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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第2章 トロル集落の生活改善編
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第38話 水中捜索

「さて各々水着も着れたと思うので、川の中の捜索を始めます。私が空から見た限りにはそれほど大きい水棲生物もいないようだし、危険は低そうだけど、水の中の捜索なので十分注意してください」


「「「はい!」」」


「パーティー分けをします。昨日私と捜索に行ってもらった人はある程度わかっていると思うのでバラバラに散ってもらいます。イチトスとメリル、ルークとエルフィーレ、クリスティンとナナトス、メイフィーはミリアン、リザと三人で組んでください」


 今回は二人一組が三パーティーと三人一組が一パーティー、そして私単独の五つのパーティーで捜索を行う。


「じゃあ、ヨントスらしき石像を見つけたらこれを使って教えて」

「昨日使った狼煙(のろし)ですね!」


 ちょっと得意げなメイフィー。

 昨日と同様九人に緑色の狼煙(のろし)を渡した。


「それと危険があった時のためにこれを」


 同様に赤色の煙の出る狼煙(のろし)と閃光玉、転送玉を渡す。


「あれ? 転送玉は昨日使い切ってしまったのでは?」


 昨日参加のルークから質問が飛んでくる。


「新しく作った」

「ヒトを瞬間移動させるってかなり高度な魔法なんじゃないんですか? それを昨日の今日でですか?」

「まあ、私については、突然都合の良いアイテムが出てきても理屈抜きで『そういうものだ』って理解・解釈してもらえると助かる」

「はぁ……」

「それで、これらのアイテムはどうやって使うんですか?」


 今度は新メンバーのリザからの質問。

 その質問来ると思ったから、昨日のメンバーをバラけさせたのよね。


「各種狼煙(のろし)については、昨日捜索に参加してくれた四人が使い方を知っているので各々聞いてください。ただ……転送玉だけは命に関わる場面での使用が想定されるので、ここで実演します」


 というわけで再度転送玉の使い方を教えた。

 全員が「おお!?」という声を上げ驚く。昨日の四人は一度見てるはずなんだけどな……多分物珍しいというやつなんだろう。


「じゃあ、昨日同様二人一組、または三人一組でお願い。捜索の際は全員同時に水に入ると危険があった場合に対処が遅れるので、二人同時・三人同時には入らないように一人は川岸で待機、交代交代に水中捜索をして。溺れた時用に一応これもみんなに渡しておくよ」


 四パーティーそれぞれにロープと浮き輪を渡した。


「この紐は何なのかわかりますが、こっちの丸くて穴が開いてるのは何ですか?」

「空気が入ってパンパンですね!」

「浮き輪っていう道具でね、水に浮くようにできてる。私の住んでたところでは救助に使ってたの。相手が溺れそうになったらそれにロープを括り付けて投げてあげて」

「用意が良いですね」

「まあ『そういうもの』と考えて」


 さて、ようやく川底の捜索が開始された。

 各パーティー五百メートル間隔くらいで捜索してもらう。

 人間界のように人の手が入ってないからかなり澄んでいるけど、川が木々の間を抜けるように流れているためか、落葉が多くて上空からでは底まではよくわからない。

 必然的に潜って捜索しなければならない。

 私は他パーティーよりも下流を探すことにする。


 ザパーン


 水深は三メートルくらいかな。

 澄んでいてよく見える。これなら川底に沈んでいるならすぐ見つかるかもしれない。


 う~ん……大き目の石はあるけど人みたいな形ではないなぁ……


   ◇


 およそ四時間後――


 ザパーン


「はぁ……はぁ……」


 全く見当たらない……

 もうかなりの時間探している。それなのにそれらしい石は見つからない……

 川が長すぎる……捜索範囲が広過ぎる……これは全域を捜索するにしても数日かかってしまうかもしれない……それで見つけられれば良いのだけど、そうじゃなかった時は……他の六兄弟には気の毒かもしれない。

 もしかして、石化せずにどこか別のところで暮らしてるとか?


「川全体を一瞬で判断できれば良いんだけど……」


 辺りを見回すと小さめの岩山がある。よく見るとその中に洞窟が見えた。


「………………あの洞窟、もしかしたらあの生物が棲んでるかもしれない……」


 ちょっと思いついたことがある。やってみるか。

 ただ……思い付いたことを実行するには、とあるスキルが欲しい。

 見つけた洞窟に入る。


「ここに居れば良いんだけど……」


 目的は洞窟にいる可能性が高いコウモリみたいな生態の生物を探すためだ。

 洞窟に入ってみると暗闇に沢山の丸い光が見えた。

 思った通りコウモリみたいなやつがいる。丸い光は光が瞳に反射してそう見えてるらしい。

 近付いてみて、少々たじろいだ。


「……うわ……人間界のやつよりでかいな……あんまり可愛くない……。ジャイアントバットってやつかしら? 巨大化すると可愛くなくなるのか? コツメカワウソは可愛いけど、オオカワウソは可愛くないみたいな」


 警戒しているのか、攻撃めいたことをしてきたから軽く振り払った。

 まあ狂犬病的なの持っててもこの身体には効かないし、それよりもまず牙が刺さらないから噛まれる心配も無い。

 さっさと目的を達成して捜索に戻ろう。

 見つけたジャイアントバットの一匹に【スキルドレイン】をかけて、とあるスキルを会得する。

 その目的のスキルは――


 【エコーロケーション】


 この能力は、超音波を発し、それが何かにぶつかって返って来た反響音を受信し、物体の大きさや距離、方向などを知ることができる。

 主にコウモリやイルカ、クジラなどが使う能力。

 この能力を川底で使って超音波でヨントスの石像を探し出そうって寸法だ。


 さっそく川に戻って水中で【エコーロケーション】を発動した。


 ……

 …………

 ………………


 超音波が乱反射して返ってくる。


 おお……これが反響音で物体を把握するってことなのか……

 能力を得るまではこんな感覚を味わったことがなかったが、川の地形、沈殿物の形、泳いでる魚の形まではっきりわかる。


 あった! ここからかなり離れたところに人の形をした大きい石がある。多分これがヨントスだ!


 すぐに反応があった場所に行ってみる。


「あ~、いたいた、こんなに流されてたのか。三人を発見したのと同じ場所で石化されたんなら、一体何ヶ月かけてここまで来たのかしら?」


 三人が石化していた場所から五キロほど下流に居た。川底のヨントスを引き上げ……ようと思ったが、思いのほか泥の中に埋まってるらしく、筋力強化魔法を使ってもこの不安定な足場では持ち上げられなかった。しかも水中ときている。

 先に全員をここに集めて、ロープで縛って引き上げるか。


 『発見』の緑色と『集合』の青色の狼煙(のろし)を同時に打ち上げる。

 これで少ししたらみんなここに集合してくるでしょ。

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