は洗い終わった物を順に干していきます。それだけなのに……

「ネージュは本当に良い子だねぇ。僕は幸せ者だな……」

 緩んだ顔のシエルに過剰に褒めてもらえます。……洗濯干しただけじゃないですか。


 その後は、シエルのお仕事を見学しています。

 シエルは仕事を家でする事が多いです。薬のようなものを作ったり、魔法についての本を読みあさったり、魔術の実験をしたり……。

 実験するときはシエルは実験室にこもってしまうので、見る事が出来ません。「危ないから入っちゃダメ」と言われています。

 そう言うときは、本を読んだりしてこの世界についての勉強をしています。


 そして、お昼を食べて、またシエルの仕事を見学して、シエルと食材の買い出しに行きます。シエルはまた私を甘やかして、いつも菓子パンやらケーキ屋らを買ってくれます。

 そして、晩ご飯を食べてお風呂に入って、シエルにグルーミングされます。

 グルーミングと言っても髪をとかれるだけなので、自分ですると言ったのですが、「僕の楽しみを取らないで」という理由で却下され、今ではされるがままになっています。

 シエルの仕事が立て込んでいないときは、そのあと一緒に寝ます。その度に頭を撫でられたり頬をスリスリされたりするのですが、最近は慣れてきました。

 色っぽい事?

 そんなのありませんよ、だって私は唯のペットなのですから。


 ……色々この世界に流されてるなあとは、思います。でも、元々長い物に巻かれる性格ですから……。

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