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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
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第68話 事情を知らない人にとってアルトラの服は不気味だった……

 今日宿泊予定のホテルに到着。


「おおぉぉぉ!!」


 ホテル直下から見上げる。

 煌びやかで見るからに高そうなホテル。

 ホントにこんなとこ泊まって良いの!? あとで請求とかされないでしょうね?

 こんなところに用が済むまで泊まって良いなんて……レヴィアタン、何て太っ腹なのかしら!


 とりあえずチェックインしよう!

 と思って気付いた。

 そういえばこの世界にもドレスコードとかあるのかしら?

 拷問騎士リッチに「みすぼらしい格好」って言われたから心配だ……見ようによっては黒いドレスに見えないこともないけど……この服、闇魔法製の疑似物質だから闇が常に流動してるんだよね……

 あ、足は裸足だった、一応靴っぽいものを形作っておこう。もしかしたらこれもみすぼらしく見えてた原因かもしれない。


 黒い靴を履いたように見えるよう闇を形成する。


 これで入れてもらえないようなら、気は進まないけど創成魔法の出番かな。


「ねえ、リナさん、高級ホテルってこの格好で入れるかしら?」

「服装はそれほど変とは感じませんが、フヨフヨ動いてるのが気になりますね……」

「魔法でこういう服作って着てる人っていないの?」

「いるわけないじゃないですか、そんなの!」


 食い気味に否定された……そんな酷かったのかこの服……闇でしか作れないなりにもデザインを考えた方が良いかもしれない……


「服の形に留めておけるヒトがまずいません。普通のヒトなら魔力が分散してしまうので、服の形に留まっていません。魔力が強くて()つ魔力コントロールが上手いヒトでも、持続させておくのは凄く疲れるから多分やらないと思います。普通に服を着る方が魔力も消費せず、効率的で楽ですし」


 ああ、そっちの意味でやるヒトがいないのか。あまりに服装がダサ過ぎてやらないって意味かと思った……

 何気なく、ずっとこの服を形成してたけど、これってそんなに難しいことだったのね。

 多分、私に備わった『効果:永続』で、魔力消費が抑えられてるから可能なんだろう。

 何だか暗に褒められた感じがしてちょっとだけ気分が良いわ。


「ベルゼビュート様はなぜそれをやろうと思ったのですか?」

「服を燃やされちゃう事件があって、布の服だと燃えるなら、魔力で作ってしまえば燃えないかなと」

「何だか……随分過酷な場所で生活されていたんですね……」


 何か『聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな』って目をしてるけど、別にもっと聞いても良いからね!


「あの……つかぬ事をお聞きしますが、その下は?」

「下? スカートの中? 闇でコーティングしてるから真っ黒よ、見てみる?」


 片手でスカートをめくり上げて中を見せる。

 ちょっとはしたないかな? まあ相手女の子だしいっか。


「た、たしかに真っ黒ですけど、その黒の中は? 下着は着ているのですか?」

「え? 裸だけど……」

「裸!? 魔力が分散したらどうするんですか!?」

「今まで分散したことないし、これまでだとその心配よりも、むしろ服を燃やされたり濡れたりすることが多かったから着ても意味無いかなって」

「分散したことがない……? どのくらいの期間その服を形作ってるんですか?」

「え~と、魔界(ここ)に来てすぐだから、多分半年近くは経ってると思う、まあ夜はパジャマ着てるから二十四時間ずっとってわけではないけど」


 カレンダーが無いから何日くらい経ったのか曖昧なんだよね……最初の方こそ数えてたけど。


「はん……とし……? ………………すごい……凄いですね!! 流石我が国の魔王様がお認めになった方です!」


 急に尊敬圧が強くなった……


「は、話を戻すけど、この服では入れなさそう?」

「そうですねぇ……ちょっと難しいかもしれません。私は今その服が出来るに至った背景を知ったので問題無いですが、事情を知らないヒトは動いてる服なんて得体が知れないですよね? 普通のヒトは魔法で服を作ることなんて出来ないので、魔法で服を形作ってるなんて思いもしません。それに……常に動てる服は……その……お気を悪くされたらすみません、正直に言ってしまいますが……不気味です……」


 ガーーーーーン

 …ガーーーン…

 ……ガーン……


 今まで考えもしなかった……動いてる服って不気味なんだ……

 じゃあ、トロル村の村民は優しさで何も言わなかったのかな?

 もしくは私に怒られるのが恐くて言えなかったか、みんなが私の動く服に慣れ過ぎてて気付かなかったか。

 それとも元々ほとんど服着てないような種族だったから、動く服でも全く気にしてなかったか。


「リナさん……気付かせてくれてありがとう……」

「ハッ! い、いえ、お気に障ったなら申し訳ありません!」


 じゃあ、エルフィーレの服が出来たら、この闇のドレスもお払い箱かな。

 そうなるとフォーマルな服買うお金なんて無いし、創成魔法の出番か。こういう時にイメージするだけで作れるから便利よね。

 ショッピングモールだから、イメージに出来そうなものはそこら中にあるし。


「じゃあ (創成魔法で作るにしても)服 (のデザイン)どうしようかな……」


 独り言を言ったつもりだったが、リナさんは聞き取っていた。


「こんなこともあろうかと、ブティックを押えておきました!」

「え!? ブティック!?」


 今、創成魔法で作ろうと自分の中で決定されたところだったから、突然横から「ブティック」という単語が耳に入ってきて戸惑った。


「いいよそこまで! 服って高いでしょ?」

「お気になさらずに、女王陛下直々のご命令ですので」


 わざわざ買わなくても、目の前のショーウィンドゥの服を見て再現できるよ。

 と言おうとも思ったが、ここで私が服を買うことによりお金の流通が出来るし、むしろここはお言葉に甘えて店で買った方が良いのではないか?

 さっきエルフィーレ製が出来るまで我慢するかって誓ったばかりだけど、フォーマルと普段使いは別物と考えよう。

 私の誓い、豆腐より脆いな……


「じゃあ、またお言葉に甘えます」


 何から何まで出してもらって申し訳ない……

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