表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/77

28.罪と罰

(罪と罰)


 その朝、良一は目を覚ますと、はっとした。

 確か紗恵子の部屋に居たはずである。

 その後の記憶がない。不安にかられながらも下に降りていった。


 もうすでに紗恵子が朝食の仕度をしていた。

 良一は紗恵子の後ろから声をかけた。


「昨日の夜はすみません。あれからの記憶がないのですが、僕、変なことしませんでしたか?」

 紗恵子は、突然振り向き……


「えっ! 覚えてないの?」


「……、はーあ……」


「ひどいわっ! あんなことまでしておいて覚えてないなんて……」


「え、……」

 良一は、驚きとともに紗恵子の顔を真っ直ぐ見られなかった。


「どこまで覚えているの……?」

 紗恵子は、恥ずかしそうに良一に背を向けて再びサンドイッチを作り出した。


 良一も恥ずかしい気持ちを抑えながら、雨だれのように話し出した。

「胸をさわったところまでは、何とか……。それと、抱きついたような……?」


「それだけなの……、それからパジャマを引き裂いて、あんなことまで……。もう他人じゃないのよー!」


「え、え……」

 良一は、何でそんな凄いことをしたのに覚えていなかったのかたと悔しがった。


「う、そ、よ。でも変ね、夢遊病はそんなにはっきり覚えてないものなんだけど……。良一君の場合は特殊なケースかもね。教授が喜びそうね」


 良一は詰った息をゆっくり吐きながら、紗恵子が昨夜の出来事を怒っていない様子に安堵した。

  

 それから気持ちも軽く、誰に言われたわけでもなく、朝食の準備を手伝い始めた。

「前にも、昨日みたいなことはあったの……」


「多分、初めてだと思いますが、一人だったから、寝ている間、何をしていたかわかりませんが……」

「それもそうね。一度、病院で診てもらったほうがいいかもね……」


 良一は、それには何も応えずサンドイッチの乗った皿を食卓に置いた。


「永江新一って知っていますか?」


 紗恵子の手が止まった。そして、またなにくわぬ様子でサンドイッチを切り始めた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ