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16:純正

 食事が終わると私は部屋へ戻りました。しかし、退屈です。

 場内を散歩してみましょうか。王様曰く、ペットは城をウロウロしていても咎められないという事でしたから。

「探検しましょう!」

 私の部屋は五階ですから、まずは五階よりも下のフロアを見てみましょう。

 広い階段を駆け下ります。ペットだから何をしても怒られないみたいです。

 前方にセゾン嬢を発見しました。なんと、地べたに寝ているではありませんか! 周りのメイドさん達、知らん顔です。

 寝転んでいる彼女を避けて掃除をしています。


「セゾン、起きて下さい」

 王宮の中は温かいとはいえ、今は冬なのです。ユサユサと彼女を揺すってみました。

「んーーーー」

 何度か揺すると、彼女は目を覚ましました。

「……あ、新入り……どうしたの?」

「こんな所で寝ていると、風邪を引きますよ?」

 彼女は不思議そうに私を見ています。可愛らしいですね。

「眠いなら、お部屋に行きましょう。送ります」

 まだ半分寝ている彼女は、コクリと頷くと、ヨロヨロと立ち上がりました。

「部屋、階段を上がって左……」

「分かりました」


 セゾン嬢に肩を貸して、階段を上ります。彼女の案内で無事に部屋まで辿り着きました。

 扉を開けると、淡いピンク色の内装が目に飛び込んできました。絨毯もカーテンも布類は全部ピンクです。

 家具は白く、全て猫足になっています。

「可愛い……」

 私がそう呟くと、セゾンはふわりと微笑みました。まるで、儚げな妖精のようです。

「全部、アルトに揃えてもらったの……お願いしたら買ってくれた……」

 この内装は彼女の趣味みたいですね。淡い色がセゾンにとても似合っています。

「寝る……」

 そう言うと、セゾンはフラフラとベッドに歩いていき、ポスンと倒れました。

「また、遊びに来て…………新入り……」

「はい……」

 そのまま、彼女はスースー寝息を立て始めました。完全に眠ってしまったようです。

 私はセゾン嬢の部屋を後にしました。それにしても「新入り」って、私の名前覚えてくれていないですね。

 でも、少し仲良くなれたのは嬉しいので、よしとしましょう。

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