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ノンフィクションのプラトニックラブ

この第五巻で最終巻としました。

新しい出会いが私を大きく変えてくれます。

今までには想像もしなかった私を描いています。

         第五巻

 恋・奇跡の出会い

さて、私、入社後二十七歳の時から放射線管理の仕事に従事しており、検査業界である工商会放安委の委員を歴任しました。

今までの出張と言えば、要件に合わせて移動していき、仕事が終われば直ぐに直帰。

まあ、普通ですけど。

時は、昨年令和四年年末のこと、年明けに組まれていた出張の準備をしておりました。

スケジュールの確認をしていた時、二月三日金曜日、工商会XWG会議のため、前日二月二日には東京へ移動。

翌週二月八日水曜日には、主任者定期講習の予定がありました。

この時点では、週明け月・火の予定がなく、

二月六日月曜日、根元社内パトロール、翌二月七日火曜日、河崎社内パトロールの予定を組みました。

と、なると、土・日を挟んでいるため、この余暇を過ごすいい方法はないかと思案しておりました。

この時、以前からお世話になっている、工商会事務局の「飯田」さんに聞いてみることを思いつき、直ぐに電話しました。

そこで、

「ん~」

「東京に住んでいるとなかなか行かないんだけど、『きじバスツアー』とか、『東京タワー』なんかいいって言う人がいるよ」

「このあたりがお勧めかな」

と勧められ、私、直ぐにスマホを取り出し検索しました。

『きじバスツアー』は参加したことないし、『東京タワー』も高校の修学旅行で、東京に行ったときに訪れて以来だったので、心を弾ませながら検索しておりました。

まず、最初は『きじバス』検索。

なんと、色々なツアーコースがありました。

『コロナ禍』と言うこともあり、予定があっても実際は運営されていないツアーコースもありましたが、その中でも、一番の決め手は、

行ったことのない場所。

次は、日帰りコース。

その次は、価格帯。

そこで浮上してきたのが、

『鎌田~江の山遊覧』というコース。

運行日も土・日運行のみ。

「うん」

「先ずはこれ」

と思い、直ぐスマホに登録。

次に検索していたのが、『東京タワー』

「ん~」

「懐かし~」

の思いを抱きながら検索。

実は、この土・日を利用して行きたかった場所がもう一軒。

私の趣味としている『釣り』関連で、息子と協議していて、時期も『冬』なので、『ワカサギ釣り』がしたい。

で、いろいろ調べてみると、どうやら私の住んでいる『広島』を含めた中国地方ではメジャーではなく、

場所も限られている。

『タックル』も売っていない。

『仕掛け』も殆どない状態。

と、言う訳で、検索していると、以前私が利用したことのある、通販もしている『釣具のキャスター・青山店』を見つけました。

よって、この、三つの組み合わせを考えて決断。

二月四日土曜日『はとバスツアー』で『鎌倉~江の島遊覧』

二月五日日曜日『釣具のキャスティング』にて、釣りの情報収集と、タックル・仕掛けの相談。帰りに秋葉原で壊れた『キーボード』の購入。及び、帰りに時間があれば『東京タワー』そして、溜まった洗濯ものをホテルで洗濯。

と、言うスケジュールを組みました。

二月三日『工商会・XWG』委員会終了後、時間があったので、東京駅で『きじバスツアー』の下見。

私、出張等で出掛ける時は、いつも時間の許す限り『所要時間・場所』の確認をすることにしております。

そして、当日、待ちに待った初『きじバスツアー』出発時間が八時二十分でしたので、三十分前には着くようにホテルを出発。

東京駅丸の内南口改札を抜けると、そこには、『きじバス』乗り場の案内が掲げてありましたので、案内の矢印に沿って進むことに。

東京駅構内を抜けると、左に曲がる。

するとすぐに乗り場があり、黄色くて可愛いバスが停まっていました。

私は、はやる心を抑えながら、まだ集合時間までには早すぎたので、少し手間への休憩所で、いつも飲んでいる『ジョージア・ブラック缶コーヒー』を買ってベンチに座り、飲みながら休憩していました。

やがて、出発の二十分前になると、乗車のアナウンスが流れ、

「お待たせいたしました」

「出発のご案内をさせて頂きます」

「八時二十分発、『鎌倉~江の島遊覧』ツアーにご参加のお客様は、バス乗り場五番乗り場までお越しください」

休憩所から出て、五番乗り場へ向かうと、既に数人の方が乗車の手続きをされておられました。

案内されていたのは、

『運転手』

『ツアー案内係の男性職員』

『バスガイド』

の、計三名でした。

その内のツアー案内係の男性職員さんがメインでツアー参加者リストの表示されているタブレット片手に、

『身分証明書』

『ツアー参加申し込み時のQRコード』

『新型コロナウイルス・ワクチン接種証明(三回以上の接種証明) 』

の確認をされておられました。

確認が終わると、指定された座席番号が書かれた書面を渡され、座席に向かいました。

私の指定された座席番号は1C。

『右舷』

『最前列』

『通路側』

今思えば、

『特等席』

運転席の後ろでしたが、『バスガイド』さんの右斜め後方、いつも見渡していました。

カバンの中には、予定表や必需品が入っているそうです。

後で調べたことですが。

そして、持ち歩いておられたノートには付箋が一杯貼ってありました。

「一生懸命お勉強されているのだな」

と、思っていました。

また、運転手さんが、サブシートの出し方や、シートベルトの位置等詳細をガイドさんへ細かく指示されておられました。

それを見て私、このガイドさんまだ新人なのかなと思いました。

やがてバスは私たちツアー客と、それぞれの夢を乗せて出発。

向かったのは、東京湾岸を通り、臨海工業地帯を抜けて鎌倉へ。

出発するとすぐにガイドさんから乗務員の紹介。

「本日ご一緒させていただくのは、運転手の『山本秀幸』と私『神田愛実』がご案内させていただきます」

そして、本日の行動予定を紹介。

出発すると否や、湾岸へ向かい、首都高へ入りました。

その間も、ガイドさんの詳細で、乗客を思いやった言葉、そして、変化していく車窓に合わせたご案内をいただきました。

そして、鎌倉へ到着。

神社・仏閣を回り、商店街の散策へ出かけました。

その時、私は庭園の中で、初老の男性の方が梅の木を見上げて写真を撮っておられた姿を見掛けました。

その風景を見て、私も近寄ってみると、梅の木に偶然にも止まっていた、『鶯』を発見。

直ぐにスマホを取り出し、撮影開始。

後は、『鶯』写真に収めようと必死でその姿を追いながら、スマホを翳し、画面を確認しながら撮影の繰り返し。

やはり、動いている被写体を追うのは大変でしたが、何とか撮影成功。

でも、後から思えば、静止画ではなく、動画にしておけば後で加工できたのに。と、後から反省。

おまけに、鶯の鳴き声も収録できたことを悔やんでおります。

そして私は、駐車場に停車していたバスの元へ戻りました。

バスへ戻ってみるとガイドさんがバスの外で私たち乗客が戻るのを待っておられました。

私は、今年初の『梅に鶯』を見せようと、ガイドさんに話しかけ、

「ねえ」

「見てみて」

「庭園に鶯がいたよ」

と、撮影した写真を見せました。

すると、ガイドさんは、

「ほんとだ」

「良かったですね」

と、言ってくださいました。

その後、バスに乗客が戻るのを確認して、バスは、昼食場所である、鎌倉の『御代川』へ向けて出発。

到着後、店内へ入り指定された場所へ向かいました。一人旅は私だけかなと思っていまししたら、あとお二人おられまして、私たち一人旅の三人は店内入口近くの左側の一つのテーブルに相席の形で着席。

他のお客様は、私たちのテーブルから奥の席へと座っておられました。

「ん」

「バスの乗務員の方はどうされるのだろう」

「何を食べられるのかな」

と思って、少し、周りに目を配りながら食事を始めておりました。

コロナ禍と言うこともあり、皆様、当然マスク姿。

やはり、私も皆さんの『素顔』『表情』は気になりますので、キョロキョロしていました。

そして、乗務員さんが着席されたのは、一番奥のテーブルだったのですが、やはりどうしても気になるので、目を向けていると、昼食に関してはどうやら乗客の食事と同様なメニューを頂いておられたようでした。

そして、私の視線は、マスクなしの素顔のガイドさんの元へと降り注がれました。

この時の第一印象は、マスク姿から想像していた素顔のイメージからすると、正直、

「可愛いけど、そう思うほどでもないな」

と言う印象でした。

でも、客観的に他の目線から見れば、逆に私の事を考察すれば、

「お前ごときに言われたくないわ」

だと思います。

さて、食事は終わり、バスは鎌田の大仏様から長谷観音への観光コースへ向かうための駐車場に停車。

私たちは、時間の許す限りの観光・散策へ向かいました。

観光・散策を終えた私は、時間を持て余しておりましたが、他の乗客より一足早くバスへ戻りました。

何気なくバスの方へ視線を向けると、ガイドさんがバスの外で、私たちの帰りを待っておられました。

私は、ガイドさんの元へ近寄ると、ガイドさんとお話を始めました。

そして、ガイドさんに、

「写真、いいですか」

と、聞くと、ガイドさんは

「はい」

「いいですよ」

と、お返答され、続いて

「どんな写真がいいですか」

と、マスクに手を掛けられたので、

「え、マスクとってもらえるのかな」

と、思ってドギマギしていると、次は、

「めっちゃ近いやつですかね」

と、私の右隣まで近づいてこられ、スマホに向かってピースサインをくださいました。

「やったー」

「思い出にしよ」

と言い残し、一人バスに向かいました。

と、その時、何故か背中に視線を感じ、重量感を感じていました。

その、『重量感』・『重圧感』たるや、今までに感じたことのない重さでした。

まるで、私にこの後あのような事が起きることを暗示させるかのようでした。

その後、バスは湘南海岸を通り、最終目的地の江の島へ向かいました。

道中、乗客を退屈させないように『源氏』のお話しや、江の山名物『とびっちょのコロッケ』のをしておられました。

「コロッケは時々食べに行きますよ」

「コロッケの中でもいろいろあって、チャウダーコロッケが一番好きです」

と、言っておられました。

江の島では、頂上まで登る時間がないとのことでしたので、私は、下段の『江島神社』でお参りをして、またまた、一足先にバスへ向かいました。

途中、出店が並んでいて、『コロッケ』を販売しておりましたので、ガイドさんのお話しされていた、『クラムチャウダー』と『ミート』を買ってバスに戻りました。

この時、『コロッケ』を買おうと思ったのは、

「ガイドさんと一緒にコロッケ食べたいな」と、言う気持ちがありました。

バスに戻ると、バスの外でガイドさんが私たちの戻るのを待っておられました。

私は、出来立てアツアツのコロッケを二個持ってガイドさんの元へ近寄り、

「コロッケ、二個買っちゃったので、一人じゃ食べきれないし、一個食べませんか」

とお聞きすると、

「何を買われたんですか」

と尋ねられ、私は、

「チャウダーコロッケと、しらすブラックコロッケだよ」

と、答えると、ガイドさんは、

「じゃあ」

「チャウダーコロッケ」にします」

と言われましたので、私は、

「多分、こっちだよ」

「間違ってたらごめんね」

と、『チャウダーコロッケ』と思われる方を差し上げました。

私は、

「よし」

「予想通り」

と、自己満足の世界へ浸っていました。

やがて、乗客の皆様がバスに戻ってこられましたので、最後の点呼。

ガイドさんは指定の場所に着席された乗客の確認をするため最前列から『指差呼称』を始められました。

この時も、私は最前列でしたので、一番にガイドさんと目が合って、『ニコリ』とされて、後部座席の方へ向かわれました。

「本当に良く気配りのできる方だな」

と、感心しておりました。

バスは一路東京駅を目指して出発。夕刻でもあるため、多少の渋滞もありましたが、そのあたりもさすがにガイドさん。

乗客の方が退屈しないよう、『源氏』のおはなしをされておられました。

やがて、バスは東京駅周辺へ。

ガイドさんは、ここで、

「歌を披露させていただきます」

と、『東京のバスガール』を唄ってくださいました。

そして、バスが、東京駅丸の内南口に近づくと、駅前のロータリーで、二組のカップルがウエディング姿で写真を撮影されておられました。

私は、それを見つけると、前撮りかなと思い、ガイドさんに、

「ほら」

「あそこ見て」

「ウエディングの写真撮ってるよ」

と、言うと、ガイドさんは

「あ、ほんとだ」

「フォトウエディングかな」

と、おっしゃいました。

そして、バスは停車位置へ停車。

「お疲れ様でした」

「本日はご乗車いただきありがとうございました」

「ご自宅までどうぞ、お気を付けてお帰りください」

と挨拶され、乗客はそれぞれに荷物をまとめて、下車していきました。

乗務員の方は先にバスを降りて、お見送り。

私は、最前列でしたので、早々にバスを降りて、

「今日は、ありがとう」

「お世話になりました」

と挨拶して、バスを後にして、少し離れた場所で、手に持っていたコートを羽織って帰ろうとしていた時、後方から、

「コロッケ」

「めっちゃおいしかったです」

と、ガイドさんに声を掛けていただきました。

私は、はっと思い、振り返ってはみたものの、後ろ髪を引かれる思いを振り切りながら、その後の挨拶もせず足早に立ち去りました。

この出会い、世界人口から考えても『七十二億分の一』であり、彼女との出会いは、宇宙天文学的数字。

『きじバス』のバスガイドさんは数百名余り、ツアーコースも何十種類もあり、その中で、ひとつの出会いが生まれることは本当に『奇跡』だと思いました。

出会いは、『一期一会』そのものであり、この出会いが、私の今後の『人生』『生き方』を大きく変えていくことになろうとは、考えてもみませんでした。







 恋・最後の恋

このバスツアーでの出来事事態は、何気ない日常みたいなものでした。

週が開けて、営業所の現場パトロールへ出かけた時の事、週末のバスツアーに行ったことを話し、『ツーショット写真』を見せたところ、所長は、

「めっちゃ可愛いじゃないですか」

と言われ、若い所員には、

「好村さんほんとに良かったですね」

などと言われました。

その後、このパトロールや教育があったのでスケジュールをこなして、広島に戻りました。

広島の自宅マンションに戻った私は、出張の荷物を解き、整理しているとき、はとバスツアーで行った時の写真も整理しようと、スマホを取り出し、眺めていました。

ふむふむ、あの日、出発したバスは、首都高に入り、湾岸道路を通り、いつも利用している羽田空港を経由して、見覚えのある川崎・横浜の工場地帯を抜けて、いざ鎌倉へ。

そして、商店街では、スイーツを買って二階で食べながら動画撮ってたな。あの時のスイーツはとても美味しかったな。

うん、その後、お昼ご飯食べたっけ。お昼ご飯の会食弁当も美味しかったな。

その後『大仏様』を見て、庭園では鶯の写真撮って、ガイドさんに見せたっけ。そして長谷観音へお参りして、写真もいっぱい撮った後、バスに戻り、ガイドさんとツーショットも撮っちゃったよね。その後バスは『サザンオールスターズ』・『サーフィン』で名をはせた湘南海岸を通り、江の島へ行って、コロッケ二個買って一個づつ分けて食べたな。

などとツアーを振り返っていました。

すると、私の中で、何かが変わっていくのがひしひしと感じられました。

なんとなく過ごしていた毎日だったのですが、

「あれ」

「なんか変」

「心が動いてる」

「え」

まさか、この年になって、この私が、

「恋」

この日を境に「愛実」さんに対する気持ちがどんどん大きく膨らんでいくのを感じていました。

そして、初めは誰にも迷惑かけたくないし、誰かに話したとしてもどうなるものでもないし、だから、一人で抱え込んでいました。

何時しか私は、このことを、スマホのメモに書いていました。

そして、

「息子にこんなことがあったんだ」

と、話しました。

すると、息子は、

「よかったね」

の一言でした。

その後、たった一人の兄弟の姉にもこのことを電話で打ち分けました。

すると、姉は、

「ふ~ん」

「ほんで、その子は何歳なん」

と、聞かれ、私は、正直に

「十九」

と答えると、続いて姉は、

「あんたあ、孫じゃん」

と少し、怪訝な口調で言っていました。

また、私、このことをお伝えしなければならない方がおられまして、その方は、今回の事でツアーのお勧めなどを教えていただいた、工商会の「飯田」さん。

そして、釣り仲間の船長と高校生の釣り友「林田」さん・当社で近所にお住いの「木原」さんにも、お伝えいたしました。

皆様、よき理解者で、今回の事も直ぐに受け入れていただき、

「良かったじゃん」

「応援してるから頑張って」

「困ったこと、悩み事があったら何でも言ってね」

「いつでも、相談に乗るから」

と、言って頂いております。

「私は、もうこの年だし、この私が恋なんて変だよね」

って、言うと、

「そんなことないよ」

「恋に年齢何か関係ないから」

と、いつも励ましてくださいました。

本当に、皆様には感謝に絶えません。

そんな私、今までにも幾度となく、いろんな恋をしてきました。

でも、この恋、今までの恋とは全く違いました。

こんなにも、

『切なくて』

『やるせなくて』

『悲しくて』

『嬉しくて』

『苦しくて』

『片想いで』

魔法にかけられたようで、何も手につかなくて、ずっと夢を見ているようで・・・

でも、魔法にかかっているのならそのまま解けないでほしい。

夢を見ているのならこのまま夢を見たまま目が覚めないでほしい。

そんな思いを駆け巡らせていました。

そして、もう、九カ月が経とうしているのに、思い出に変わることもなく、いつも、何をしていても、彼女の顔が浮かんできます。

何かに熱中している時は分からないのですが、直ぐに笑顔が浮かんできます。

この想い、何とか伝えようにも、連絡先も聞いていなかったし、どうしようもできなくて・・・

彼女の事、考えていると何時しか想いがどんどん膨らんできて、その想いが心の中から溢れ出し、涙に代わり・・・

結局、いつも泣いています。

最初のうちは、何とか忘れよう。

思い出に変わるまで、じっと我慢して耐えよう。

どうせ、どうにもならない恋なので。

と、思っていたのですが、そう思うことにより、余計に切なくて、苦しくて、どうにもならなくて。

「いっそ、このままこの世から消えてしまいたい」

そんな気持ちが渦巻くようになっていました。

人が死にたいと思う気持ちが分かったような気持ちがしました。

でも、このままでは、本当に自分が押しつぶされてしまう。

何とか前を向かなければと思ってはいました。

そんな時、何気なくMVを見たり、音楽を聴いている時、同じ胸中の曲が流れだすと、直ぐに彼女の笑顔や、あのツアーでの出来事が走馬灯のように蘇って、頭の中を駆け巡り始め、胸の中にしまい込んでいたはずの思いが大きくなり、溢れ出す涙に変って行きます。

「泣いて」

「泣いて」

毎日、何時でも、何処でも

「泣いて」

そして、『心が震えて止まらない』日々を送っていました。

涙って、枯れることは無いのかと思うほど泣いていました。

何時しか私の心の中に、彼女が深く刻み込まれ、頭の中は、いつも彼女の事ばかり考えていて、あふれ出す感情は涙に変って行く。

そんな気持ちを抱えながらも、色々考えているうち、

「何とか彼女の連絡先を知りたい」

「この想いを伝えたい」

「ハッピーエンドにならなくてもいい」

「せめて、友達になりたい」

と、思うようになりました。

「でも、何とか連絡先が知りたい」

「もう一度彼女に会いたい」

その気持ちは、日々大きく膨らんでいくばかり。

私は、これを機に『彼女の笑顔に再開プロジェクト』を立ち上げました。

とは言っても、私一人だけですけど。

『プロジェクト』・・・

先ず、やりたいことを列記。

それに伴う、行動と、結果を入れていくことに。

①NET RESEACH

②現地調査(自分の足で探してみる)

③会社・組織調査(外部からのCONNECT)

④SECURITY調査

⑤手紙を出してみる

⑥バスに乗ってみる

⑦他のガイドさんに聞いてみる

⑧外部団体(探偵社に依頼する)

そうして私は自宅のPCで、調査開始しました。①③④は直ぐに分かりましたが、⑤については、色々調べているうち、会社組織の中に、『お客様情報センター』の部署を見つけ、情報開示の依頼文を書き、『お客様情報センター』に送ってみました。

数日経ったある日、自宅のポストに返信の封筒が入っていました。

この封書を開くのが怖くて、でも、開かなければ何も分からないと思い、二日後、やっと開封することができました。

書いてあった内容は、

「従業員への温かいお礼のお言葉ありがとうございました・・・」

「当センターで取り扱っておりますのは、お客様の情報となります」

「ガイドの情報に関しましては、別のセンターが承っております・・・」

結局、何も分からずじまい。

②は、東京へ行かないとどうしようもなかったので、どうしようと思っていたのですが、都合のいいことに、工商会の仕事で、二つの委員会の副委員長を拝命しており、二カ月に一度くらいのペースで東京へ出張しておりました。

よって、私は、バスの発着場は分かっていたので、東京へ行く度に、朝のお散歩コースに入れて、早朝、仕事の前に散策しておりました。

しかし、得られた情報は何もなかったんですけど。

それでも、何かしていないと、

「心の核が破壊されそうで」

「自分が自分でなくなりそうで」

かと言って、どうこうできるものではないのですが。・・・

続いて⑧探偵社探し。

こちらについては、自宅のPCで検索。

「ん~迷う」

「大手で実績があるところが良いのか」

「こじんまりとアットホーム的なところが良いのか」

色々、試行錯誤した結果、『もみじ幸子探偵事務所』にコンタクトしてみることにしました。

まず、最初はメール文を考えて送信。

すると、数日後、担当者の「加山」さんから電話がありました。

「お客様の都合の良い日をお聞きしたのですが、その時に身分証明書持参で、広島の事務所までお越し頂けますでしょうか」

私は、週明けのスケジュールを確認し、

「来週の火曜日、午後でよろしいでしょうか」

とお尋ねし、双方とも都合がつきそうなので、面会の約束をしました。

当日、半休をもらい、広島市内の事務所へ出向いて行きました。

事務所は、市内の商業ビルの8階にあり、少し時間が早かったので上がってみると、ロビーがあり、受付の女性の方がおられました。

私は、要件と面会予約時間を伝え、待っていると、担当の「加山」さんが出て来られて、個室の並ぶブースへ案内されました。

今回の依頼の概要はメールで伝えておりましたので、そちらの確認と、料金体制性等の事務的連絡。

その後、一番大事な事、を何処までするのかの相談に・・・

依頼内容としては、

「彼女の連絡先が知りたい」

「SNSでいいので、友達になって、日常の何気ない会話がしたい」

と言う依頼に対し、「加山」さんのご提案で、

「まず、彼女の事を調査します。そして、彼女に好村さんが書いたお手紙を手渡ししましょう」

「お手紙を渡すのは、当社の社員で、年齢層も近く、物腰の柔らかいものがおりますので、担当させましょう」

と、「加山」さんは直ぐにタブレット端末で、女性社員のスケジュールを抑えてくださいました。

そして、本契約を交わし、自宅に帰った私は、彼女へ手紙を書きました。

手紙は、「加山」さんが常時勤務されている、大阪の事務所へ郵送いたしました。

その後のやり取りは、メールか、LINEでやり取りしましょうとのことでしたので、私は、LINEを選択し、「加山」さんと連絡を取り合うことにしました。

それから数週間後の三月二十二日に委員会が東京で開催されるため、前日の飛行機で東京へ向かいました。

東京のホテルへ宿泊後、当日の朝、委員会までには少し時間もあったので、いつもの東京・朝のお散歩コースを歩いていた時の事です。

私は、丸の内南口から改札を抜けて、駅郊外へ出て、左に曲がりました。

するとすぐに『きじバス』の発着場があり、数台の『きじバス』が停車していて、出発準備をしておりました。

そこには、私が二月四日に参加した時と同じコースを回るバスが二台停車しておりました。

バスの外にはいつもの光景があり、『運転手さん』・『事務局の方』・『ガイドさん』がおられ、乗車の手続きをされておられました。

私は、何気なくバスの方へ向かい、一号車を通り過ぎ、二号車へ差し掛かった時の事でした。

「ん」

「彼女によく似たガイドさんがいるよ」

「もしかして」

と、思い、近づいて行くと、

「あ」

「やっぱり愛実さんだ」

「彼女に会えた」

「どうしよう」

「話しかけようかどうしようか」

と、思いそのあたりを右往左往しておりました。

でも、このままではただの挙動不審者になってしまうと、居ても立っても居られず、勇気を振り絞って話しかけることを決意した私は、彼女の正面から近づいて行き、

「すみません」

「もしかして、神田愛実さんですか」

と、お声がけをしたところ、彼女は、右手を左胸のネームを確認して、見られたのかなと言うような仕草の後、

「私、違うんです、上林さんによく似ていて、よく間違えられ声を掛けられるんです」

と言われたので、私に不審を抱いているかもと思い、すぐにその場を離れました。

この言葉が、もし、私だと気づいて出てしまった言葉だとしたら、愛実さんに嘘をつかせたことになると思い、とても後悔いたしました。

でも、私には、直ぐに愛実さん本人だとわかりました。

この出会い、本当に奇跡的だと感じております。

 二回目こんなにも早く、出会えるなんて、私にとっては本当に運命を感じております。

 私は、

「このままお話をしたい」

「このまま時間が止まればいいのに」

と思いながらも、探偵社の方とのマル秘ミッションがあったので、直ぐにその場を立ち去りました。

そして私は、その後すぐに探偵社の「加山」

さんに、電話を掛けました。

 「加山さんすみません、さっき彼女をみかけたので、思わず話しかけてしまいました」

 「もしかすると、不審者に見えたかもしれません・・・」

 「ミッション時に彼女に会ったら、今日のことも合わせて謝っておいてください・・・」

 すると、加山さんは、

 「それは、仕方ないですよね」

 「街中で彼女を見かければ、お声がけしたくなりますよね」

 「その辺も含めて、女性調査員に伝えておきます」

 と、おっしゃっていただきました。

 その出来事から七か月後の十月十五日、私は、工商会の委員会のため、東京へ出張し、前乗りで前泊しておりました。

 翌十六日の事でした。

 私は、いつもの東京でのお散歩コースを歩いていました。

 すると、いつもの停泊場所に『きじバス』が停まっており、いつものように運転手さんとガイドさんそして、事務局の案内係の方がおられました。

 私は、何気なく停泊していたバスに近づいていきました。

 すると、私の目の前の光景が一変し、

 「はっと」

 気付きました。

 「え」

 「彼女」

 私の前に現れたのは、紛れもなく、愛実さん。

 私は、一瞬目を見張りました。

 近寄って話しかけようかとも思いましたが、愛実さんはお仕事中だし、これ以上迷惑かけたくないと言う一心で、その場では話しかけることもなく、彼女が乗車したバスが出ていくのを見送りました。

 本当に『運命』を感じる出来事でした。

 私的には、今度、もし、愛実さんに会えるとしたら、今、一生懸命している、愛実さんのデッサンと、彼女のために作詞作曲しようとしている、楽曲が出来てからにしようと、心に決めております。

 お話は遡り、三月のこと、私にも「加山」さんのお手伝いできることがないのかと考え、もう一度「きじバス」に乗ってみよう、違うガイドさんに聞いてみよう、情報を収集してみようと思い立ちました。

 二十二日には会議も終わるので、「はとバス」を予約し、「日光・栃木スカイベリー食べ放題コース」に出かけました。この時のガイドさんは、「神姫」さんで、経験も長くベテランのガイドさんでした。いろいろ聞いてみようと、世間話から本題へ移り

「ガイドさん同士って横のつながりありますか」

という問いに、

「はい、同じ会社であればわかりますよ。会社が違うとわからないですが」

と回答があり、

「気になるガイドさんがいるのですが、どうすれば会えますか」

という問いには、

「指名はできないので、そのガイドさんに巡り合うまで、予約して乗るしかないでしょうね。連絡先については、お客様とのことなので、直接やり取りすれば、会社は何も言わないと思います。・・・」

このような情報を入手したので「加山」さんにラインで送りました。

 後は、ファイナルミッションの結果を待つだけでした。

そんなこんなでしたが、ミッションの結果、表が出ても、裏が出ても、私の愛実さんへの気持ちは変わることはないと、確信していました。

 令和五年四月十一日さくら幸子探偵事務所から報告書が来ました。

 熟読しました。

 そして、その報告書には、愛実さんの数枚の写真も同封されていました。

 愛実さんの笑顔の写真と、調査員の方が私の書いた手紙を手渡しされる写真でした。

 彼女の漫勉の笑顔は相変わらず、一点の曇りもない、美しい笑顔でした。

 「お元気そうで本当に良かった」

 そして、少しでしたが、私が初めてお会いした、二月四日の頃よりは、大人びた表情に見えました。

 報告書の内容では、愛実さんは、手紙を受け取り、中を見てから考えてみますとの回答でした。

この後、何の連絡もありませんが、これ以上の行動を起こすことはありませんでした。

勝手に片想いをしたのは私ですし、彼女に迷惑をかけたくもないし、かと言って、彼女を忘れようとか、嫌いになろうという気持ちは全くありません。

ただ、私の彼女への気持ちはこの世を去るまで変わることはありません。私の胸の中へしまい込んでおこうと思います。



















 記し

私たち、二人の生きる道は、それぞれの道。

愛実さんの道は、観光業会に新しい風を吹き込むこと。

私が歩いているのは、非破壊検査工業会の2つの副委員長として尽力し、工業会を支え規制側とのパイプ役を果たすこと。

さらに実家の後取りとしての仕事。

息子のマンションの家計から家事全般。

そして会社の未来のことを考えての仕事。

全く違う道。

「愛実さんは海」

「私は空」

どこまで行っても交わることができない世界です。

たとえこの奇跡の出会いが、両思いになったとしても、年齢が40歳以上も違えば後何年一緒にいられるでしょう。

また、実家が昔ながらの旧家で、田畑が11000平方メートル、山が50000平方メール、この管理はどうするのか。

おまけに、実家は常時無人の状態で、あちこちに老朽化がみられており、家の周りは石垣が崩れたり、庭の木は伸び放題。

田畑の草は伸び放題。

山に関しては、人が入れないほど荒れた状態・・・。

また、趣味と言えば魚釣りに、狩猟に、まるで野人みたいなことだけ・・・。

どう考えても、理解不能、結ばれることはないのだと悲観してしまいます。

周りの人から見れば、この恋に対す私の思いは、無謀で、どうにもならないもの。

そんなことは重々承知していますが、私にとっては、真実の恋。

そして奇跡の出会いが齎した、人生最後の恋です。

嬉しくて、悲しくて、寂しくて、切なくて、叶わない恋だとわかっています。

そして、当初立てた『あの娘の笑顔に再開プロジェクト』の最後のミッションも終了しました。

愛実さんとのことは、まだまだ思い出に変わることは許されないようです。

一人になると彼女のことが心の中から溢れてきて、その想いが涙になって止まりません。

 しかし、彼女には迷惑かけたくないので、心の底に留めておこうと思います。

 こんな私が勝手に片思いして本当にごめんなさい。

思い切り泣いたらスッキリするかと思い、片思いの歌を聴きながら泣きました。でも、余計に思いが大きく強くなり、心の中から溢れだす想いが涙になって、止まらなくなって、結局一人になると泣いて、朝も、夜も、車運転してても、新幹線乗ってても、何をしていても泣いて・・・。

ほんとにダメだよね。

気分を切り替え、趣味の魚釣りに出かけたり、西日本釣り博に出かけて、『あゆちぃー』に会って見たりしましたが、上書きもできないし、デリートもできないし、

「もう、ここから逃げたい」

「いなくなりたい」

「消えたい」

「死にたい」

いろんな思いが交差する。

でも、自ら命を絶つことは、私、神道なので許されない。

天地天命を果たさないと死ねない。

誰かに伝えたいけど許されない。

この想い、伝えることもできない。・・・

「この九カ月間とても辛かった」

「哀しかった」

でも今は、愛実さんには本当に感謝しています。

片想い、そしてずっと泣くような恋は生まれてこの方ありませんでした。こんなに素敵な恋を本当にありがとうございました。

この書を認めている今でも涙は止まることがありません。

人は過去にさかのぼってやり直すことはできません。

でも、未来を変えることはできると思っております。

もう、この恋に思い残すことはありません。後は、一人で大切にしたいと思っていました。

でも、最後の恋だから、まだ、やりたいこと。やり残したこと。出来ることは全てしよう。

そう思い立ち、長い間、していなかった趣味で、『デッサン』『アコースティックギター』を再開しました。

「そうだ、彼女のデッサンを書こう」

「ギターを使い、この恋の歌を作ろう」

「彼女に届くかどうかはわかないけど、今、私がしている、『SNS』を使ってみよう」

そう思い、今も頑張っています。

「後、どれくらい生きられるだろう」

「やり残したことは無いだろうか」

私が生きてきた軌跡。

そして、私が彼女を愛した軌跡を刻み、記しとして残そう。

そんな思いを駆け巡らせながら書いてきました。

愛実さんはいつまでも、私の心の中にいます。最後の最後まで忘れません。

決して実らない、叶わない愛を。

愛実さんへのこの思いが、思い出に変わるにはまだまだたくさんの時間がかかるけど、一生懸命乗り越えて、生きて行きます。

最後の最後に、この奇跡の出会いで、私は貴女からとても大事なものを頂きました。お話ししたり、お食事をしたり、そんなに願いは叶わなかったけれど、貴女の一番素敵な笑顔と、お名前の愛実さんの文字を通して、人を愛することの尊さと、これからの人生を生きていく勇気とパワーを貰いました。

いくら感謝しても足りないほどです。

出会いは「一期一会」。

本当にありがとうございました。

最後に、天地天命にかけて神様へ誓います。この世で一番愛しているのは、愛実さんです。

もし、生まれ変わることができたなら、私は、必ず愛実さんに伝えます。

「心から愛しています貴方だけを。」

でも、やはり心の中の片隅で、愛実さんへの思いが溢れています。

今でも、何時までも。

そしてやはり、

「愛実さんに会いたい」

「貴方の笑顔に会いたい」

「もうどうなってもいい」

「この世を去る前にもう一度会いたい」

そして、直接伝えたい。

「ありがとう」





 おわりに

初めにも書きましたが、この書を書き始めたきっかけは、愛実さんでした。

そして、色々考えたり、悩んだりしているうちに、SNSで私と同い年の作家の方が、恋愛小説を書かれていたのを見つけたからでした。

最初のうちは、愛実さんへの想いを、私なりに書いて行こうと思い書き始めたのですが、

先ずは、私の生きてきた道を記すつもりで、書き出しをしたので、今になって読み返してみると、自分の回顧録のようになっていました。

自分の人生振り返ってみると、本当に波乱万丈・紆余曲折いろいろありました。

今回の恋もそうでしたが、改めて、人は一人では生きていけないものであり、良き理解者を得ることで、心の平穏を保てるものです。

色々な人に助けてもらい、そして、応援してもらい、ここまで来ることができました。

人と人との出会いは『一期一会』

でも、直ぐには理解してもらえないものです。

一人で悩んでいても解決できないので、誰かに話してしまおう。そう思って話してみても、万人の方々全ての人が理解して、良きアドバイスを頂けるわけでもなく、茶化されたり、適当に足割られたり、心のよりどころと言うのは本当に難しいものでした。

私、『ヘルスケアマネージャー』の資格も持っているため、他人から相談を受けることも屡々ありますので、他人の方々の気持ちはよく理解できるのですが、自分の事となるとさっぱりで、やはり誰かに相談しないとどうにもならないようです。

今、私が前向きに取り組んでいる、『デッサン』・『小説』・『ギター』・『釣り』・『狩猟』・『園芸』等々原動力の源となっているのは「愛実」さんです。

この小説も何とか書き終えることができました。

私を応援してくださいます方々には、本当に感謝しております。

そして、最近思うことがありまして、私の性格は、外見上や話し方でいつもおっとりしているように見られるのですが、どちらかと言うとせっかちで、イラのところがありまして、つい、相手方にイラっとしたり、ほんのたまになのですが、プッツンと切れたりすることもありました。

でも、彼女の笑顔を思い出すと、素直な気持ちになり、人に優しくできる自分がいます。

そして、彼女の笑顔の写真を見ていると、本当に一点の曇りもなく、天使のようにしか見えません。

本当に、彼女に出会えて良かったです。

最後に伝えたいことは、彼女に対する感謝の気持ちでいっぱいです。

「愛実さん本当にあなたと出会えてよかったです」

「ありがとうございました」


これで最終巻となります。


今まで、いろいろな方々と出会い、いろいろな思いを感じてきました。

でも今では、この私の人生の中で一つ一つの出会いは「一期一会」人生最後の時まで、大切にしていこうと思っています。

そして、最後に伝えたい言葉は、「ありがとう」の一言だけです。

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