カエル、ゲコゲコ
武器の手入れをしていたら、悪魔教官に呼ばれた。
普段は1番が時折喚ばれているのだが………
俺はこんな時間に呼ばれた事は無い。
不安を感じながらも、拒否する事が出来るわけでも無く、ついて行った。
連れてこられたのは、応接室と思われる部屋だ。
趣味の悪い金ピカの調度品で飾られたこの部屋で、2人が話しをしていた。
1人は、ひいき目に見ても盗賊としか見えない男で、何度か見た事がある。
もう1人は、魔女と呼ばれている、フード付きのローブをかぶり分かりずらいが、イボガエルが人間に化けている様だ。
こちらは見た事が無い、と言うか見たら忘れ無いつらだ。
魔女の嫌な目と一瞬目が合うと嫌な汗が背中を流れた。
「魔法が使えるて言う坊やはコイツかい?」
「オイ、やって見せるんだ!!」
「サー」手渡されたリンゴをカード化して見せた。
「なかなスムーズじゃないかい、これなら仕込めば少しは使えるかも知れないね~」
「だろ、まだ訓練中だが、多少剣も使えるしお買い得だ」
「何を言ってるんだい、魔法使いが剣を使えたってしょうがないじゃないか」
「それに、どうせ違法奴隷なんだろ? 1人ぐらいプレゼントしたって罰は当たらないよ」
「オイオイ、まさかタダで持ってく気かよ」
「そんなに価値のあるもんでも無いんだし良いだろ? いいておいいよ~」
男はしばら考えていたが、「魔女様には負けたよ、そんなに価値がある訳でも無いしなもってきな」
「いい男てのは、そうでなきゃね~」
これには、男も苦笑いをするしかなかった様だ。
こうして魔女に買われた俺は、脱走計画を立て前に砦を出る事になった。
翌朝、魔女の馬車に荷物を積み込み砦を後にした。
荷物を積み込むと言っても生活魔法でカード化されているので手荷物程度なのでたいした手前では無い。
この魔女様は、マジックアイテムのブローカーで、盗品や出所の怪しいマジックアイテムも扱うているらいし。
「この川のほとりが本日の宿だよ、食事の支度をするから、水を汲んできな」
ただの野宿である。
奴隷の首の主を変更した事で、もうサーを言う必要も無くなった。
生活魔法で水を出すぐらいは出来るのだが、言われた通りに川で水を汲んできた。
魔女様の指示で鍋に水を入れ火にかけた。
下茹でもせずに切ったモンスターの肉を煮込むだけの砦の料理と違い、沸いた湯に肉を入れ灰汁抜きした肉と、草ぽい野菜を炒めた、肉野菜炒めを作ってくれた。
奴隷の食事を作るご主人様っていったい………
不味い物を食べたくないのなら正解だが深く考えるよりここはスルースキルを使おう。
もちろん、食事は凄くおいしかった。
川で食事の後片付けをしていたら突然森の方からモンスターが現れた。
豚の様な鼻に大きな耳、口には下から上へとのびた大きく太い牙、ゴブリンである。
黒く大きな体は、それだけでも驚異的であるのに、手には棍棒を持っている、なかには錆びた剣をもつ者も。
「5匹のゴブリンだ」と、思いっ切り叫んだ俺はそのまま馬車へと逃げ出した。
「お前は何で、ゴブリンぐらいで慌ててるんだい?情け無いね~」
「見ておいでよ、これが魔法さ」
「大地の子らよ、敵を打ち倒せ」
地面から突然30センチはあろうかと言うカエルが現れた。
石で出来たカエルは、思いっ切りゴブリンの顔面をめがけて飛び跳ねた。
次々と地面から石のカエルがトビ出しゴブリンを倒していった。
キモイけど「凄いです」
「これが魔法てもんだよ、わかったらゴブリンをカード化してきな。」
「はい!!」初めて見た攻撃魔法は、思っていた以上に凄かった。