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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
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第79話 クラーケンを仲間として迎え入れた!

「……痛イ…………放……しテ……」


 人語!? イカが!?

 これもしかしてレッドドラゴンと同じケースかしら?


回復 (大)(ハイ・ヒール)


 急いで回復する。


「ねえ、イカさん、私の言ってることわかる?」


 頭を上下に振る。多分頷いてるのかな?


「あなたの態度次第では、今から拘束を解こうと思うんだけど、暴れないって約束できる?」


 頭を上下に振る。前の質問と同じ反応だから、肯定の意味なのかどうかわからんな。一応別の質問してみようか。


「二、三、別の質問をするので答えてください。あなたはタコですか?」


 頭を横に振った。明らかに前二つの反応と違う。

 でも、一応絶対的に明確な質問をしてみよう。


「あなたは海に入れませんか?」


 頭を横に振った。


「じゃあ、海に入れますか?」


 頭を上下に振った。これは完全に人語を理解出来てると思って良いかな。


「じゃあ、確認が取れたからあなたの拘束を解きます、暴れないでくださいね」

「アルトラ様、本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫、もしダメでも私が再度制圧するから」


 拘束魔法を解く。封印魔法は一応まだそのままにしておこう。


「おいあの嬢ちゃん、クラーケンの拘束解いちまったぞ?」

「せっかく捕まえたのに何やってんだよ!」

「今日のイカ料理はお預けか~……」


「あなた、もしかして人の形に変身できるんじゃない?」


 頷いた。

 煙が出てきた。これフレアハルトと同じだ。


「おい、あのイカ何か煙出してるぞ?」

「何かあるんじゃないか? 大丈夫か?」


 ん? 同じってことはまさか……

 ………………

 まずい、裸だ! しかも女の子!?

 迅速に創成魔法で布のマントのようなものを作って隠す。

 ふぅ……セーフ……この手の対処に手慣れて来たな、私!


「何だ? イカが女の子になったぞ!?」

「ちょっと俺たちも行ってみよう!」


 突然女の子になったイカに興味が湧いたのか、高台に避難していた人たちがゾロゾロと下りてきた。


「どうかしたカ?」


 ちゃんとしゃべれるのね……

 高台に避難してたヒトたちは、いつの間にか近くに来ている。


「ううん、何でもない。それで、あなたは何でここに来たの?」

「お腹空いてタ……ワタシ……下手だから中々食べられなかっタ、魚獲るノ……魚、漁船いっぱいだかラ、食べさせてちょっともらっタ」


 ん?


「ごめん、もう一回言ってくれる?」

「だかラ、お腹空いてタ……下手でご飯獲るの食べられないかラ、いっぱい漁船かラ、魚もらっタ」


 ちょっと何言ってるかわからんどころか、全く何言ってるかわからん……

 私が聞いてる声、これって私には日本語として聞こえてるはずよね?

 多分、主語と述語が前後してるだけなんだろうけど……前後するだけでここまでわからん文章になるのか……


「分けてもらおうト、ご飯漁船からちょっと思っタ!!」


 凄い焦ってきてる……必死に伝えようとしてくれているみたいだけど、ホント何言ってるかわからない……


「ちょ、ちょっと待ってね」


 う~ん……これは元々のトロルより知性低いかもしれないな……

 でも、『おバカわいい』って言葉があるから、少しくらいおバカなくらいが良いかな、じゃあ『中』くらいで良いか。


永久的知(エターナル・ミ)性上昇(ドル・イン) (中)(テリジェンス)!」


 これで少し頭が良くなったでしょ。


「もう一回教えてくれる?」

「お腹空いてタ。でもワタシ、魚獲るの下手だからちゃんと食べられなくテ……漁船いっぱいいたからちょっと食べさせてもらいたかっタ」


 ちゃんとした文章に整理された。


「なるほど、魚が獲れなかったから、陸に上がって魚を食べてたのね」


 クラーケンの中でも特別おバカなのかしら? だから魚を捕まえるのも下手だったとか?


「でも、もうお腹いっぱいになっタ」


 知性上(ミドル・イ)昇 (中)(ンテリジェンス)で、脳が整理されて、空腹に感じる領域が狭くなったのかもしれない。さっき地引網の中の魚を貪り食ってたから、その満腹感が今来たってところかしら。


「それで、何で私を攻撃したの?」

「前に何回も魔力強いヤツに海の遠いとこまでふっ飛ばされタ」


 多分、レヴィアタンのことだな。


「だかラ、ぶっ飛ばされる前に先に魔力強いヤツをぶっ飛ばそうとしタ」


 予想は大体合ってたな。魔力感知能力が高いタイプだった。


「海で溺れてるヒトを助けたのは何で?」

「『溺れる』ってなんダ?」


 ああ……そうか、イカだからそもそも溺れることがないから、『溺れる』の意味がわからないのか。


「え~と、何て言ったら良いんだろう……海で水面でバシャバシャ慌ててるヒトがいたと思うの、それをあなたは助けたのよ」

「苦しそうに見えたかラ、海の上に出してやっただケ」


 苦しみがわかる子ってことか。優しい子みたいだな。


「クラーケンさん、名前はあるの?」

「アクアリディア! パピーがこの国の近くデ、この国の名前から付けてくれたノ! リディアって呼ばれてタ!」

「リディアか、良い名前ね。パピーもこの近くにいるの?」

「いなイ、クラーケンは五歳で独り立ちすル。パピーはちょっと遠いとこロ。リディアは名前付けられたここが好きだかラ、遠いところからここへやってきタ」

「今五歳なの?」


 五歳にしては大きい気がするけど……いや人間に当てはめちゃダメか。そもそもクラーケン形態が脚まで含めたら十メートルくらいあるしな。

 と言うか、何で五歳って認識してるんだろう……人間の私ですらカレンダー無いと今日が何日なのかわからんのに。体内時計とかなのかな?


「今、きっと八歳くらいと思ウ。パピーはもっと大きイ!」

「パピーはどれくらいの大きさなの?」

「リディアの十匹分くらいあル!」


 年齢? 長さ? 年齢だと八十歳?

 長さなら、十匹分っていうと……体高四、五十メートル!? 脚まで入れれば百メートルくらい!? でかっ!

 私は身体の大きさのこと聞いたつもりだったけど、リディアの今の文脈だとどっちのこと言ってるかわからないな……凄いモンスターだってのはわかったけど。

 上陸したのが親じゃなくて良かったわ……


「アルトラ様、それでこの子どうするおつもりですか?」


 ああ……そうか、そこまで考えてなかった。食欲は知性上昇である程度抑えられたかもしれないけど、優しい子ではあるようだけど、頭良くしちゃったからこのまま海に帰して悪知恵付けるようになったら、より厄介になるかもしれない……

 う~ん……村に連れてって面倒見られるかな……


「リディア、私と一緒に来る?」

「そこならちゃんとご飯食べられル?」

「食べられるよ」

「じゃア、行ク!」

「じゃあ、私はアルトラ。こっちはリナ、よろしくね」

「本気で連れて行くんですか!?」

「まあ、関わっちゃった責任もあるし、村も一人増えるくらいなら大丈夫だと思う。私はあの地引網の中の魚以上の量を食べたことあるから、食料事情も大丈夫。それにこの子、多分食べる量かなり減ってるんじゃないかと推測してる」

「アルトラ様、その小さい身体でそんなに食べるんですか!?」

「うん……まあ……一度だけ気付かぬうちにその量になってたってだけだけど……あれは流石に反省した。今は自重してるから大丈夫。リディア、地上で生活ってできる?」

「この姿なラ、大丈夫!」


 地上で問題無く生活できるってことは、この子、実は海の生物じゃなくて、亜人の一種なんじゃ……?

 でも、これでここにクラーケンが出没しなくなるなら、漁師にとっても良いことなんじゃないかしら?

 そうだ、一応安全も確認できたし、【魔法封印(マジック・シール)】も解除しておこう。


「と言うわけで、聞いてたと思いますが、今後はここにクラーケンが出没することはなくなりました!」

「おお、そりゃあ良かった!」

「これで水揚げしたものを食われることも無くなるか!」

「でも、亜人助けたって話もあるし、ちょっとだけ寂しくなるな」


 みんな思い思いのことを口にしているが、とりあえず一件落着だろう。


「じゃあ、改めてドワーフ商会を探しに行こうか。その前にリディア、こういう感じに服を作れないかな? そのままの姿で歩いてもらうのはちょっと目立つから」

「やったことなイ!」


 まあ海で生活してれば、やる必要も無いよね……布しか羽織ってないから、強風とか吹いて、バサッってなったりとか想像すると、こっちは気が気じゃないんだよなぁ……服を着せたとしても、変身が解けた時にきっと破れて散ってしまうから出来ることなら自身で服を形作ってもらいたいところだけど……

 出来ないようなら破られるのが前提だとしても、服を作って着せるか。


「でも、アルトラに迷惑かけないようにがんばル! 大きい姿の時も皮膚使って変形させるからきっといけル!」


 そういえばイカの中には保護色で色を変色させるものもいたっけ。皮膚を変形させるってのはその進化系かしら?

 あっという間に白いドレスが出来た。スカートの裾がイカの触手を思わせる形をしている。


「どうダ?」

「イイよ! 可愛い可愛い!」

「色も変えられル!」

「おお~! 凄いね!」


 凄い早さで次々色が変わって、まるで光ってるみたいだ。


「透明もいけるゾ!」


 服だけ透明になったから、頭と四肢だけ浮いてる……怖っ!


「そ、それはやめておこうか……」


 きっと周りがビックリする。夜これに遭遇したら、全力で逃げるわ。


「でも服作るのちょっと疲れル……」


 なるべくならそのままを保てるようにしてもらいたいけど……変形が解けた時にすぐさま対処できるようにしておくか。

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― 新着の感想 ―
[一言] クラーケンの言ってること分からないとか、主人公馬鹿すぎだろ。
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