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33.新しい生活と新しい良一
(新しい生活と新しい良一)
学校では、もうすでに担任が来ていて、朝のホームルームが始まっていた。
「すいません! 寝坊しました」
「珍しいな、江崎が遅刻するとは……。席に着け!」
そして、ホームルームが終わると達也が良一の所にやってきた。
「やあ、良一! どうしたんだ?」
「だから、寝過ごした!」
しかし、良一の顔からは笑顔がこぼれていた。
それを見て隣の席の幸恵が声をかけた。
「でも、良一君、何か嬉しそうね。いい事でもあったの?」
「何もないよ!」
良一は 慌てて顔を引き締めようとするが、どういうわけか笑顔がほころびてしまう。
「おまえ、彼女でもできただろう?」
それに関しては経験豊富な達也の感が働いた。
「そんなことあるわけないだろう」
笑いながら否定する良一だったが、幸恵の心にも少し不安がよぎった。




