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 魔界を統べし三十六公爵の一人、マジェインはいった。

「こいつの力の源がわからん。本当にこのガキがこれほどの修行を積んだというのか。ジト、おまえ、わたしに気づかれないほどの潜在的な天才児だったのか」

 これはちがう。ジトはマジェインがいうような天才児ではない。山奥に行き、堕天使と契約を結んできただけだ。これは、わからなくなってきた。ひょっとしたら、マジェインは堕天使より強いかもしれない。

「王をたぶらかし、悪魔に国を売ったのはおまえか、マジェイン」

「そうだ。それがどうした。くくくっ、そのうち、この国は地獄に変わるところだったのに、よくも邪魔をしてくれたな。吹っ飛べ。町ごと消し去ってくれる」

 大爆発が起こった。城下町が爆風で崩れ去っていく。マジェインの爆破魔法だ。この爆発で、数千人の人が死んだといわれる。

 だが、直撃をくらったはずのジトは無事だ。いつものように、ジトの自動魔法障壁が全自動で反撃する。

「くらえ、三倍返し」

 さらに巨大な爆発が起こった。この爆発は、お城も崩し、何万人を殺したといわれる。

 さらに、追加反撃。核融合爆発で、マジェインの体を攻撃。

 予想外の攻撃を受け、マジェインの頭から青い血が流れていた。

 ちなみに、このジトの反撃魔法で、リリは死んだ。塵になって消えた。

「下種が。身の程もわきまえず、この私に血を流させるなど」

 マジェインがつぶやいた。

 ジトが体力を使い、リリを蘇生させる。

「大丈夫か、リリ」

 言い捨てるように話しかけたジトに、リリはきょとんとする。

「あれ、わたし、生きてる」

「そうだ。正気か、リリ」

「うーん、あんまり正気じゃない。さっき、すごい爆発があったんだよ。わたし、それで死んだかと思った」

「ええと、正確にいうと、おまえの覚えている爆発ではおまえは死ななかった。おれが守った。だけど、ついうっかり、反撃でおまえが死ぬのを忘れていた。つまり、リリ、おまえを殺したのはおれだよ」

「何が何だか、さっぱりです」

 リリはまたジトにしがみついた。

 ジトがふと、気づいたことをいった。

「マジェイン、おまえ、自分の命を自分で持っていないな」

 マジェインは青ざめた。

「おまえにはどうでもよいことだ」

「おまえの命は、魔王に預けとられてるんだ。だから、魔王に逆らえないんだろう」

「恐れ多くも、そのような名を口にするものではないぞ、人間ごときが」

 ジトは、似たりと笑った。

「ははあん、さては、魔界三十六公爵、全員、魔王に命を奪われているな。図星だろう」

 マジェインの顔が険しくなった。

「それがわかる貴様は何者だといっているのだ、小僧」

 マジェインが触手を伸ばし、ジトを刺そうとしたが、触手はジトの手前ではじき返された。自動物理防御だ。

「おれは、知ってのとおり、この国で生まれたただの小僧だよ。おまえたちは、その小僧にも勝てないのさ」

「ははははははっ、わかっておらん。わかっておらんぞ、ジト。我らの命がどれほど厳重に守られているのかがわかっておらん。万が一にも、貴様に傷つけられる心配はないわ」

「呼び出してやる。その魔王様をよ」

「バカか。正気か。この星ごと、ふっとぶぞ。いや、宇宙が危ない」

「ジト、大丈夫なの」

 リリがいった。

「まかしておけ」

 こんな男に任せられるわけないと、思ったりしないでもなかった。


盛り上がってきたつもりです。

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