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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第14章 アルトラルサンズ本格始動編
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第366話 亜空間収納ポケット内の整理

 今日は快晴!

 こんな日は、前々から思ってたアレを実行するか。

 亜空間収納ポケット内の整理を!


 というわけで、我が家の前に中身を全部ぶちまけるべく、亜空間収納ポケットを開く。


「こんにちは。アルトラ様、外で何かやってるなんて珍しいですね。何やってるんですか?」

「こんにちは、メイフィー……ハッ! あなたがここへ来たということは……また畑関係?」

「いえ、今日は特に用事は無いですよ。たまに散歩で訪れて、ケルベロスをひと撫でして帰るんです。それで、何やってるんですか?」

「亜空間収納ポケットに何が入ってたかなと思って、確認のために中のものを全部出してるんだけど……肉だけでも赤い狼(ガルム)八頭、一つ目牛(カトブレパス)肉四分の一頭分ほど、雷馬(イクシオン)肉八分の一頭分ほど、デンキヒツジの肉四分の一頭分ほどか」

「な、何か随分乱雑に入ってますね。お肉多いですけど、これ、衛生的に大丈夫なんですか? このカトブレパスなんてもう一年近く前のですよね?」

「ああ、大丈夫大丈夫、亜空間収納ポケットの中は腐らないから。あとなぜか勝手に境界を引いてくれるから食べ物と別のものが並んでても液とか汁が付いたりとかはしない」

「へぇ~……何て便利な空間……」


 あっちに集めたのは、小麦粉、卵、牛乳、各種コーヒーの豆、調理道具、その他食べ物多数、野菜や菜っ葉類、根菜類、樹の国産のキノコ類、樹の国産の食べ物、砂糖、塩、味噌、醤油、油、ハンバームちゃん特製のタレやドレッシングなどの調味料、お米十キロってとこか。


「何だか料理できそうなラインナップですね」

「まあ、実際にカイベルに料理してもらったことがあるからね。これも非常食として入れてある」

「これは何ですか? 岩?」

「ああ、それは岩塩ね。削ると塩として利用できるからもしもの時のために入れてある」

「普通に塩も入ってるじゃないですか。こんな岩状態の塩って必要なんですか? そもそも空間転移できるなら食べ物があるところに移動すれば良いじゃないですか?」

「………………まあ非常食として……」


 食べ物はこんなとこか。

 これらは引き続きそのまま入れておくか。


「これは? 何だか投げたら亜人(ひと)殺せそうなくらい殺傷力高そうなボールがあるんですけど……金属質でトゲまで付いてますよ? 武器の類ですか? あ、こっちには透明なトゲボール」


 殺傷力高そうなボール? そんなの入れてたかな……


「ああ、それらは食べ物だよ」

「これが!? どうやって食べるんですか!?」

「透明な方は砂糖だよ。クリスタルシュガーって言ってね、樹の国のとある樹の樹液が結晶化してそういうトゲの付いた形になるらしい」

「へぇ~、綺麗ですね」

「簡単に折れるから端っこを食べてみたら? あ、凄く甘いから少量でね」


 端をポキッと折って食べると――


「甘っま~~! 砂糖よりよっぽど甘いですね! こっちの金属質の方は?」

「鬼栗って言う栗の一種らしくてね、その金属質のイガをこじ開けて中の栗を食べるのよ。ユグドマンモンでロクトスとナナトスが収穫してきたものなんだけど、私じゃ調理できないくらい硬いから放り込んだままになってたみたいね」

「こんなもの……誰が調理できるんですか……?」

「カイベルなら出来るんだけど、生憎今日は用事でどっか行ってるからね……」

「こんな硬そうなものを!? カイベルさんって人間じゃないんですか!? 私の知る限り (亡者含む)人間なんて、私たちトロルより非力な生き物ですよ? 私たちですらこじ開けられないこんなものを人間がこじ開けられるなんて……」


 うお! 珍しく核心突いた質問キタ!


「カ、カイベルに特殊技能でもあるんじゃない? 私には分からないけど……」

「今度それとなく聞いてみます」


 食器類を見て――


「お皿とか食器まで入ってるんですか!?」

「いつどこで誰をおもてなしするか分からないしね」


 雷の国の女王様(アスモ)樹の国の政務官(トリニアさん)をもてなしたのは何も無い平原や大森林内部だったし。


「これは……歯ブラシ? タオル? 櫛? アルトレリアで作られているものより上質ですね。刃が付いてるものもありますけどこれは何ですか?」

「ああ、それは安全カミソリかな。それらは私が作ったものね。身だしなみは大事だから」


 生前、そんなこと考える余裕無かったから、それなりの身だしなみだったけど……


「こっちは? 石鹸みたいなのがありますね。あとこちらも何だか良い匂いのする液体」

「シャンプーとコンディショナーとトリートメントかな。髪の毛洗う時にゴワゴワしなくて良いし、髪の毛のケアもできるしね」


 ちなみにトリートメントは、私自身、普通に生活するとダメージを受けない体質なので、髪の毛も同様にダメージを受けない。

 そのためあまり出番は無いのだが、たまに私の体質を無効化するフレアハルトのようなのがいるので、その時に使うことがある。


「えっ!? じゃあこれを町で生産したら良いじゃないですか! 貰って行って良いですか? 後で業者に掛け合って来ます!」

「え、あ、まあ、多分問題無いと思うけど……そんなに質が良いものじゃないよ?」


 私のフワッとしたイメージで作ったものだから、地球で商品として作られているものより数段劣ってるはず。


「これでも質が悪いんですか!? アルトラ様の基準で質が悪くても、この町にはまだ存在してませんから!」

「ま、まあそう言うなら持って行って」


 あれはただの歯ブラシとタオルと櫛とカミソリよね……? 石鹸とシャンプーとコンディショナーとトリートメントもただの石鹸とシャンプーとコンディショナーとトリートメントよね? 魔道具じゃなかったよね……?

 どちらも創成魔法で作ってるから、たまに境界線が分からなくなるわ……


「こっちは何ですか? 絵が描かれた紙に……石の箱?」

「あっ、その紙は他国のお金ね」

「こっちの石の箱は?」

「それはとあるところ (※)から譲り受けた金銀財宝と外国のお金」

「えっ!? こんなに!?」

「この町が非常時に陥った時の生命線の一つだから持って行っちゃダメよ?」

「アハハ、そんなことしませんて」

   (※とあるところ:レッドドラゴンの族長から燃える木のお礼に貰ったものと雷の国で疑似太陽を作った時に貰ったもの。第177話参照)


「こっちの毛は?」

「毛?」


 毛って何だっけ?

 メイフィーの手を見ると白い毛の束を持っていた。

 何だっけこれ? う~ん……ああ、羊毛か綿かどっちかかな。全部縫製所と布団屋に卸したと思ってたけど、少し残ってたのね。 (第198話から第199話参照)


「それは多分羊毛か綿のどっちかだね。それだけ少量だと特に使い道は無いから捨てておこうかな」

「じゃあ貰っても良いですか?」

「良いけど、何に使うの? 片手の手袋にするにも足りないくらいの量だと思うけど……」

「最近二角ウサギデュアルホーンラビット飼い始めたんですけど、その子の寝床にちょうど良いかなって」


 おお! ペット的な要素が形成され始めたか!

 それ以前でも、六脚馬(スレイプル)を馬車用に飼ってたりする亜人(ひと)がいるから、自分たちでも動物を飼ってみようって亜人(ひと)たちが現れたのかな?


「何かよく分からない丸いモノがありますけど、何ですかコレ?」

「ああ、それは毒消しのカプセルだね。飲むと特定の毒を無効化できる」


 デスキラービー騒動の時にフリアマギアさんから貰った一錠のカプセル、飲んだ時点からデスキラービーの毒を約十五分ほど無効化できるらしい。

 私は使わなかったから収納ポケットの中に放り込んでおいたんだった。


「ふ~ん……」


 メイフィーは興味は無さそうね。

 まあ解毒剤なんて興味が無いのが普通か。


「これは? 瓶みたいですけど、中には何も入ってませんね。あ、張り紙がしてあります。『バクテリア』? 何ですかコレ?」

「それはアルトレリアの各家庭や各施設のトイレで使ってるバクテリアだね。汚物とトイレットペーパーだけを食べるように改良して出来た奇跡的な産物だから瓶に入れて保管してるの。今休眠状態だから絶対に開けないで」 (第8話から第9話参照)

「トイレに使うものなんですか!? どうやって使われてるんですか?」

「使い方は便器に入れておくだけよ。それだけで汚物とトイレットペーパーだけを分解してくれる」

「へぇ~、何で用を足した時にアレ(・・)が消えるのかと思ってましたけど、そんな仕組みだったんですね」


 アルトレリア以外でも使えるところはあるし、携帯しておくと結構便利ではある。実際ユグドの大森林でも役に立ったしね。 (第310話参照)


「わっ!」

「どうかした?」

「何だか手足がある大根みたいなのが飛び出してきましたけど……」


 はぁ? そんなもの入れた覚えないが……鬼栗と違って、全く身に覚えも無い。


「アルトラ様の家の近くにある花壇の方に歩いて行きましたよ?」

「歩いて!? 大根が歩くの!?」


 急いで見に行ってみると、確かに歩く大根がいる。

 そして、我が家の前にあるカイベルがお世話してる花壇に埋まった。


「何ですかアレ?」

「………………あれって……マンドレイク!? 何で収納ポケットの中に居たの!? いつから中に!?」


 もう樹の国から帰って来てから数日経ってる。ずっと亜空間収納ポケットの中に居たってことか?

 あの中ってずっと居ても生きてられるんだ……いや、もしかしたら植物だったから大丈夫だったってだけかもしれないが。

 亜空間収納ポケットの魔法は頻繁に使うから、いつ中に入ったか分からないがどうやら意図せずに大森林から連れて来てしまったらしい。

 連れて来た記憶は全く無い。それどころかナナトスに連れて帰るのをやめさせたくらいだし……


「歩く大根なんて珍しいですね! 掘り出して食べても良いですか?」

「ダ、ダメ! あれには毒があるから!」

「それは残念です……」


 トロル族に毒が効かないということを知っている人物は、アルトレリアでは私とロクトスとナナトスだけ。メイフィーにはまだ知られていないからこの言い訳が立ったが……

 誤魔化すようには言い訳したが、一応毒はある。『魅了毒』ってのが。多分トロル族には通じないんだろうけど、万が一通じるものだった場合に対処に困りそうだから黙っておくことにする。

 まあトリニアさん曰く、きちんとした手順を踏まないと惚れ薬にはならないって話だけど。


「あ、あれの対処は後で私がしておくから」

「わかりました……」


 庭に埋まったところを見ると、しばらくは動かないだろう。

 一応どっか行かれても大丈夫なように魔力マーキングだけして、後でカイベルに相談しよう。

 その後、興味深げにマンドレイクの方をチラチラ見るメイフィー。農林部トップだから食べられないのが悔しいのかもしれない。


「さて、荷物整理の続き続き」

「何だか料理がそのままありますけど……ハンバーグ定食とオレンジジュースが五セットくらい」

「それはフレアハルトが故郷へお土産として持って行く時に荷物持ちにされたんだけど、その時に事情があって食べられなかったやつだね」 (第281話から第284話参照)

「まだほっかほかですけど……フレハルさんが故郷へ帰ったのって確か二月の頭くらいでしたよね? 三ヶ月近くも前のものなのにまだほっかほかって……ホントこの亜空間って謎の空間ですよね」

「食べられるから持って帰っても良いよ? 本人曰く、食べちゃって良いらしいから。それにハンバームちゃん製だから美味しいし」

「じゃあ姉弟の分だけ貰って行きます」

「あ! 潤いの木の実もあるじゃないですか!」

「それは贈答用だからダメ」

「残念です……」


 ハンバーグ定食とオレンジジュースは、確か五セットくらいあったから、メイフィーが姉弟分持って行くとなるとあと残り二セットくらいか。じゃあ後は私とリディアで食べちゃおうかな。

 ちなみに潤いの木の実は常に五つが収納ポケット内にあるように融通してもらってる。


「こっちの焼肉とご飯と、あと煮物ですかね? これは何で皿にすら乗ってないんですか? どういうことですか?」

「ああ、それは多分お昼にカイベルが食……おっと……」


 あぶねー、『お昼にカイベルが食べたもの』って言いかけた!

 彼女の口の中は亜空間収納ポケットと繋げてあるから、今日お昼で食べたものがここにあるんだろう。どこかの家へ何かの手伝いに行ってくるって言ってたから、多分そこでお礼か何かで出されたものだろう。起床前に朧気(おぼろげ)に聞いてたから、どこかに行くとは言ってたが記憶に無い。

 ちなみに、彼女は何かと相談を受けていて、今ではこの町のアドバイザーみたいなポジションになっているので、最近リディアがいない日中には家にいないことも増えた。


「カイベルさんがどうしたんですか?」

「カイベルが作ってくれたお昼ご飯の残りかな」


 って、誤魔化しておく。


「アルトラ様が残したんですか? 珍しいですね」

「うん、ちょっとお腹の調子が悪くてね」


 上手い言い訳が思いつかないから、そういうことにしておく。


「えっ!? 大丈夫ですか!? 今までそんなこと言ったことなかったじゃないですか!!」

「ああ、うん、大丈夫! 問題無い問題無い!」


 この身体に転生して以来、調子悪いことなんて無かったから、少しのことでも心配されてしまったわ……

 改めて並べてみると、結構色んな物が入ってたんですね……

 こうやって、たまに整理してみると面白い。


 次回は6月17日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第367話【『沢山集めるくん』の盲点】

 次回は明日投稿予定です。

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