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【おちゃの絵日記】 おちゃ漬け  作者: 越智屋ノマ
第1章: 絵日記スタート から 茶太郎が生まれる前まで
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絵日記のきっかけ

 絵日記を、というかホームページを始めようと思ったきっかけは、つわりでした。


挿絵(By みてみん)

「なんだこれ、まさかこんなにツライもんだとは……」

 つわりのせいで、来る日も来る日も胃のがどん底。それまで毎日のように小説を書いていたのですが、あまりの吐き気でそんなやる気も身をひそめ……。

 だから、つわりが終わったときは本当にうれしかったですね。

 つわりって妊娠初期に多いモノなのですが、人によっては後期ごろに胃が圧迫されて再びつわりになる場合もあるそうで。それに『つわりが終わった』と言っても胃の不調が完全に消えたわけでもなく、日によっては吐き気がぶり返すこともしばしばで。今日は調子がよくっても、明日は同じテンションでいけるかどうか分からないわけです。

 調子の良いこの瞬間に、小さなものでもいいから何かを形にしたい。と思いました。


 それまでは、いつか人さまの目に触れることを祈りつつ長編小説を長時間かけて書き進めようとしていたのですが。調子が悪くなって中断すると仕切り直しになって、何書きたかったのか自分でもよくわかんなくなっちゃうんです。

 『いつか』『いつか』を夢見てストイックに頑張るのも一つのスタンスですが。いまの自分には向いていない。いま叶えられる夢をいま叶えよう、と思いました。

 おちゃにとって『いま叶えられる夢』は、気ままにつらつら楽しく創って、人に見ていただくことです。

 ここ一年ほど小説の力をプロ並みにしたいと思って絵を描くのを中断していたのですが――画力と文章力の両方を磨くのは無理だと思っていたためです――、ひさびさに絵も再開しました。絵と小説の両方を好き勝手に掲載できる場所が欲しくて、ホームページも作ってみました。

 これからも、ちょっとしたモノでも拙いモノでもいいから、自分が作りたいなと思ったモノを書き連ねていけたらいいなと思います。


 で。自分のスタンスを大きく変えてくれたつわりについて、以下に綴ります。

(以下は2013.1に自サイト『おちゃっぱガーデン』に掲載した内容を再編集したものです)


  ************


 体験してみて心からそう思ってしまいました……妊婦ってエライ。

 24時間おなかで子供育てながら活動してるんですもん。つわりはキツいし、疲れやすいし、行動範囲はおのずと狭まるし。おもしろいもんだなぁ、と今では思いますけども。つわりの症状って人それぞれですね。

 『悪阻つわり』――主に妊娠初期に出現する、吐き気・胃もたれ・食欲不振などなどのこと。全然つわりが起きない方も1割くらいいるようで。その症状や出現時期は、個人差が大きいようです。(参考: ベネッセコーポレーション編(2011)『たまごクラブ特別編集 月数ごとに「見てわかる!」妊娠・出産新百科』 風讃社34pp)

 おちゃっぱも、相当悩まされましたよ。初めのうちは軽めの胸焼けと胃部不快くらいだったのですが、妊娠3か月めに入るくらいのある日、強烈なつわりの洗礼を受けました。その日も昼くらいまでは、わりと普通に飲食できていたのですが。午後にパソコン作業を始めた途端にぐわっ、と。

 嘔吐を伴う二日酔いの経験をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、まさにあんな感じでした。吐き気の強弱はあったものの、まるまる3か月くらいはそんな日が続きまして。最初は自分の武勇伝に加えようかと思って律儀に吐いた回数をカウントしていたのですが、40回に迫ろうかというあたりで心が折れて中止しました。つわり恐るべし。


 つわりに関して何より驚いたのが、活字を読むと吐き気が増すことでした(『文字酔い』と名付けました)。「こんなこと起こるんだ……そんな症状たまひよにも書いてなかったのに」と思いgoogle検索してみたところ、似た症状の妊婦さんもいらっしゃるようで。個人差なんですかね。

 当時のおちゃっぱは『生きがい』と呼んでも差し支えないほどの情熱をかけて、毎日せっせと小説を書いていました。でも文字酔いに阻まれてそれも中断せざるをえなくなり。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

 書くことを自分のアイデンティティみたいに思っていた当時のおちゃっぱにとって、文字酔いはとてもつらかったです。「書けないならば、せめて人の作品を読んで創作の糧にしよう!」と思い直してみたものの、小説もマンガも読み込むうちに吐き気が出てきてしまう。趣味がほとんど何もできなくなって、どうしたらいいんだととほうにくれたものです。

 趣味に限らず、やはり仕事でも文字酔いは困りました。継続してパソコンに向かっているとキツくって。

 まぁ、次第に文字を読んでいてもいなくても吐きまくるようになりましたが。


挿絵(By みてみん)

 なんとかかんとか仕事を続けられて、良かったなぁとしみじみ思います。

 来る日も来る日も吐き気だと、趣味や娯楽を求める気持ちも萎えてきます。そうなるとただただTV画像を遠くからぼけ~……っと眺めて時間の経過を待つばかり(通販番組かバラエティが最適でした)。どん底レベルに不調な日は家で這いつくばっているしかありませんでしたが、比較的マシな日は仕事に出ているほうがラクでした。気がまぎれるんでしょうか。あるいは緊張があったおかげかもしれません。

 ゾンビみたいによろよろしながらもなんとか乗り切ることができたのは、周囲の方々のサポートのおかげです。


 ***

 つわりに負けて時間を浪費するのが、悔しかったのです。だからいろいろと、つわり軽減のための作戦を考案して頑張っていました。他の方にとっての効果はまったく保証できませんので、ご了承ください。


 <自分にとって有効だった(と思われる)作戦>

・ 誰かとしゃべったりお茶したり。

  :気がまぎれるんですよね! ともかく助かった。

・ 心を無にしてフェルティングに励む

  :フェルティング。ご存知ですか? 羊毛フェルトを専用の針でチクチク刺してマスコットなどを作る手芸です。テキスト見ながら無心でチクチクしていたら、いつの間にやらお人形さんが出来てました。ちょっとした達成感。

・ 有能なエチケット袋を持ち歩く

  :精神衛生上、極めて有効です。ドラッグストアで売ってますから、ちょっと高くても買ったほうがいい。体調良い日はこいつをお供に外界へ出ていました。

・ 『たまごクラブ』などで情報を求める

  :情報誌にはつわり軽減法がいろいろと乗っているので、もしかしたら自分と相性のいい方法が見つかるかもしれません。自分は根を詰めて読むと『文字酔い』になってしまうので、さらさら眺めている程度でしたが。


 <微妙だった作戦>

・ 呼吸に意識を集中

  :ジョジョの奇妙な冒険――集英社の大人気漫画ですね。ご存知の方も多いと思います(2013年現在は終了していますけど。つわり当時は放送中でした)。Part1の主人公ジョジョが、師と仰ぐツェペリ氏から波紋呼吸法の修行を受けるシーンがありまして。その呼吸法を極めることによって、傷は治り痛みも癒えるのです。このシーンをアニメで眺めながら、「ひょっとしたら呼吸法でつわりも楽になるんじゃん? ラマーズ法だって呼吸だもんね」なんて思っちゃって、ジョジョに合わせて深呼吸したりしてたんですけれども。素人には無理難題だったようです。おちゃには波紋疾走オーバードライブなんて出せそうにもありません。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


・ 「つわりが終わったらやりたいこと」を思い描く

  :それが励みになることもあるのですが、現実にいつまでも終わらないとしょんぼりしてきます。

・ 「何月何日につわり終了」と断言して、自分に暗示をかける

  :「ある日突然パッタリ収まる人もいる」「妊娠4か月くらいで収まる人が多い」「精神的なファクターもつわりには関与する」と聞いていたので、終了時期を断言して暗示をかけようとしていました。無効でした。がっかりするので、気張りすぎず自然の経過に任せたほうが得策です。


 <結局は>

 ――結局つわりというものは、終わるときが来るまで終わらないモノだったようです。意志の力ではなんともしがたいものでしたが、浮き沈みを繰り返して日が経つごとに少しずつ楽になってきました。吐き気が減った後も胸焼けはかなり長く続いたのですが、吐かなければとりあえずOKということで(文字酔いが癒えたときは「助かった~」と心底思いました。書いたり描いたりできないとおちゃっぱには大ダメージです)。

 マタニティ情報誌を見ているうちに知らず知らず「ほとんどの人がそろそろ楽になる時期なのに、自分はいつまでも収まらないよ」とか「出産まで吐き気が続くひとが何割いるけれど、自分もそうなのかな」とか考えてしまいました。でもそれはあまり意味がないので、深く考えず体調に合わせてそのときどきを楽しむ工夫をしたほうがいいなと思います。


 <おまけ>

挿絵(By みてみん)

 つわりの時期にはまだお腹が大きくないので、周囲の人にツラさが伝わらないこともありますよね。電車の優先席は、あの時期こそ譲ってほしかったです……かばんにマタニティマークつけてても、あんまり意味がなかった。電車の中で数少ない空席を得るべく、見知らぬおばあさんと本気でイス取りゲームしたこともありました(スミマセン、おばあさん。あたしの勝ちでしたね)。

 心が狭くて恐縮ですが、体力あり余ってそうな人が優先席で寝たふりしてるとムッとしてました。「こんどから優先席は空けておいてあげよう。ホントに必要な人がいるのだから」と、つわりを経て思えるようになったおちゃです。

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