本条美穂の日常
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--------この時間ならまだ間に合うかもしれないわ。
仕事を終え、自宅の最寄り駅に着いた本条美穂は腕時計を気にしながら足早に帰路についた。
美穂は日本有数の商社R&Kコーポレーションの秘書室に勤務している。
28歳と若いながらもコミュニケーション能力も高く、先輩秘書のサポート役をそつなくこなし、職場では可愛がられつつも信頼を得ている。
美穂が2歳の時に両親が交通事故で亡くなり、その車に同乗していたが美穂だけが助かった。
事故の記憶も両親の記憶もなく、児童保護施設で育ったことから両親にも頼れる親兄弟もいなかったのだろう。
幸いにして施設の兄弟や先生はみないい人たちだったし、多少の諍いや揉め事はあったとしても幸せな子供時代だったと思う。
中学・高校では勉学に励み、大学は奨学金を得て、その間に取れるだけの資格は取りまくった。
何せ頼れる身内がいないからだ。
趣味は今のところ格闘技観戦だが、それは資格を取るうえで通っていたところが護身術の道場ということに起因しているだろう。
元々体を動かすのも嫌いではなく、運動神経はいい方だと周囲からも褒められることが多かった。
美穂も師範代の資格を所有しており、早く仕事を終えた日や土日などの休日に生徒を指導することがある。
元々生徒だった男性が俳優デビューし、映画で格闘技を披露する際にまた通いだしたところから、美穂の師匠に護身術を教えてほしいとその界隈の生徒が増えたことと、その噂を聞きつけたドラマや映画の監督や演技指導者から声がかかり、直接現場に赴いて指導することが増えたため、道場の収入は安定してるものの指導者の人手が足りないとのことで、美穂が駆り出されることが増えつつある。
今日も20時から予約が入っており、相手は20歳の若手女優の菱田りか(ひしだ りか)だ。
ティーンのころに雑誌のモデルでビューをしてから徐々に人気が上がり、今ではドラマや映画に引っ張りだこで、彼女を見ない日はない。
「りかちゃん投げ技がだいぶ上手くなったね。結構練習した?」
前回指導した2週間前より、投げ技の返しやさばきが早く的確になっていたので聞いてみた。
するとりかは汗を拭いていたタオルから顔を上げると嬉しそうに
「そうなんです~。美穂先生が自分より体格いい男性バッタバッタ投げ倒してる動画見て、めちゃくちゃ練習しました!」
と、報告してくれた。
「そう。参考になれたのならよかった。」
美穂もうっすらかいた汗を拭きとりながら、ちょっと嬉し気に応えるとりかが思い出したようにバッグからなにやら取り出した。
「そういえば先生に渡したいものがあったんだった!
美穂先生、総合格闘技見に行きたいって言ってましたよね?
知り合いから今週土曜の試合のチケットもらったんですよ。
でも私仕事で行けなくなっちゃったんですけど、先生良かったら行きますか?」
そう言って手渡してくれたのは、格闘技好きなら誰でも知ってる選手の対戦チケットだった。
それも、リングからほど近い関係者席!
------行きたい!絶対行きたい!
「え?!いいの?!今シーズンの決勝戦だよ?!
私これ応募してたけど、当たらなかったの!」
するとりかはニコニコ顔を更にキラキラさせて
「やっぱり美穂先生行きたいと思ってたんだ~!
先生細くて小柄で美人なのに、本当に根っからの武闘派ですよね!
でも先生が喜んでくれるなら私も嬉しいです!
お世話になってる恩返ししたかったし。」
などと、今日本中で話題の若手女優からありがたすぎる言葉をもらう。
「お礼なんて・・・。
ちゃんと授業料払って習いにきてるんだから、教わるのは当たり前だし。
でも本当に嬉しい!
ありがとうりかちゃん!」
「はい!美穂先生楽しんできてくださいね!」
あとでりかちゃんにお礼しよう。
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