表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

三題噺もどき

仲直り

作者: 狐彪

三題噺もどきーじゅうななこめ。


ある少女の話。

 お題:学校・紅葉・観覧車




 初めて会ったのは、学校の廊下だった。

 会った―というより、すれ違っただけなので、彼は気づいていないだろう。

 それが、今年の春のこと。

 彼に惹かれて、憧れて、恋をした。


 それから、夏。

 長期休みに入る前に、彼に一世一代の告白をした。

 彼は、突然の告白に驚いたようだが、受け取ってくれた。

 その時の笑顔は、今でも、昨日のことのように思い出せる。


 そして秋。

 お互いアウトドアなタイプだったので、2人で紅葉を見に行ったり、山登りをしたり。

 頻繁に出かけるようになった。

 まぁ、2人共学生なので、行ける場所は、限られてくるが。


 寒い冬。

 初めて喧嘩をした。

 今まで全く無かったという訳ではないが、それまでのものとは比べ物にならないくらいの、酷い喧嘩をした。

 酷い言葉を投げて、投げられて、とてもじゃないけど、思い出したくもなかった。


 それから2、3週間。

 意地を張って、話そうともしなかった。

 子供だったのだ、お互い。


 そんなある日。

 友達からダブルデートのお誘いが来た。

 彼にも連絡がきていたようで。

 それなりに仲の良い友達だったので断るわけにもいかず、イエスと答えてしまった。

 ―もしかしたら、これがきっかけになればと思っていたのかもしれない。


 当日。

 遊園地にいった。

 地元で人気の、それなりに人だかりのできやすい場所。

 友達が気を利かせてくれたのか、観覧車で2人きりになることができた。

 沈黙が、落ちる。

「「ねぇ……」」

 同じタイミングで話し始めてしまった。

「あ、いいよ、先に」

「いや、そっちが、」

 また、静かになる。

「「あの、」」

 顔を見合わせる。

「……プッ、ハハハ!!」

「アハハハ!」

 笑ってしまった。

 久しぶりに。

「なんで、喧嘩してたんだっけ?」

 笑いながら聞いてしまった。

「さぁ、」

 彼も笑いながら答える。

 昨日までの気分が嘘みたいだった。

 あんなに沈んでいたのに。

「あ〜笑った、笑った。」

「あのさ、ごめんね?」

 喧嘩の原因は忘れてしまったけど。

 今更ながら謝る。

「いや、俺もごめん。」

 ま、何で喧嘩したのか忘れちまったけどな―と言いながら観覧車を降りていく。

 それに続き、私も観覧車を降りる。

 晴れやかな気持ちだった。

 友人に後で感謝を伝えなければ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ