21:相談
「なんだ、そんなこと?」
今日は、朝ご飯を食べた後でロシェの部屋にお邪魔しています。
ロシェの部屋はセゾンの部屋とは趣が違いますが、とても可愛い部屋です。
ミントグリーンのクロスにスッキリとした白い家具。ゴールド系の小物が多く見受けられます。
今日のロシェは、ベージュのラインの入った紺色のドレスを着ています、ドレスと同じ色の大ぶりのピアスが可愛いです。
私は彼女に、昨日感じた獣人と人間間における、恋愛感情の有無に関する疑問について尋ねてみることにしたのです。
「ちょっと、気になったものですから」
アナナさんと鹿の獣人男性の出来事はもちろん伏せています。
「もしかして、飼い主のことが好きになってしまったとか?」
「え? いや。シエルのことではなくて、一般的にどうなのかなと思いまして……」
「ふぅーん……」
ロシェがニヤニヤした目でこちらを見てくるので、何か誤解されている気がします。
「本当に、シエルのことではないですよ?」
「そう言うことにしておいてあげる」
とてもいい笑顔ですね。何を言っても、聞き入れてもらえなさそうです。
彼女も私より少し年上なだけでほぼ同世代。そう言う話題が好きなのは仕方がないことですよね……。
「結論から言うと、ありと言えばありなのよね……」
「……そうなんですか」
ありなんだ? ペットとの恋愛って……。
「ただし、獣人と人間の間には子供は出来ないし、相手がペットであるということで当然獣人同士の恋愛と比べると障害が多いから、現実的にはほとんど無いと言えるわ」
つまり、異種間での交際をする人はかなり少数派ということですね。
「それに、人間ってここではレアだから交際というか出会い自体が難しいし。それなら人間同士をくっつけて子供を産ませたいと考える獣人が圧倒的に多いわ」
「希少動物の保護や繁殖という考えが優先的に働くと言う訳ですか」
「そう、大体の獣人は陛下のように普通に人間をペットとして純粋に可愛がっているだけだし。万が一、異性として接するのが目的で人間を所持している獣人がいたとしても、人間に本気になることは少ないと思うわ。陛下の友人で人間を飼っている貴族の男がいるけれど、そこの人間は子供の出来る心配の無い便利な愛人扱いされているし……」
少しディープな話も聞けました。レザンさんの試させて発言は……まぁ、そういう感じだったのでしょう……。
「ネージュ、そう落ち込まないで。異種間でも上手くいくカップルだって、私が知らないだけでいるかもしれないし! 私は応援するわ!」
「いや、だから私とシエルはそんなのじゃなくて……」
「分かってる、分かってる」
全然分かっていないロシェは、私とその後も少しズレた恋愛トーク? を繰り広げたのでした。
シエルが純粋な目的で人間を飼う獣人で本当に良かったと思います。
もし、彼に出会うまでにこの話を知っていたら、私は彼に飼われることを躊躇していたでしょうから。




