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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
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第80話 ドワーフ商会に到着、川について相談したけど凄く疑われた!

 さて、ドワーフ商会を探そう。

 あ、そうだ、空から見下ろせばおおよその場所がわかるかもしれない。


「リナさん、ちょっと空からドワーフ商会の場所を確認してくるから、リディア見てて。ちょっと行ってくる」

「空からって……どういうことですか?」


 羽を出現させ、空中へ。


「え!? ちょ、アルトラ様飛べるんですか!?」

「おおー、飛べるのカ! 良いナ~!」


 大体百メートルくらい上空に来た。

 トロル村付近で飛んでも、な~んにも無かったから何とも思わなかったけど、街があるところで飛ぶとこんな風に見えるのね。

 これが地球で言うところのヘリの視点ってやつかな。建物がごちゃごちゃと密集している。


 周囲を見回す。

 近くには見当たらないな……

 少し街並みを確認しつつ飛んでみる。

 あ、あったあった、多分アレだ。ドワーフ商会の看板がかかってる。

 今リナさんとリディアがいる地点から目測で五キロくらいはある。

 真逆の方向やん、リナさん……


 ちょっと遠いから直接ドワーフ商会に下りて、【ゲート】で迎えに行った方が早い。


「ただいま」


 【ゲート】で迎えに来た。


「わっ! なんだそレ!?」

「ゲートっていう行きたいところに一瞬で行ける便利な魔法なんですよ~」


 まあ海に棲んでるクラーケンは見たことないよね。リナさんが説明してくれたから、私からの説明は必要無さそうだ。


「へ~、すごいナ! 便利だナ!」

「それにしてもアルトラ様、空飛べたんですね!」

「あ、別に隠してたわけじゃないのよ、羽は使わない時には収納しているから」

「羽と一緒に輪っかも出現するんですね、ホントに神話に登場する天使みたいです!」

「羽スゴイ! ワタシもほしイ!」

「ごめんね~、生やしてあげることはできないかな~……」


 再び【ゲート】を使い、ドワーフ商会に到着。


「ここか」


 やっと目的の場所に着いた。

 さあ! いざドワーフ商会!


「ごめんくださ~い」


 ……

 …………

 ………………

 無反応。


 まさかここまで来て、店主はいないのか!?

 商会って言うくらいだから誰かしら常駐してるものかと思ったけど……


 そう思って少しの間(たたず)んでいたところ――


「あ、すみません、ちょっと裏で作業してたもので」


 若い女性がやってきた。背が低い、私より少し大きいくらいの背の高さだ。このヒトもドワーフかな?


「本日はどのようなご用件でしょうか」

「女王様から話を通してもらっていると聞いています、アル……じゃなかった、ベルゼビュートと申します。ヘパイトスさんという方はいらっしゃいますか?」

「ベルゼビュート!? 風の国の女王様!?」

「え~と、そうなんですけど、違うとも言うというか……元・女王と言いますか……」


 この質問いつもややこしいんだよな。

 記憶が無いから、行ったこともないところの女王様扱いされてもどう対応するのが良いかわからないし……


「はぁ、少々お待ちください」


 そして、この質問の後は『何を言ってるんだろう?』という感じでいつも微妙な顔をされる……

 レヴィアタンにはまだ『アルトラ』って名前を名乗ってるの言ってないからちゃんと言っておいた方が良かったかもしれない。


「なぁ、リナ~、ベルゼビュートって何ダ?」

「アルトラ様のことよ」

「何でベルゼビュートなんダ?」

「アルトラ様には、昔の名前と今の名前の二つがあるんですよ」


 ホントは人間時代のも含めて三つあるんだけどね。


 ……

 …………

 ………………


「確認が取れました、こちらへどうぞ」


 応接室へ通された。


「父が応対しますので少々お待ちください。粗茶ですがどうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 出してもらったお茶を飲みつつヘパイトスさんが来るのを待つ。


   ◇


 十分ほどが経過――


「来ませんね……」

「なぁ、アルトラ~、待ってるの飽きタ~」


 まだ十分しか経ってないよ。フレアハルトと言い、リディアと言い、高位存在は飽きるのが早いな。

 まあフレアハルト(あっち)はただ辛抱足らんだけだし、リディアは子供だから仕方ないか。


「おう、待たせてすまないな、あんたが女王様直々のお客さんか?」

「はい、アルトラと言います」

「女王様からは仕事の内容までは聞いていないが、何の用だ?」

「はい、今私は私の領主を務める村のために川を作りたいと思っています。それで――」


 これまでの経緯を説明した。


「――ということですので、何とかご助力ご助言いただけるとありがたいのですが……」

「う~ん……」


 ……

 …………

 ………………

 しばしの沈黙。


「…………これは素人には難しいんじゃないかな。これだけだと雨が降ったりすると土砂災害や洪水災害になりかねない。整備するのは大変だと思うぞ。それにな――」


 一層険しい顔になる。


「この潤いの木ってやつ……ホントにそんな木が存在するのか? 常に水を吹き出す木なんて、そんなのあったら干ばつなんて起こらなくなるじゃないか。砂漠だって緑に変えられるかもしれんぞ? 百五十年以上生きてるが聞いたこともない」

「それは本当に存在します! 私の村はそれの所為(せい)で水没してしまったから、何とか移植して川を作って、村の安全を確保したいんです! 信じられないなら見に行きますか?」

「今からか? ここから地獄の門のある中立地帯まで何百キロあると思ってるんだ?」

「私なら一瞬で連れて行くことができます!」

「一瞬で? バカバカしいな、冷やかしなら帰ってくれ!」


 ここまで来てアドバイスも貰えずに帰れるか!


「この方が言ってることは本当だと思いますよ。潤いの木については見たことはありませんが、一瞬で移動できる能力があるのは本当です」


 (たま)りかねてかリナさんが口を挟む。


「あんたは?」

「リナ・ウォルタ・ブラウンと申します。別邸建設の時にお世話になりました」

「ああ、ウォルタ邸のお嬢さんか。何であんたのような上流階級の人がここに?」

「騎士団でこの方の護衛を任されてまして」

「アルトラさんはそんなに重要な人物なのか!?」

「女王様の“重要な”ご友人ですので」


 こちらをじっと見て――


「あんた、そこまで偉い人物なのか……どう見たって重要人物にしては若すぎるし、とてもそうは見えないが……」


 ジロジロと見られた。

 まあ、「みすぼらしい」って言われたしね……


「上流階級のお嬢さんがそう言うなら、本当のことなんだろう。じゃあとりあえずその潤いの木というものを見せてもらおうか」

「わかりました。リナさん、パっと行ってパっと帰ってくるから、リディアをお願い」

「お任せください」


 【ゲート】を出してトロル集落と繋げた。


「何だそれは!? 空間魔法か!? 女王の側近が使っているような魔法だぞ!?」

「これが先程言った一瞬で移動する魔法です、先に行きますので付いて来てください」

「大丈夫なんだろうな……?」

「私が先に行きますので」


 先に通過して、トロル村の方で待つ。

 少ししてヘパイトスさんが通過してきた。


「驚いた……噂には聞いてたが、本当に一瞬で移動できるとはな……」

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