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勇者

 

 

 冒険者ギルドの建物を後にしてしばらく歩いていると、人だかりを発見した。



 まるで、誰かが演説をしている様だ、何となく気になるフレーズがあった。



 勇者と言うフレーズが妙に気になり、人混みに紛れ話しを聞くと。



 デマゴーグを名乗るその男は、自分が勇者であると聴衆に語っているのだ。



 「あなたはどう思う、この自称勇者は?」と、隣のおばさんが話しかけてきた。



 「ヤッパリ、自称勇者なんですか?」



 「ほら、あなたも知ってるでしょ、こないだ魔王復活のお告げがあったの。 それから増えてるらしいわよ」



 「そうなんですか? なにぶん最近町にきたばかりでして」 「あら、そうなの? 光の教会やら腸トちょうぼくしなんが、魔王復活が復活したと発表してたわよ」



 やはり、魔王が復活したのか。



 おばちゃんに、飴ちゃんを数個貰ったので、1つ舐めてみることにした。



 油紙を開くと、琥珀色の鼈甲飴みたいで、疲れた体に嬉しいご褒美だ。



 「これ、凄く美味しいですね、お姉さん」とおばちゃんに言うと、



 「あら、正直ねー♪ これもあげるわ」などと言って、お菓子を沢山貰ってしまった。



 魔王の話しは気になったが、井戸端会議の情報を信じ過ぎるのもよく無いので、後日冒険者ギルドで聞くと、心のメモ用紙に書いておいた。 ナギサの宿に帰ると、生活魔法で、装備品の掃除と風呂代わりの浄化を自身にかけて、昼まで仮眠をとる事にした。



 「ふぁー  よく寝た」短い間だったが凄く熟睡できた。



 一階に降りると、なぎさちゃんが食堂の掃除をしていた。



 「なぎさちゃん、おはよう」



 「お兄ちゃん、今まで寝てたの?」



 「昨日は、徹夜したからね、疲れをとるのも仕事なんだよ」と尤もらしく言っておく。



 「本当かな?」 なかなか鋭い子だ。



 「何処で、昼食って取れるかな?」



 「ごめんねお兄ちゃん、今ママが居ないから、料理出せないの」



 「近くに屋台が出てるよ」と教えてもらったので、屋台で串焼きを食べた。



 どこぞのステーキみたいに、肉を豪快に焼いただけのシンプルな物だが、旨くもなく、マズくもないと言う微妙な串焼きを食べた。



 ご飯も食べたし、町の地図を完成させようと考えて、城壁ぞいの道を歩いてみたが……… 意外に広い!! 上空からみた雰囲気では、もっと狭いと思ったのだが、1周約30キロと言うところか。



 町の中心から北には、冒険者に関係した施設が多くあり、東には、町の有力者が多く住んでいる様だった。



 それ以外は、一般の町の住人が住んでいるみたいだ。



 因みに、南から北の城壁の外には、貧民街が壁ぞいに広がっている。 

 

 町の中を散策すれば、細かい事も分かると思うが、周りを回る程度で、これだけ雰囲気をつかむ事が出来たので十分だ。



 ナギサに帰ると、既に食堂は賑わっていた。



 「つばさ君こっちよ」とナオミさんが手を振っ呼んでいるので、相席する事にした。



 「ナオミさんは、本当に良く利用してるんですね」



 「昔はね、ここを常宿にしてたのよ。 今も近所に住んでるしね。 それに何より料理が美味しいのよ」



 「ああ、それでですか、ここ本当に美味しいですね」確かに、ナギサの宿は、食事の楽しめる居酒屋の様な雰囲気で、安くてしかも旨いのだ。


 

 「つばさ君、今回随分と稼いだ事だし、もう少しいい、鎧を買ったら? 命は大事よ」



 確かに今回の稼ぎなら今までよりいい装備に変更出来そうなので、俺も考えていた。



 「おすすめ出来る店があれば、紹介してくれませんか?」



 「冒険者の間で、評判がいい店なら、いくつか有るわね。 場所を教えて上げられる程度だけども」



 「それで、充分です」 冒険者の受付をして居るナオミさんがいい店だと聞いているなら、まず間違い無いだろう。



 場所を聞いておいた。

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