第四話『異形変幻』
怖い。私が望んだのに……化け物と完全顕現のみが私を存在させる理由になってしまうのが……この体が人間のままで人間として悠久の時を生かす事が出来るのに……
不死身でもなく……ただ長く生きる為の体になってしまったから……それでも私は……
「全く……人間は不可思議だよ。そんな不可思議に私は好きになりこの体を選んだ……」
「さっきから何を……その体とどういう関係?」
「……好きになった人間。生かし……彼女の願いを叶える為に私を受け入れた。だから大切な体で、私が化け物や骨の尻尾を出さない理由
ただ……この場は私は化け物として居るから」
崩さない……彼女のままを保ち変化させて、ワンピースから伸びる骨の尻尾を垂らして彼女の前で私は人間を止めた
彼女が人間として、私が化け物として。彼女は笑みを浮かべてから飲み物を飲んで
「光栄だよ」
それだけ答えるのと同時に扉が開いて職員……私が最初に寄生させた子と、眷属となり私に無理矢理仕えた女性が
「君はそっちを選ぶのね」
「えぇ。残念ながら……私の中の寄生虫が始祖様の為に働きたいと私を利用したから。受け入れるしかない私はこっちに堕ちる事にした
服装も堅苦しいのも辞めて清楚な服装にしたのもそう言う理由よ」
確かにスーツではなく、タイツを履いた白の肩紐ワンピースで瞳も私と同じで骨の尻尾を露出させていた。黒髪ロングに私と同じ……白のメッシュが入れられていた
「なら、残念ながらクビね。好きにしなさい」
「見逃すの?」
「えぇ。彼女が選んだのなら……君の好きなようにするといい。害が無ければ無闇に殺す意味は無いから」
この人……なるほど。なら……彼女のワンピースの下へと尻尾を潜り込ませた。彼女は膝を閉じて耐えるのか目を伏せて震わせていた
そのまま、彼女の中の寄生虫……彼女自身の寄生虫に始祖の力を与えて強化……実演させて
「昔のやり方。一部の女性は家庭を……勿論、子も産んでる。寄生虫を宿した人間がね
で、彼女は処女でなく子を宿してる。家庭は持ってないから別れたんでしょ?。死なないようにしてあるから育てて。勿論見捨てたら私が君を殺すけど
それと子は弱いから少しずつ寄生虫に寄生して人間レベルに戻す。後、私の家に来て娘の世話をして練習を。もうすぐだから……」
彼女はお腹をさすってから……暫くして頷いていた
「ありがとうございます……上手くいかなくて……その時に寄生されて役目を貰って初めて私は……その時に先の言葉で受け入れた……
でも、そう……」
彼女はそう呟いていたのを聞いて私は目を伏せて目の前の女性を見て
「女性を選ぶのはこうした繁殖の為。本来は寄生や卵を産む為の行為しかないけど……
彼女の様な存在も居る。私が厄介と思うのは彼女の様な存在。それも私の手の離れたモノなら余計にね
繁殖頻度も高いから尚更ね
能力発現は母性的本能で子を守ろうとするためと人間的性格が全てを決める。彼女で例えると……
彼女の性格と今の状態で守る為に攻撃する異能力を待ってる。で、子を宿す前に付き合っていてタイミングは分からないけど……宿す前に別れたから余計にかしら?
精神状態も酷いから直ぐに受けいれた……さっきので分かった」
彼女は……私が家族として迎える必要がある。なら……家族問題があるけど……彼女を見ると
「任せて欲しい。話をして私の全てを伝えて記憶を消す」
そう答えていて、目の前の女性は目を伏せて頷いていた。これで一通りの問題と聞かれそうな質問には答えたはず……ただ、まだ何かを聞きたいのか考え込んでから……暫くして口が開くと
「仕事は?」
「辞めてきた。元々短期で色んな事をしたかったから。彼女……この体の経験として」
「なら、丁度良かった……頼みたい事……と言うよりかは始祖さんがここまで理性的なら話し合いだけ済みそうだからな。ついでの話でだ……」
嫌な予感する……
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家に帰ると娘が眠そうに出てて来る。それを見て少しだけ諦めてしまう。まさかの久しぶりに見た娘の無防備な姿に……
いや、そのまま表現すると下着姿で普通に歩いていて、娘が背伸びをしてから自分の姿を見ても気にせずに
「おかえり……取り敢えずご飯は置いてある……私は寝る……疲れたから……」
はぇ……?
「無理しないで。バレたら面倒だから……」
私よりも娘の心配が勝ってしまうが……娘が私を見てから微笑み
「面倒事の処理かな。まだ対処出来る範囲だからしてる。それにお母さんは心配してるでしょ?。私が裏切ると思って……」
「気にしてない。どうせ勝てないのは明白でしょ?」
「うん。それも有るけど……あの日からずっと一緒に居たからその気は起きないのよ。と言うよりか……この関係……母娘の関係になってからお母さんは家族にしか思ってない
だから、私はする気は無い。ただ、本当にお母さんに感謝してる。私を育ててくれてるから……人間としての方を」
そう言って微笑んで骨の尻尾を揺らしていた。優しく撫でて私は部屋へと向かう。その時に娘の中に寄生虫を……何かあった時ように仕込んだ
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次の日になる。娘は登校していき、私は私服姿で向かおうとした時に……襲って来た彼女が立っていた。私とは異なる瞳を持っていて……感覚的には別な存在……だから、私は興味を持っていた
普通とは違うのに寄生虫を宿し、私の他の始祖らしき何かを宿した彼女を見て。あの時戦ったとは違う雰囲気で……私の前だからなのか、姿も表してるが……
この街中でその姿は……私は困惑するしか無かった。彼女は私の目の前まで来て見てから……
「恨んでる。けど……直接的な原因じゃないから……謝罪をする。それと……私が貴女を案内とサポート目的で組まされた……」
白と黒のメッシュにインナーと一部のメッシュが入って地面までギリギリ伸びた少女……彼女がそう答えていた
服装と制服風の服装でローブの様に大きめに広がったスリットに黒のレザースカートとレザーショートパンツが少し見えていて、骨の尻尾を三本垂れ流している
瞳も赤と白の混合色で普通の人間では無いのは分かるし、彼女の視線が常に捉えられてる感覚……何と言うか、私にあまり影響が無いけど普通の寄生虫を宿してる人間なら違和感しかない感覚だと思う……
ただ……普通の人間。儚げな人間。印象がそんな感じだった
「やはり始祖何ですね……私の影響を受けない……」
「まぁね。行こうか……と、やっぱり時間ある?。同居人になる子が来たみたいだから」
提案していた彼女がやって来た。少女は小さく頷いていて、私は女性の前に。女性は荷物を手に私と同じ瞳のままで
「済ませてきました。言われた通りに……無闇に殺さずに記憶を消して」
異能力もそういう系になるのか。この家の管理を任せようかな……人間のままの能力を割いてまともに動けなくなるし……
「その事で……一つ。私も住んで構わないですか?」
目を見開いた。珍しいと言うよりか宿してる寄生虫的に私を相当恨んでるはずなのに……だから困惑してると……
「無闇に言ってる訳じゃなくて……
貴女を見極めたいから……なのと、貴女と居たら……私の復讐相手が見つかる気がする……」
そう言ってポケットから小包を手に開けて見せる。中を除くと寄生虫の死骸で彼女を見てから気になって聞いた。普通は持ち歩かないから……と言うよりかはほぼ消えるのがそうだから……だから……
「それを何処で……?」
「私の両親が……私の組織とは別組織によって殺されました……この寄生虫の死骸は僅かな手掛かりです……
両親を殺した……異形化した化け物の死骸から取ったので……ただ、この死骸だけは私が知る限り……私の所属する……始祖さんと話していた女性……神代朧さんにも調べて貰ったけど……それ以上の事は……」
手に取って見る。彼女自身……そして、あの女性……朧が調べても分からないから私に……まぁ、分かりきっていたが……
「私じゃない……」
それだけ答える。確信は持てないが……大凡で分かってしまう。これは人工。となると……異形化させた人間を人工的に作り上げる方法を見つける為の実験……?
これは……めんどくさい組織が関わってる気がするし……朧とやらに聞く必要が出てきた
「……そうですか。いや、分かれば問題無いです……」
となると……私以外の何かが私の寄生虫や卵を利用してる事になる……それは解せん……
やはり、彼女側に着くべきか……そうなると、早くそれを見つけれそうにはなるけど……ちまちましてるのは面倒だ……
朧の味方になった方が無難だし、少しだけの楽しみが増えたのと、私を利用してる事のツケを払わせそう……
「住む事を条件に一つだけ……引き受けて欲しい。それを呑んでくれたら……私達は貴女の味方になる。勿論……貴女からの命令も受ける」
私は目の前の彼女にそう告げる。彼女自身の味方になる。この体と同じ理由……同じ立場で今度はこの体を使って……私……寄生虫の本能で利用する
「……中身によります」
私は彼女に条件を付けた。彼女の心を見て……試したくなったのと、彼女になら私を使えると信じて……
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とある機関の部屋の一室。幼げで儚げな女性が目の前の少女の報告を聞いていた
それを聞いた女性……神代朧は目を見開いたのと同時に笑みを浮かべていて
「そう。始祖がそんな提案を……でも、貴女は構わないかもしれないけど……こっちの立場もある訳だけど……」
「始祖が私に味方してくれるのなら……受け入れる覚悟は出来てます。朧さんの刀みたいに……私が器となれば上手くいくとは思います
朧さんの計画だって……バレなければ問題無いですから」
彼女は椅子を回しながら少し悩んでゆらゆらとしていた。少女……彼岸桜華はそれを見て年相応に見えない感じがしていて
「うーん。分かった。どの道……私もそろそろ動くつもりだし……そうだね。研究もあるし……時間は掛かるけど……君の為だしね。良いよ。こっちで何とかしておくから受け入れてきて」
少女は頭を下げると部屋から出ていく。残った彼女は刀を手にして少しだけ抜いて見てから納めて目を閉じていた
どうするのかを……思わぬ収穫が出来た事。国家機械の組織が作られ、この組織を彼女を連れて抜け出す事。そのまま破壊する事を考え……始祖の元で個人で殺るか……
「そうだね。私らしくね。繭」
それだけ言うと立ち上がり刀を抜くのと同時に姿を変化させていた。本人の意思関係無く刀が意志を持って姿を取り、暴れる事を
彼女が無理矢理この場に恐怖と逃げる気持ちを使って呼び起こした。彼女が覚えてる記憶を頼りに発現させた異形完全顕現は組織を破壊する為に暴れる事に……




