僕は死神に殺された
僕は、『死神』と言う奴に殺された。
僕は今、天国にいる。天国と言うのは本当にいい所で、毎日楽しくってしょうがない。とは言っても、人間が死んだらいつまでも天国にいられるわけではなくて、七日ごとに行われる〈決議〉で生まれ変わるらしい。
僕は、二回の〈決議〉を経験した。〈決議〉は非常にシンプルなやり方で、まず天国に住む全ての住人に番号札が配られる。そして、天界の神、天心様がくじを引くのだ。
僕は二回の〈決議〉で、どちらも当選しなかった。一回の〈決議〉で当選する人数はおよそ一万五千人。その一万五千人を七日間に振り分けて生まれさせる訳だ。その時に記憶を消され、完全に新たな生命として生まれ変わるらしいけど、時々失敗して前世の記憶を持った人間が生まれてしまうらしい。
僕は八歳で死んだ。死神に殺されて、だ。尤も、死んだ当初は死神にと言う実感はなく、天界の天子、『天天』に教えられたのだけれど。
本当は、死神は必要以上に人間を殺す事はないらしい。しかし僕を殺した死神はおかしな趣味を持っていて、少年少女を次々に殺していたらしい。まあ、その死神はもう罰を受けたらしいけど。
でも悔しいなぁ……。僕はまだまだやりたい事がたくさんあったのに。
家族で海外にも行きたかったし、あの子に告白もしたかった。そうすればもしかしたら付き合えたかもしれないし、もっと言えば結婚もできたかもしれない。新婚旅行にはやっぱりハワイだろう。それで子供は二人がいいかな。それから……。
ああくそう、やっぱり悔しい。僕はあの子にまだ何も言っていない。ああ、生き返りたいなぁ。
そう思っていたある日、天国からは下界の様子が一望にできる事を知った。さらに、場所を指定すればピンポイントで眺める事も出来るらしい。
僕はそれから毎日、下界を眺める事に没頭した。眺めるのはもちろん、あの子。いつでも僕はあの子と一緒に過ごしている。場所は離れていても、眺める景色は一緒なんだ。
今日は〈決議〉の日だ。でも大丈夫。僕は引かれない。なぜなら、僕の心はいつまでもあの子と一緒にあるからだ。家族なんてどうでもいい。あの子と一緒に……。
『おめでとうございます! あなたは〈決議〉によるくじ引きで、当選されました!』
突然、天天が告げに来た。
『あなたはこれから犬に生まれ変わります。さぁ行きますよ』
嘘だろ? そんな馬鹿な。
僕の心はあの子と一緒なのに。
僕はまだ、ここであの子を見ていたいのに。
犬になったら、あの子が見れないじゃないか。
ああくそう、悔しいなぁ。僕はまだあの子を眺めていたい。ああ、生き返りたくないなぁ……。
僕の魂は、記憶を消され、犬に転生した。
でも残念。僕の記憶は、失われてなんかいないんだよ。
ホラーって言うか……
うん、まあ別の意味で怖いけどね。