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記憶の泡
「天美ちゃん、それなあに?!」
美海の目に映るのは記憶の泡。
水晶のようにキラキラしているため興味を持ってしまったらしい。
「美海、触っちゃダメ!」
声を荒げたが遅かった。
記憶の泡は床に落ちていく。
床と衝突した瞬間、シャボン玉のように消えてしまった。
「ごめんなさい…」
美海は涙目になりながら謝る。
「いいよ、美海。大丈夫だから泣かないで。」
海奈の記憶は消えた。
もう二度と海奈の記憶は帰ってこない。
自分がしたことを少し後悔する。
あの子は海奈に戻れない。
一生私の人形だ。
安心、自責。私の過ちをどうか許して。
無邪気な美海は全てを諦めた海奈と正反対だ。
私は美海を苦しめたりしない。
だからずっとそばに居て。