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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第2章 トロル集落の生活改善編
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第44話 敗者の態度じゃないね……

 翌日――


 レッドドラゴンとの約束通り、今日も火山に行く予定。

 まずは今日の行動報告。


「リーヴァント、また川を作るための調査に行ってくるよ。数日後に村のみんなにも手伝ってもらうことになりそうだから、集落全体にその旨を伝えておいてもらえる?」

「わかりました」

「あと、穴掘り要員が必要なんだけど、肉体派を何十人か募集しておいて」

「何十人もですか!?」

「そう、出来れば集められるだけお願い。今回の計画は人手が要るからね、塩作り三兄弟とか適任かも。ただ無理に招集かけないで、手伝える者だけで良いとも伝えて」


 しかし……人使うってなると普通は給料払わないといけないんだけど、今のこの状況で何を対価にしたら良いんだろう?

 この間ヨントス捜索をしてくれた人にもご褒美あげないとなぁ。考えておくか。

 この際だから通貨制度を普及させたいところだけど……いきなりそんな制度始めても、みんなわけがわからないだろうし……

 近隣の国は通貨があるのかしら?

 この間多分どこかの国から来たであろうレヴィアタンが『また来る』って言ってたし、今度来た時に聞いてみよう。害意は無かったし、聞けば教えてくれるかもしれない。 (第17話参照)


「アルトラ様、これ頼まれていたものです」

「あ、ありがとう! ハンバームちゃん」

「アルトラ様、それは?」

「お弁当。お昼跨ぎそうだから、頼んで作ってもらったの」


 私がオルシンジテンの情報を元に何人かスカウトした料理人の中の筆頭料理人『ハンバーム』。弱冠十九歳。この集落で誰よりも料理の素質があると判断された。

 名前が私が好きな“ひき肉で作ったアレ”に似ている、まさに料理人に打ってつけの子だ。

 ちなみに「ちゃん」付けしてるのは、『ハンバーグ』と間違える可能性を考えてのこと。


「じゃあ、行ってくるね」


 【空間転移(ゲート)門】で火口へ繋げ、通過。

 火口に到着っと。


「うわっ!」


 もう既に昨日のレッドドラゴン三体が来ていた。

 びっくりした……横向いたらもうそこに居るんだもの。


「遅い! いつ襲撃に来るのかと待ち構えておったのに、まさか本当に朝来るとはな、待ちくたびれたぞ!」

「昨日、『明日の朝来る』って言ったじゃない!」


 一体いつから待ってたんだろう? まさか昨日私が帰った後からずっといる?


「それで、今日は何をするのだ?」

「その前にあなたたちの名前を教えてもらえる?」

「なぜ貴様にそんなことを言わなければならぬのだ」

「何て呼べば良いかわからないでしょ?」

「まずは貴様が名を名乗れ」


 このドラゴンは……一応私に負けたって事実を自覚してないのかしら?


「私はアルトラって言います。ここより五十キロほど離れた集落で領主の任に就いています」

「領主? 領主が自らこんなことをしておるのか?」

「うん、まあ私の責任でやるんだから、私が調査に来ないとダメでしょ」

「そういうものなのか? そんな調査など下の者にやらせるのが普通だと思っておったが」

「まあ、忙しくて手が空かない場合はそうなるかもしれないけど、まだそこまで忙しくはないしね」


「我はフレアハルト八世、この赤龍峰(せきりゅうほう)に住むレッドドラゴン族の現族長の息子だ」


 この山、赤龍峰って言うのか。

 レッドドラゴンが棲む山だから崇められる感じに赤龍峰って名付けられたのかな?


「へぇ~、じゃあレッドラゴン・プリンスだ。そちらの二人は?」

「わたくしはアリシェールと申します、常にフレアハルト様のおそばに控えております。覚えにくければアリサとお呼びください。我が主の非礼をお詫びします。少々傲慢なところがありますので適当にあしらってください」

「わたしはヴァレイアって言います! レイアって呼んでくださいね!」


 主と違ってちゃんとしてる! 特にアリサさんはちゃんとしてる!


「それで、何をするのだ?」

「今日は川を掘るためのルート上をマーキングしていこうと思う」

「マーキング? 小便でも垂れ流すのか?」


 この男 (?)はデリカシーが無いな!


「そのマーキングじゃないよ! ドラゴンはそうやって縄張りを主張するの?」

「ハッハッハッ! 何をバカな、そんなのは下等生物がすることだ。我らはただそこにあるだけで他を圧倒できるからな」


 つまりは私たちが下等生物で、縄張り主張が()()手段だと思っているわけか。

 その下等生物に負けたってことは自覚してないのか?


「ここで言うマーキングは、川をどういうルートで通すか目印を付けていくってことよ。どうしても曲がらないと行けない場所とかあるかもしれないから、そのポイントを探りながら目印を付けるの。大体百メートル間隔くらいで目印を付けていく」

「百メートルとはどれくらいの間隔なのだ?」


 百メートルの間隔って……普通に生活してるとそんなことわからないよね……まあ目安で良いか。

 え~と、人間の歩幅で計算すれば良いんだった。

 昔3D映像作る時に歩幅気にして調べたことあるわ。結局使わんかったけど……

 確か、人間の歩幅って身長×〇.四五から〇.五くらいってのを調べたから――

 …………六十三から七十センチくらいか。間を取って、一歩を六十六センチと考えよう。

 だとすると――


「私の足で大体百五十歩くらいかな」

「川を通すにはそんな前準備が必要なのだな」

「いや、これは私独自の方法だから、本当はどうやるのが正しいのか知らない。ただ私がここを掘ってほしいなってところに杭を二本ずつ打って目印にするだけだから」

「ほう、なるほど、杭を目印にするのか。なぜ二本ずつなのだ?」

「川幅の目安かな。まあこれも後々この通りに出来るとは限らないけど、目安として『これくらいの川幅』だと示しておこうかと思って」

「それで刺し込む杭はどこにあるのだ?」

「ここに」


 【亜空間収納ポケット】を出す。

 昨日のうちの樹魔法で千本作っておいた。


「おお、昨日我々の前から消えた時の魔法だな! その中に杭が入っておるのか! よしよしでは貴様の作業をとくと見せてもらおうではないか!」

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