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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第14章 アルトラルサンズ本格始動編
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第381話 来訪者急増!

 七大国会談、その後に行われた臨時会談に参加したことにより、この地がアルトラルサンズという国に昇格を果たし、国家に類する権限を与えられてから数ヶ月の月日が流れた。


 先日、町から三十キロ地点に即席で作った第二壁も、現在では建築部門の手により着々ときちんとした街壁として作り変えられている。

 これまでは隊商がアルトレリアに来たことなど無かったが、各国が大使館建設予定地を視察に来て一週間ほど経った頃にフレデリックさんが訪れ、一週間ほど滞在の後アルトレリアを発った。


 その際、彼らの隊商はアルトレリアでも物品を購入していってくれた。

 曰く、『作物が元気で質が良い、樹の国にも勝るとも劣らない』とか、『金属製品、陶器その他のものの質も良い』とか『料理も閉じた歴史がある割にはかなりレベルが高い』など、大いに褒める言葉を残してくれた。これらのこともドワーフの方々や町のみんなの尽力に依るものだ。特にモノづくりに関してはドワーフの技術で一気に底上げされたのは間違いない。

 物品の購入金額については、イェン通貨の価値が定まっていないので『“フレデリック商隊側からの”言い値で』購入してもらうように、アルトレリア内にある各店舗にお触れを出した。そうしておけば双方損は無いと考えたため。

 ただ、これについてはもう少しイェンの価値が上がってきたら、値段を確定させるように再指導する予定。


 誉め言葉が多かった一方で、『町中の文字が何と書いてあるのか分からない』とか『交通の利便性が悪い』とも言われた。

 確かに、文字の無かったこの地に広めたのは日本語。私が読みやすいように広めたものなので、魔界文字も併記しておく必要が出て来たかも。

 交通の利便性についても、現状では公共の乗り物がまだ無い。バスのようなシステムを作れたらと思うんだけど、まだそこには至っていない。

 町も徐々に広がっていくだろうから、乗り合いバス……まだ自動車ではないから乗り合い馬車のようなシステムも考えなければならない。


   ◆


 フレデリック商隊がアルトレリアを発って一週間後、それを皮切りに、各国からの隊商がぽつぽつとアルトレリアを訪れるようになってきた。

 隊商もまばらながら続々とこの地を交通するようになり、第一壁と第二壁の内側にまだ建物があまり無く平地であることから、しばらくの間は外国から来る隊商の馬車の停泊地になりそうだ。


   ◇


 と、考えていた二週間前を随分昔のことのように思える。


 フレデリック商隊が発って二週間経った現在――

 第一壁の外側にキャンプを張って各国の商人たちが商売や情報交換をするまでになり、来訪人数が激増した。

 大使館建設予定地周りは安全を確保しておかねばならないため、隊商が停泊できる場所に制限を設けた。

 馬車停泊可能域内に馬車を置いてあれば、第一壁内部へは徒歩で出入りできるようになっている。


「カ、カイベル、な、何だかここ数日の間に来訪する隊商が急に増えてない?」

「各国、大使館建設予定地を視察に来てから競うように中立地帯へ来るようになりましたね。各国で正式な解禁が行われたためと思われます。それとフレデリック様による各地での喧伝(けんでん)なども影響しているでしょう」

「第二壁の東西南の門に検問所置かないといけなくなってきたかもしれないね」


 危ないものを持ち込まれたり、悪いヤツが入って来られると堪らない。

 これは早いとこ門衛を選出して、配備しておかないと。

 ただ、どれが危険なものか、どれが安全なものかなんて、それを調べるノウハウが無いからここからそれを育成するのがまた大変だ。

 今まで訪れた国で地球で言うところの『探知犬』みたいな動物は見たことないけど、ああいうのも導入した方がより安全に運営できるかもしれない。


「それにしても、こうやって見渡してみると馬ばかりね」

「馬型の生物は力があって、速度もあり、それなりに従順で扱いやすいですから」


 確かに、力だけなら牛型の生物とか、ドラゴンとか、他にも手はありそうだけど、性格的なところとか扱いやすさ、機動力まで考慮するならやっぱり馬型の生物が良いのかな?

 肉食獣だと下手したら自分が食べられかねないし。

 その点では、アクアリヴィアのスカイドラゴン便やシードラゴン便は上手くやっていると思う。 (第248話から第249話参照)


 各国の馬車を引いている馬を見ると、おおよそどこから来たか私にも分かるようになってきた。

 水の国(アクアリヴィア)の隊商はケルピーという馬魚が陸地モードになっているため、その名残なのか変身が不完全なのか、鱗が仕舞い切れていない馬がいる。鱗が見えればその馬はケルピーの陸地モードである可能性が高い。ちなみにこの肉は以前アクアリヴィアで食べたことがある。 (第87話参照)

 ケルピーの他にも判断基準があって、馬車に乗っている者たちの中に耳が魚のヒレのようになっている半魚人(サハギン)が大抵一人くらい混ざっているからその二つの要素が揃っていればその隊商は十中八九アクアリヴィア出身。


 雷の国(エレアースモ)の隊商は雷馬イクシオンの帯電性質を交配によってかなり弱めた種らしく、タテガミが逆立って少ないながら帯電していることが多く、旅をしている間に周囲の電気を集めてしまうらしい。そのため停泊時は他人の迷惑にならないよう金属などの導体を噛ませて放電しないといけない。エレアースモに初めて行った時に乗った馬車も実はこの帯電性質を弱めたイクシオンだったらしい。 (第123話参照)


 風の国(ストムゼブブ)の隊商はエアホースという風を(まと)う馬で馬車を引く。私が樹の国で乗せてもらった天馬車を引いてくれた馬と同じ種類。 (第360話参照)

 別名ペガサスと言って、地球ではこちらの名称の方が有名。

 本来ペガサスはストムゼブブが原産国なので、ストムゼブブから来た隊商が連れていることが多い。

 この馬は地上を歩いている間は足首辺りに風を(まと)っていて、それが目でも視認できる。足首辺りに風のリングが渦巻いているのだ。ペガサスという名の通り空を飛ぶこともでき、足首に(まと)った風の魔力を背中に移して翼を具現化させて飛翔する。

 なお、馬車を引いている間は空を飛ばないようにしてある。馬車を引いたまま空を飛ばれると、それに引っ張られて馬車を破壊されてしまうかららしい。ちなみに飛行用の馬車もある。私も樹の国で乗せてもらったが、樹の国由来の紋章技術で作られているらしく、一般庶民が購入しようとすると値段がかなりお高いとか。十倍、二十倍は軽くするとのこと。下手すると家買うより高い。簡単に壊れないものを買おうとすると豪邸が建つほどの金額とか。


 土の国(ヒュプノベルフェ)の隊商はアーマーホースと呼ばれる馬で馬車を引く。頭の額から頭頂部分、上半身の胸部、肩部、前脚・後ろ脚の側面、下半身の腰部(ようぶ)から臀部(でんぶ)のしっぽ辺りまでの部分がダイヤモンド硬質の細胞で構成されている馬。体内で炭素を多く生産し、年を経るごとにそれらの部分に堆積して硬質化していくらしい。そのため長く生きた馬ほどその該当部分は硬い皮膚をしており、老衰で死んだ馬の該当部分はコレクター品や防具への加工品として高値で取引される。ただ、該当部分は硬いのとは対照的に腹部などは柔らかく、かなり脆い。

 昔は騎乗するために背中に鞍をかけるのが難しかったそうだ。現在はそれに対応した鞍が作られるようになり問題無く騎乗できるようになっている。

 他の馬種と比べてもかなり大人しい性格で、外敵に襲われた時などは身をくるめて硬質化した部分で身を守ることから『鎧馬(アーマーホース)』と名付けられたとか。


 というようなことをここ数日で色んな隊商に話を聞いて知った。

 樹の国(ユグドマンモン)の隊商はバイコーンという、二本のツノを持った馬を連れているが、これは以前フレデリックさんが訪れた時に語ったので割愛。 (第374話参照)

 火の国や氷の国にも特徴を持った馬がいるらしい。現在この二ヵ国とは国交を結んでいないため、ここにもその隊商がいないが、いずれお目にかかりたいものだ。

 魔界には馬の種類が多いようです。

 ちなみにアルトレリア産の馬はスレイプル(六脚馬)。


 タイトル変更、今回からと思いましたが、明後日に当小説を執筆し始めてから丸二年になるので、三年目突入を契機に変更しようと思いますので、よろしくお願いします。


 次回は7月21日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第382話【妖精の重要性と寝耳に水の報せ】

 次話は明日投稿予定です。

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