24:帰還
シエルが帰ってきました。
王様から事情を聴いた彼は、お仕事が終わると速攻で城の私の部屋に来てくれたようです。
「ネージュ!!」
シエルは彼のために扉を開けた私に、さっそく熱い抱擁をお見舞いしてくれました。
背中が痛いです、獣人の力は人間よりも強いのだから加減してください。
「ごめんね、ネージュ! 僕があんな所に預けたばっかりに……怖かっただろう?」
「……大丈夫ですよ? お城に保護してもらいましたから」
「でも、ネージュがつらい思いをしたのは変わらないよ!」
相変わらずの過保護ぶりですね。
でも、シエルが元気そうで、ホッとしました。
「さあ、家に帰ろうね」
私を抱き上げた彼は、そそくさと部屋を出ます。
「降ろしてください! この格好は恥ずかしいです!」
「駄目。ネージュと離れすぎた所為で、癒しが足りないの」
部屋の外には人間のみんなが見送りに来てくれていました。嬉しいです……!
「ネージュ、また遊びに来て!」
「今度からウチに泊りに来るといいよ!」
セゾンとミエルです。本当に可愛い子たちです。家に帰るだけなのに目頭が熱くなってきました。
「はい……ありがとうございます」
ソルとロシェの夫婦はニヤニヤしながらこちらを見ています。
ロシェの勘違いはまだ続いているようです。ソルにまで波及しています……誤解ですってば!
ミラネさん、フラジエさん、アナナさんも手を振ってくれています。私もシエルに抱っこされながら、手を振りかえしました。
「ネージュ、また会おうね」
最後にショコラが声をかけてくれました。彼とはこの三日間で良い友達になれました。
横には王様もいます。
「はい、またお会いしましょう! 王様、この度は本当にありがとうございました!」
こうして、私は人間達と王様に見送られてお城を後にしたのでした。
「お土産をいっぱい買ってきたからね」
「ありがとうございます……あの、やっぱり恥ずかしいのですが」
帰り道も、やっぱりシエルは私を降ろしてはくれませんでした。




