バイオレット・ヴェノムの覚醒
ーーーーーーーーっ~~!いたたた!
ぼんやり目を開けると頭から背中から足から、とにかくありとあらゆるところが痛かった。
ーーーーーーーー あれ?私どうしたんだっけ?あ、試合見に行って、群衆に巻き込まれて。
「バイオレット!」
ーーーーーーーー あ~。でも無事だったんだ。最後「終わった・・」と思ったんだけどなぁ。
「バイオレット!」
ーーーーーーーー なんか安心したらお腹空いてきた。夕飯食べずじまいで気を失ったからなぁ。
「バイオレット!」
ーーーーーーーー 何なのよ。さっきから煩い!
「バイオレット!父さまがわかるか?!」
ーーーーーーーー はぁ?バイオレット?近くに外人でもいるのかしら。
「バイオレット!母さまよ!わかる?!」
ーーーーーーーー ほら。バイオレット。返事してあげなさい。
「バイオレット!兄さまだよ!大丈夫?!」
ーーーーーーーー シカトすんじゃないわよ。バイオレット。煩いのよさっきから。
煩くて寝れないからもう注意するしかないと思い、いったん閉じかけた目を気合で開ける。
すると違和感しかない部屋の様子に、びっくりする。
「え。何ここ。特別室?」
どうやら自分は生まれて初めて天蓋付きのベッドに寝かされてるらしいことがわかる。
部屋の調度品であるドレッサーやチェスト、ソファセットも、映画やドラマの飛びぬけた金持ちが所有している高級品だ。
病院の特別室か?
「何を言ってるんだ。バイオレット。」
先ほどの自称父さまの声のする方を向く。
「あぁっ!一瞬でも目を離したのが悪かったわ!」
同じく自称母さま。
「僕が見せびらかすように木に登ったのが悪かったんだ!」
自称兄さま。
三人とも完全に外国人で、自称父さまと兄さまはプラチナブロンドにラピスラズリのような深い青色の瞳を持っており、自称母さまは艶々な黒髪にアメジスト色の瞳をしている。
しかも、三人ともAIか?っていうほどの美形だ。
ーーーーーーーー なにがなんだか・・・。
一体どうなってるのか事情が呑み込めないままでいると、激しい頭痛が襲ってきた。
「っううぅ~!」
そのまま意識が混濁すると、今までの記憶が激流のように流れ込んできたのだった。
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