表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第2章 トロル集落の生活改善編
44/560

第42話 vsレッドドラゴン・プリンス

「!? な、なに!?」


 いつの間にか巨大な生物が火口に寄って来ていた。


 な、何だコレ、初めて見る!

 ドラゴン……?


 私が湖底を調査している間に、赤いドラゴンらしき巨大生物が三体来ていたのだ!

 人間界で地上において象以上に大きい生物は存在しない。

 しかし、目の前に突如出現したこのドラゴンらしき生物は、体高でその二倍も三倍もある。それ以前にケルベロスという巨大生物を目にしてはいるが、それより二回りほど大きい。

 あまりの巨体を初めて目にして、声が出てこなかった。


「何をしに来た! 去れ、亜人!」


 ドラゴンってやっぱりしゃべれるのか!

 亜人? 亜人と言われたのは初めてだが、私のことか?

 魔界には人間がいないから、私のことも亜人だと思ってるのかもしてない。


 向こうから声をかけられたことで驚きが少し緩和され、口が動くようになった。


「ちょ、ちょっと待ってください、いきなり来て『去れ』とはどういうことですか? あなたたちはこの山の主かなにかですか?」

「我らはこの七つの山を住処にするレッドドラゴン族だ。普段誰も訪れないここに強い魔力を感じたから来てみたが……貴様……以前空から大量の水を降らせた者だな?」


 大量の水……先日洪水を引き起こした (と思われる)豪雨のことか、何でそれを降らせたのが私だってわかったんだろう?


「大量の水? 何でそれが私の仕業だと思ったんですか?」

「我らドラゴン族は魔力感知に長けている、貴様からあの水と同じ魔力の波長を感じる」


 ああ……そんなことでもバレることあるんだなぁ……


「我らはあの水によって住処を追われ、七つあった住処が今や一つになってしまい、迷惑している!」


 えっ!?

 やっぱり迷惑かけちゃった種族がいたか……


「そして遂に残ったたった一つの活火山まで消しにきおったな!」


 え? ちょっと話が飛躍し過ぎじゃない? 何でそんな結論に?


「それは誤解です! あの活火山に手を出す気はありません!」


 元々火山を鎮めるのが目的だったから、ちょっと言い分としては苦しいかもしれないけど……

 でももうホントに残った火山に手を出すつもりはない。


「嘘を吐くな!! 去らぬというのならやむを得ぬ、貴様ら亜人がこの山に二度と入る気を無くすように、貴様を殺して見せしめに(ふもと)の村に死体を晒してやる!」


 マジか……ただ調査に来ただけなのに、いきなりドラゴン三体を相手に戦わないといけないの?


「ま、待って!」

「問答無用!!」


 言い終える前にレッドドラゴンが回転し始めた。

 視界の外から何か大きいものが私を襲う!


 ガキンッ!!

「キャァッ!!」


 山の頂上にいたのに大分下の方まで吹き飛ばされていた。

 どうやら尻尾で振り払われたみたいだ。

 痛みは無いけど、突然攻撃されたから腹立った!


「なにすんのよ!」


 筋力強化した拳で反撃。

 ウロコが大分硬いが、顔を殴りつけたからそれなりに痛かったらしい。


「ぐっ! 貴様!」


 ゴオオォォォ!!


 レッドドラゴンが火炎を吐き出した。

 でもこの手のことはもうケルベロスで経験してるから、私に効かないのは実証済みよ!

 ん? 何か熱い?


「あちゃちゃちゃちゃちゃっっ!!」


 ザパーン


 熱さに堪らずすぐカルデラ湖に飛び込んで消火する。


「ぷはっ!」


 何で!? この身体炎効かないはずじゃ……?

 まさか属性Lvって10が最高値だと思い込んでたけど、それ以上があるのか!?

 それほど長時間炎を浴びたわけでもないのに体中に軽度の火傷を負った。

 今までどんな攻撃喰らってもノーダメージだったから、人間だった頃以来、久しぶりの痛みだ。ヒリヒリする。


「ほう……下等な亜人ごときがよくぞ我が【ファイアブレス】に耐えたな。このまま引き下がり、二度とここに来ぬと言うなら逃がしてやっても良いぞ?」


 羽を使って湖から脱出。


「貴様、飛べる亜人か……中々珍しいな」

「お願い! 少し話を聞いて!」

「我らの住処を奪った者の話など、聞く価値は無い、【灼熱の溶岩弾(レッドコメット)】!」


 無数の炎弾が私に向けて降り注ぐ。


「熱っ!」


 たまらず再びカルデラ湖へ避難。

 全弾直撃は避けたが、かなりの熱さを感じる。『熱感知』の範囲を逸脱しているはずなのに、無効化できていない!

 これもう気のせいじゃない! コイツの攻撃は私にダメージを与える!


 降らせた炎の弾数も多かったためか、周囲を火の海にされている。

 ただ、地面に落ちた炎については全く熱さを感じない。どうやら発動した瞬間のみ私にも効果があるようだ。


「水の中に避難したと言っても、その水を沸騰させてしまえばひとたまりもあるまい」


 沸騰しても全くダメージは無いけど、水が干上がるほどの炎を浴びせかけられたらヤバイな……


「最後のチャンスだぞ? ここから去れ、そして二度と来ないと誓約しろ」

「残念だけど、こっちも引けない事情があるのよ!」


 水から上がりながらしゃべる。

 これだけの火を吐く生物だから、水とか氷とか冷たいものには極端に弱いはず。


「じゃあ、今度はこっちから仕掛けさせてもらうわ! 【超限定的集中豪雨トレンティアル・レイン・レーザー】」


 レッドドラゴンの真上、しかも交戦中のレッドドラゴンのいる範囲だけに限定して、集中豪雨を降らせた。


「グアアァァァアアァ!!」


 上空からレーザーのような雨柱がレッドドラゴンを襲う!


「「フレアハルト様!!」」


 お付きのドラゴン二体が声を上げた。


「グアアァァァアアァ!!」


 ただの雨柱ではない、集中豪雨を極小範囲に限定して降らせたものだ。それだけの大量の水で上から押さえつけられたら動くことはおろか立っていることすらできはしないだろう。

 分類上は雨とは言え、これだけ範囲を限定すればバカにできない水圧がかかる。

 水圧によりレッドドラゴンが地面に沈み込んでいく。ドラゴンほど強靭な肉体でなければ圧し潰されて圧死しているかもしれない。


 一分ほどの超集中豪雨を終えると、疲弊し切ったレッドドラゴンの姿があった。


「くっ……貴様……我を本気で怒らせたな!!」


 あ、何かヤバイ、ブチギレてる感じが伝わって来た……


 口に高エネルギーが集中しているのがわかる。あのまま吐かれるとどこかしら消し飛んでしまうかもしれない。

 いや、それだけじゃない。もし本当に属性Lvに10以上があるなら私自身も消し飛んでしまうかもしれない。


「ヤバイヤバイ! 早く火耐性魔法を! 火属性無効! いや火属性吸収の方が良いか!」


 あと魔法防御魔法!


「魔法防御障壁 (極大)」


 あと反射魔法(マジック・リフレクト)で上へ反射を!……ああ……もしこれより相手の能力の方が強ければ反射できずに消されてしまうかもしれない!


「死ね!!」


 エネルギーが充填されて、レッドドラゴンの口が白く輝く。


「【インフェルノ・ブレス】!」


 超高温の炎が照射される!

 ええい、炎には炎だ! 反射魔法(マジック・リフレクト)を使おうと溜めた魔力をそのまま攻撃魔法へ転じる。 


「【灼熱照射砲(フレアレーザー)】」


 高密度の水魔法を使うと爆発すると瞬時に判断し、向かってくる炎のレーザーに似たような魔法をぶつけ、斜め上空へと押し出した。


「あちちち!!」


 危なかった……あれがどこか大地に落ちていたら大爆発が起こってた。大穴が開いてたかも。

 私の火属性Lv10の魔法で、レッドドラゴンの (多分)火属性Lv10+αに対抗できて良かった……魔力自体は私の方が強かったみたいだ。


「う……な……何なのだ貴様……その小さい身体でドラゴン相手にこの立ち回り……しかも我より強いブレスを……」

「私はまだ十分余力を残してるけど、あなたはどうかしら?」


 正直言うと結構しんどい……身体のあちこちが熱を持ってヒリヒリする。明確に火傷してる場所もある。指先が少し焦げた。早く治療しないと血が回らなくなって腐るかも……

 しかし、あっちはあっちで強力な水魔法と火魔法を立て続けに喰らってるから、かなり疲弊してるはずだ……

 火が効いているかどうかは分からないが……


 これ以上戦うのを避けるために、『私はあなたより強いのよ。これ以上やってもより傷が大きくなるのはあんたの方よ?』みたいな態度で接してみたが、さて……これで聞く耳を持ってくれれば良いのだけど……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ