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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
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第64話 水の国に入ってすぐに逮捕された……

 ゲートで水の国アクアリヴィアの広場に移動する。

 先日レヴィアタンに連れて来てもらって良かった。彼女が連れて来てくれなければ数百キロの道のりを自分で訪れないといけないところだった。

 ん? そういえばこの間は空間魔法で来たって言っていたけど、初日の時は? あの時帰る時飛び去って行ったから……彼女は私の家に来る時に数百キロ飛んできたってことか? 流石魔王……体力もめちゃくちゃだ……


 そしてアクアリヴィアに着いて、早速街の名前が目に入った。


 『水の都トリトナ』


 多分首都の名前なんだろう『トリトナ』というらしい。

 と言うか……


 人多っ!!

 世界有数の国家だから、路上を歩く人の数もトロル集落とは比較にならない。

 うわ、【ゲート】で移動してきた所為か、めっちゃ見られてる……


「あれ誰かしら…?」

「空中に穴が開いたから国家空間魔術師の誰かかと思ったけど、誰だあの子……? 見たことないな」

「あんな真っ黒い服で……それにあの服なんかユラユラ動いてない? 危険人物とかじゃないよね?」

「スパイ?」

「だとしたら黒い服ってベタ過ぎない? スパイならスカートは不自然だし、それにちょっと若すぎる、って言うか幼過ぎるし」

「魔族の方々は数百歳でもあんな見た目している人はいるよ?」

 ヒソヒソヒソヒソ……


 大勢から奇異の目で見られている……は、早くこの場を移動しよう。


「あ、あの……」


 通りすがりのヒトにレヴィアタンのいる宮殿の場所を聞こうと話しかけるものの――


「あ、い、急いでるのでごめんなさい……」


 足早いに去ってしまった……

 別の人を捉まえるか……


「すみません……」

「あ、待ち合わせに遅れてるので……」


 この辺りにいる人たちにはさっき【ゲート】による空間転移を見られてるから、誰も関わりを持ってくれようとはしない。

 前に来た時は女王とその側近たちと一緒に訪れたから特に問題が無かったんだ。一人で来るとみんなこんなにも冷たいとは……人間も亜人も得体のしれない人への対応はあまり変わらないのね……

 もっと離れたところに転移したかったところだけど、この広場にしか来たことなかったからここに転移するより他がなかった。以前来た時に転移ポイントの増やしがてらブラっと散策しておくべきだったわ。

 路地裏とか人が少ないところを見ておくべきだった。


「仕方ない……自分の勘に頼るか」


   ◇


 迷った……ここがどこかもわからない。自分の勘は当てにならんらしい。

 日本なら看板とかで行き先を示してくれてたけど、ここには細かいものまでは無いからどっちに行けば良いかわからない。


「転移してきたところから大分離れたし、もう一度ヒトに聞いてみるか」


 路上に顔を出して営業をしている食べ物店の人に聞いてみる。恰幅(かっぷく)の良い水棲タイプの亜人だ。ほとんど人のような見た目だけど、耳がヒレになってて、体が薄青い。サハギンかな?

 店に売られているのは魚のフライのようなもの。


「すみません、アクアリヴィアの宮殿に行きたいのですが……」

「宮殿?」


 上から下まで舐め回すように見てくる。


「見たところとても高貴な人物には見えないけど……あんなところに一般のヒトが何の用だい?」


 確かに全身黒ずくめの格好だし、高貴には見えないだろうけど……高貴な人じゃないと宮殿って行けないものなのかな?

 それともこの格好がいかんのか?


「いえ、宮殿に招待されてまして」

「あんたが!?」


 『コイツの言ってることホントか?』って目で見られた。薄目になって明らかに疑ってるな……

 加えて、子供のような見た目だから更に疑いの眼差しが強いように思う。


「さっき大広場の方で騒ぎになってたけど、あんたじゃないよな?」

「広場? い、一体何のことだか……」


 ズバリ私のことだが、面倒になりそうなので誤魔化す。


「ヒトに物を尋ねるならまずやらなきゃいけないことがあるんじゃないか?」


 トントンと指先でショーケースを叩く。

 値札には『白身のフライ 百二十ウォル』と魔界文字で書かれている。

 ウォルってのは……多分ここの通貨かしら?

 暗に店の物を買えって言ってるらしい。並んでいるフライのようなものは美味しそうだけど。

 ただ……あからさまに邪険にされてるな……疑いの眼差しは相変わらずだし。

 この国のお金も持ってないし、別の人に聞くか。


「お、お手数をおかけしました」


 軽く会釈して店を離れた。


 しまったな……全くお金が無いのは困ったぞ。

 フライ程度の安価なものすら買えないのはかなり怪しまれたかもしれない。

 今度は店以外で聞いてみよう。路上にいるヒトとか。


「すみません」

「はい?」

「宮殿に行きたいんですが、道を教えていただけませんか?」


 私が別のヒトに道を尋ねてる最中に肩を叩かれた。


「お前か怪しい女は?」


 は?

 振り向くと騎士風の出で立ちの男二人。


「空間魔法を使う真っ黒いドレスの怪しい女の通報と、同じく黒いドレスの女が宮殿への行き方を聞いていると通報があった」


 あの大広場の衆人と、魚の揚げ物屋か、やっぱり最初から怪しいと決めつけられてたんだな……


「随分若く見えるが……お前にスパイの容疑がかかっている、一緒に来てもらおうか!」


 スパイ容疑!? 私が!? ……何でそんなことに? あ、あの揚げ物屋話盛ったな!?

 しかし、こんな少女に対して随分な対応ね! 魔族は若く見えるヒトもいるってさっき聞こえたから、私もその(たぐい)だと思われてるのか?

 穏便に済ませたいし……仕方ない、今は言う通りにしよう……


 手錠をかけられ連行される。


   ◇


 連れて来られたのは宮殿の地下。尋問室のようなところ。

 普通は警官とか、保安官とかに警察署みたいなところに連行されるんじゃないの?

 スパイ容疑がかけられているからすぐに宮殿? 国にとっての重大案件と判断されたってこと?


 ただ、思わぬ形ではあるけど、無事宮殿に着いた。あとはレヴィアタンに話を通せれば……


「あの……レヴィアタンに話をさせてもらえませんか?」

「なに!? 女王様のことを呼び捨て!? 貴様、不敬であるぞ!」


 何でこんな怒鳴られないとならないの……これは二、三日で帰るのは難しいかもしれない……着いて早々捕まるとは思わなかった……


「ここの女王様には、いつでも頼れって言われたんですけど……」

「女王様が貴様のようなみすぼらしい下女にか?」


 ムカッ! 下女? そこまで言われる(いわ)れは無い!


「…………あなたたち……首が飛ぶこと覚悟した方が良いかもね……」

「何をバカな、どう見ても高貴な者に見えない貴様のような女が女王様と接点などあるはずがない。さあこの国で何をしようと企んでいたのか吐いてもらおうか」


 あの女王様は一人でいろんなところ行ってそうだから、接点はそこら中に転がってる気がするけど……


「貴様には知っていることを洗いざらい吐いてもらうぞ」

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