第六話『病院の子』
放課後になり……親友に待って貰いつつ連絡待ちをする。彼女自身も理由は分かってるのかのんびり待って貰って……
「忘れてたよ……ごめんね。櫻華もめんどくさい手続きをさせてしまって……でも、朧さんも特例法適応してなお手続き出来るのは……やっぱり……?」
私は頷いた。朧さんは人間の中では最強の部類。手放すには惜しい戦力扱いだけど、一人行動が多く法律で制御出来ても……特例法によりほぼ拘束が不可能になってる……
だからなのか、朧さんの元に押し寄せるのは訳ありが多く、私もその一人……そして親友も訳ありでは無いにしろ、私を知ってるから引き取ってる形……殆ど可能にしてしまってるのが現状……法律何てあってないようなモノだから
「あっ、連絡来た」
そうこうしてる内に連絡来て許可が降りた。と言うよりかは情報自体が怪しいからのと理由と、彼女の目が頼りになるのならと……
「どうだったの?」
「降りた。取り敢えず……指揮は私。梢は私の指示に従って。で、不測の事態は……」
「分かってるよ。私の判断で動く。殺せなくとも……私も頑張れるから」
私は頷いて手に取って向かう事にした。これさえ無ければ簡単だけど……異形化した化け物の存在が露見したからには国は隠す事もせずに法律を作った
ただ守る為……組織を縛る為……そして私達を縛り続ける法律だから
『連絡通りに。あっ、それと許可証のサイン辺りは後でね。取り合はゴリ押しで通したから。収穫無ければそれまで
有れば……そっちの判断で対処して。私が出来るのは……通す事と抑える事だけだから』
「了解。ごめんなさい。面倒かったのに……ただ、梢が言う目が正しければ……」
『分かってる。兎に角……許可の範囲のみで……目だけを。櫻華は今回は動かないで話を聞くだけ
それだけでゴリ押しで通したから。じゃ、何も無い情報を待ってる』
そう言って電話を切られる。何と言うか頭が上がらない……
「結構めんどくさい事させてしまった……?」
「かもしれない。ゴリ押ししたらしいから……後でサイン求められる。梢もね」
「じゃ、バイトの時にでも夢華さんに提出するよ」
面倒いがルールはルール。仕方が無い事。ただ、見過ごせないのが……梢の目で見たのが……寄生虫絡みの事。表に出てなく、梢も私に話す為に極力出てない
それに朧さんに通すにも確証が持てないから私が特例法により許可を出しているから、私からと話をしたのが始まり。朧さんの手続きも先にするべきだと言うが……
それが違うかった時の処理も含めて私だという事。と言っても私に話した所で確認の為にこうなるのが見えてるから……仕方が無い事なのは仕方が無い
朧さんも私にほぼ丸投げするほどだし……本当にこれで良いのかと悩んでしまう……
「と、此処だよ。入院してるから病院。どう?」
「別段と変わらない気がする……」
聞かれても分からない……と言うよりかは上手く隠してるとかそんな感じかな?。言葉では言い表せないし、確信が無いから答えないだけで……何かを感じるかと言われると……感じない
取り敢えずは中に入って梢に任せつつ待つ事にした。許可証は出さなくてもいいし、今回は見るだけで確認だから
そうこうしてる内に病室前へと着く。一人部屋……?。気にせずに梢はノックして入ると中から声が聞こえて、扉を開けて中へと入る
その時に私は刀を手に警戒した。彼女の瞳が虚ろで特有の目をしていたから。だから抜こうとした時に
「……うん。お客さん……でも……分かってる……フフ……」
独り言を言うと真っ直ぐと私を見て
「殺り合う事は出来ない……私と私が常に……見てるから……」
何を……?
「それでもやるのなら……私じゃない……私が相手する……」
ゆっくりとベッドから立ち上がり、光り輝く瞳が明後日の方へ。私は梢を見ると虚ろな目をしていて、周囲の人間全てが私を見ている
「この子は……前に来た時に……寄生させた……私のお気に入り……」
梢が刀を抜くと向かってくるのを、私は防ぐ。それと同時に周囲の人間が襲って来て、私は目を伏せて、刀を逆手に持って一気に振った
その斬撃の跡に彼岸花が咲き誇り、周囲の人間を包み込んでいた。ただ梢だけは躱して彼女を抱えると走り出した
鬼ごっこ……なら……『彼岸桜域』を発動させて私の世界に引き込む。流石に許可無しでやるには難しいけど……これくらいなら……ただ彼女は微笑んで
「うん……強い……すごく強い……欲しい……?……そう……じゃ……手に入れよ……」
そう言うと背後から梢が現れて一気に攻撃を仕掛けてくる。それを刀で防ぎつつ、納刀したままの刀で梢の脇腹を狙って攻撃して、そのまま足で首を引っ掛けながら地面へと落として、鞘で思いっきり叩いて気絶させようとしたが……
下手に私が教え込んだせいで……防がれた、そのまま勢いで吹き飛ばされた
そのまま、彼女の後ろに回ってしまってしまい……背後を取られる形で彼女と梢に挟まれる
抜く事の出来ない刀と抜いたとしても能力の使えない刀……寄生虫を殺すにしても、彼女は何処か変……だから……私は刀を納めて結界を解いた。彼女は目を見開いて
「どうして……?。殺り合えば良いのに……えっ……ルール……?。忘れてた……ありがとう……」
さっきまでの警戒が消えて私の前にかがみ込んで
「私は宵宮澪華……貴女が欲しい……貴女なら……きっと……」
手が伸びる。私は目を伏せて彼女の手を握った。多分……彼女は違う。それに……
「結界で分かった……この病院……寄生虫の巣窟でしょ?。主に貴女と別の何かの……」
「フフ……そう……えっ……あ……うん。話す……でも……えっ……私に任せ……て……えーと……取り敢えず……私の寄生虫受けて……」
手のひらから出てくる寄生虫が私の手首に突き刺さり中へと入る。彼女は目を見開いて
「……無駄になっちゃう……ごめんね……分かった……取り敢えず……私の中で……うん……産むのは今度……取り敢えずは……支配下を解く……
ごめん……ごめん……私の力……違う……分かってる……足りない……」
誰かと会話してる感じに。困惑してると彼女は私の手から振り払って押し倒してきて
「今日は……帰って……梢ちゃんは……元に戻した……」
それだけ言うと立ち上がり帰っていく。で、正気に戻った梢が私の所に来て心配と恐怖の顔をしていて
「大丈夫……別に違反とかじゃないから……目を瞑る。それよりも……どうしたものか……」
この病院に何かはあるとは思うけど……それが分からない以上……手が出せないし、朧さんの許可関係も手が出せなくなってしまう
取り敢えずは彼女を刺激せずに帰る事に……それにしても、面倒な事になって来た気がする……
いや、それよりも……厄介な状態になりそう……
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「分かった。じゃ、許可関係は下ろしておくよ」
そのまま電話を切るのと同時に飲み物が置かれて
「どうでしたか?」
「うーん。虚偽報告だったけど、仕方が無いとは思うかな」
「不味いのでは?」
「かもね。ただ、櫻華……私の信頼する子よ。何が起きるまでは目を瞑るさ。それに……無駄にならなかったのが幸いかしらね」
彼女……夢華に書類を渡していた。それに目を通してから少しだけ悩みつつも受け取って
「処理しておきます。後……手続き関係は……」
「あー、お願い。許可自体はしてるし……代理権限も渡してるから任せる。どの道……私、この建物から出るなと国に言われてるからね
拘束みたいなもの。出るにしても……夢華が必要になるから……」
そう答えていた。彼女は建物に出るでさえ大変な特例法による特例者で、出た時は監視は勿論ながら……国が危険レベルで警戒される人間だから
そんな彼女が組織を作り、寄生虫関係者で構成した上で代理を立ててるのが夢華で代理権限と組織権限の一部を与えてる。本当に異端な組織
国でさえ無視出来ない組織で特例者が多い組織でもある
「さて……あの病院は何をしでかしてるのかしらね」
笑みを浮かべて外を眺めて期待する方向を待つ事にしていた
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次の日学校で屋上て寝転がりながら目を瞑ってたら
「櫻華……昨日の事を考えてるの?」
ゆっくりと目を開けて梢の姿を見る。私は頷いてから……
「調べるのは調べる。けど、巻き込むとなると厄介になるから……梢を連れては行けない……それだけ」
「それは分かってる。でも、何で……朧さんに寄生虫は無かったと報告したの?。多分だけど……分かってると思うよ?」
昨日の件で朧さんには嘘を言って誤魔化した。と言うよりかは彼女の寄生虫を見て、そうせざるおえない事だと……
多分……彼女はただ身を守る為に行動してるだけ。あの時……抜いた時に刀と私がリンクしてる時に別の……彼女とは違う寄生虫の反応を感じたから
どっちがどっちなのか分からない。不確かな事で無理矢理するにしても……間違えれば私が死ぬ
だとしたら……確定させてからの方が問題は無いとは思う……それに始祖にも見て貰ってるから多分大丈夫だろうけど……それでもなぁ……もう一度行くか……
「梢。特例者として指示しておくね……」
私は梢に指示をして屋上の手すりの上に乗ってからそのまま飛び降りた




