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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第14章 アルトラルサンズ本格始動編

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第365話 お金についての説明と紋章術師のお迎え

 その夜――


 アルトレリアに、リースとルルヤの姿があった。


「あれ? あなたたちこんなとこで何してるの?」

「労働後、フレアハルト様の行きつけのインショクテン?とか言うところに連れて行ってもらって、今から火山へ帰るところです」

「美味しかったよ~! 火山の外にはこんなものが溢れてるんですね~」

「じゃあ、お金の効力が分かったかしら?」

「お金? お給金のことだっけ? 効力って何?」

「フレアハルトがお金支払ったでしょ?」

「食べ放題じゃないんですか?」

「そんなわけないでしょ! 引き換えに物を貰うって昼間説明したじゃない!」


 ああ……フレハルのやつ、お金払うところは見せなかったのね……

 この子らは食べる文化が無い場所出身だから、タダで食べられたとでも思ってるのかしら?


「フレアハルト様ほどのお方がごひいきにしてるくらいですから、あの料理作ってる亜人や給仕の亜人はフレアハルト様の下僕なのかと思ってました」

「食べる物もあの亜人たちがわざわざフレアハルト様のために調達したものなのかと……」


 しかもハンバームちゃんのことを下僕と勘違いしてた!


「あ、あの子はあの店の店主で、フレアハルトも尊敬してやまない料理人よ!」


「「え!? ホントですか!?」」


「亜人を!? 王子が尊敬してるんですか!?」

「ルルヤは、てっきりルルヤたちに食べられることがないように必死に給仕してるのかと思ってた……」


 彼女らの中では亜人は支配の対象だったからか……


「でも今は亜人を隷属させてないよね?」

「まあそうですけど……それは私たちがあの火山内にいる限り食べる必要が無いからで、フレアハルト様は火山の外にいるため亜人を下僕にして食べ物を貢がせてるのかと……」

「フレアハルトだって昼間労働してたのに?」

「楽しそうに動いてらしたので王子が趣味や余興でやっているのかと思ってました。笑顔の王子なんて火山内部ではあまり見たことがありませんから」


 確かに……会ってすぐの時は随分険しい顔してたっけな。私も毛嫌いされてるくらいの剣幕で怒りを向けられたし。


「この際だからあなたたちにちゃんと言っておく、今回はフレアハルトがあなたたちの飲み食いした分のお金を払ってくれたの。だから飲食店に入って、『食べ物出せ』って言ってもお金が無ければ食べることはできないってことなの」

「そういうことだったんですか……私たちの分はフレアハルト様が払ってくれてたんですね……」

「何をするにも『お金』というものが必要なんですね……」

「そういうこと! そこんところは勘違いしないようにしてもらいたい。あとあなたたちも亜人を大分下に見てるみたいだけど、この町で暴れるのは禁止だからね。暴れた時には私が制裁するからそのつもりで」


「「は、はいぃ……」」


 私が『フレアハルトより強い』ということはちゃんと伝わってるらしいから、このセリフだけで行動を制することができて楽だ。

 ホントは『暴れた時に被害が酷かったら五体満足で帰れると思わない方が良い』何てちょっと脅かそうとも考えたが、いたずらに恐怖を煽りそうだからやめておいた。


「じゃあ、工事のお手伝いありがとうね。今後も期待してるわ。おやすみ」


 後でアリサに聞いたところによると。建設現場でフレアハルトに指令が下る時、二人ともローレンスさんを随分険しい顔で睨みつけていたらしい。

 それもまあ放っておけば徐々に緩和されていくでしょう。


   ◇


 三日後――


 ユグドマンモンで、トライアさんが紋章術師を貸してくれるという日が来たため、ゲートでユグドグランへ。


「こんにちは、アルトラ様」


 トライアさんは魔王代理業務ということで、今回もトリニアさんが対応してくれた。


「紋章術を使える者を三人用意しました。一人は既に顔見知りだと思います」

「アルトラ殿、一人は私です! よろしくお願いします!」


 あ、デスキラービー騒動で第六部隊の隊長やってたフリアマギアさんだ。

 この亜人(ひと)ちょっと苦手なのよね。『不思議な身体ですね。後で調べさせてもらえませんか?』って言われた時からちょっと警戒している。 (第340話参照)


「アルトレリアに行ってほしいと人員を募った時に、どうしても自分が行きたいと名乗り出たものですから」


 ということは、少なからず私の身体が目当てってことか?


「私の身体は調べさせませんけど、来てもらえるんですか?」

「OKOK! 勝手に観察するんで大丈夫ですよ!」


 そういうのが嫌なんですよ!

 しかし、隊長までやってたくらいだから有能なのは間違いない。


「樹の国側は大丈夫なんですか? 駆除作戦の時、隊長担ってたくらいなんですから、彼女有能なんですよね?」

「まあ、隊長と言っても駆除作戦のために臨時で組まれた部隊ですからね。デスキラービーの生態にも詳しかったために組み込まれただけでそれほどの武力があるわけではありませんでしたから」

「いや武力だってそれなりですよ私は!」

「今回の騒動についてはイレギュラーなことが多く、彼女の知識も役に立たない部分がありました。しかし結果的には彼女の機転で、相手の能力を逆手に取って勝利できたので有能ではあります。出来ることなら末永くアルトレリアとの関係を続けたいと思い彼女に行ってもらう判断を下しました。彼女には及ばないながらもそこを埋められる技術者もいますから、こちらのご心配には及びません」

「私そこそこ優秀ですから、借りてみて損は無いと思いますよ? もしアルトレリアに紋章術の素養がある者がいれば伝授もやぶさかではないですし」

「ホントですか!?」


 それは良い! 現状、アルトレリアでゴーレム作れるのなんて私くらいしかいないし、重機の役割に相当するゴーレムを作れる者が増えるのは町の未来を見越しても有益!


「で、ではお願いします!」


 残り二人は――


「クリストと申します! フリアマギアの部下として同行させていただきます!」

「同じくパトリックと申します!」

「クリストさん、パトリックさん、よろしくお願いします!」


 その後、ダム建設現場に行って、作業員に三人を紹介。

 早速、紋章術でゴーレムを作り出して作業に加わってもらった。



   ◇



 後日――

 リースとルルヤの初の給料日。


「それで……アルトラ様、火山へお金を持って帰れないならどうすれば……?」

「銀行に預けておくことになるかな。まあ通帳とかもあるから、誰かに預けないといけないね。通帳も火山へ持って帰ったら燃えちゃうしね」

「銀行? 通帳?」


 ルルヤが混乱している。


「アルトラ様……あの……その……銀行って何ですか?」


 まあ、そこからだよね~……

 簡単に銀行の仕組みをリースに説明する。


「亜人の世界には銀行というものがあるんですね。お金預かってもらうにも、通帳というものが必要と……」

「何かややこしいなぁ……そうだ! どこかに穴掘って埋めておいた方が分かりやすいかも!」

「いやぁ……私なら土にまみれたお金は受け取りたくないなぁ……それに雨が降ったりすると濡れてぐちゃぐちゃになっちゃうよ? ちなみに先に言っておくと、あまりにも汚れてたり、破損してたりするお金はお店で使えないからね」

「ううぅ……じゃあ土の中はダメなんですね……」


 初めて銀行口座を作る彼女らからすると、かなりややこしいことに感じるらしい。


「なんならアリサに管理を頼んでおいたら良いんじゃない?」

「え!? アリサ様にですか!? そ、そんな畏れ多いこと頼めません!」

「じゃあ、私が預かろうか? うちに管理のエキスパートがいるから」


 数字関係はカイベルが強い。


「良いんですか!? 是非お願いします!」

「ルルヤのもお願いします!」


 あれ~? 力関係で言えば私>アリサなんだけど、そこは問題にはしないのかしら?

 まあいっか。


 この後口座を開設、管理はカイベルに任せることになった。彼女なら不正に流用するとかそういうことはあり得ないから安心して任せられる。

 お金を使いたい時にはカイベルから通帳を受け取ってお金を下ろすという流れになる。ちなみに印鑑証明は拇印。

 彼女らが火山から離れて新たに拠点を持たない限りは、この仕組みは続くだろう。

 今回は始終ほぼお金の話でしたね(笑)

 また、新たにフリアマギア以下二名が加わりました。


 次回は6月15日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第366話【亜空間収納ポケット内の整理】

 次回は木曜日投稿予定です。

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