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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
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第362話 幻想生物動物園とピラミッドのトラップの話

 宿に帰った後の夕食時の食堂――


 ロクトスとナナトスに今日行った観光地の話を聞かされた。

 動物が沢山いるところへ連れて行ってくれたらしい。


「癒しの効果があるっていう動物を触って来たッスよ! 癒し鹿(ヒーリングディア)快癒兎(キュアラビット)一角獣(ユニコーン)ってのが居たッス!」

「ユニコーンが居たの!? それは会ってみたかった!」


 心の清い乙女のところにしか現れないって話だったけど、コイツら二人が会えてるってことは別に乙女じゃなくても、女ですらなくても会えるものなのね。この二人の話を聞いた限りでは、動物園のようなところに行ったみたいだから、飼われてるのかしら?


「超癒されて森歩きの疲れも大分取れたッスよ!」

「良いなぁ……私まだ疲れ取れてないわ……」


 体力的にはあまり疲れないから、主に気疲れの方が……王様に謁見しに行ったから気疲れポイントは更に増加……


「……ヒーリングディアならアルトレリア帰れば役所前に居るけど……」

「そういえば今役所前で飼ってるんだっけ」

「あと、アイツが居たッスよ、俺っちたちを石化させたカトブレパスってヤツ」 (第31話、第34話から第35話参照)

「えっ!? あんな危ないヤツが飼われてるの!? 飼育員は石化させられない?」

「……カトブレパスは頭が重くて上げられないって特徴があるらしい……客が観覧するところが目線より上に作られてて、相手からは見上げられないようになってたから大丈夫だったよ……」


 なるほど、相手の特性上頭があまり上がらないからそれより上に作ってあればお客さんに対しては安全なんだ。


「……あと万が一顔を上げてしまった時のために檻に魔眼無効の魔力が持続的に流れるようにしてあるらしい……」

「へぇ~、一体どんな人が飼育してるんだろう……」

「……担当者はソリッドノーム族って言うらしいけど……知ってる……?」


 ああ、デスキラービー討伐で隊長やってたベオバルツさんと同じ種族か。

 そういえば、この二人はずっと病室に居たから会ったことないんだっけ。


「確か、普通のノーム族と違って身体に石とか金属が混じった身体をしてるって聞いたよ」

「石に近い身体してるから石化の魔眼も効かないんスかね?」

「そうかもね」


 ノーム族繋がりで余談だけど、体内の水分が多いリキッドノームってのもいるらしい。

 それとソリッドノームの上位種にアイアンノームってのがいるらしいけど、滅多に魔界に顕現しない稀少な種族なんだとか。

 ちなみに四種族とも土の精霊種に属する。


「というか見られただけで石化するんじゃ、飼育できる人限られてくるよね? そのソリッドノームさんがお休みした場合どうするの?」

「……俺も疑問に思ったから近くに居た施設関係者に聞いた、ナナトスが……」


 自分で聞きはしないのね……初対面の亜人(ひと)相手にはまだまだ人見知りか……


「……野生のと違って、飼育されてるやつは慣れてくると石化の魔眼を使わなくなるらしい……」

「なるほど、じゃあ懐いてくれさえすれば誰が飼育員やっても良いわけか」


 懐かれるまでに石化喰らうかもしれんけど……


「他に変わった生物居た?」

「すっげぇ鼻が長くてでっかい生物が居たッスよ!」

「もしかしてゾウって名前じゃない?」

「……流石アルトラ様……」


 だって地球にも居るし……


「空飛ぶから上が開いた檻だと逃げちゃうんで檻がドーム状になってるんスよ! 羽が無いんスけど、どうやって飛ぶと思うッスか?」

「え!? ゾウが空飛ぶの!?」


 あれ~、私の知ってるゾウと違うな……

 あの巨体が飛ぶだなんて……


「実は耳で空飛ぶんスよ! 耳が翼の役割をしてるっていう珍しい動物らしいッス」

「へ、へぇ~、それは私が知ってるゾウとは違うわ」


 地球に居た頃に耳で空を飛ぶゾウの『ボンダ』ってアニメがあったけど、それはリアルにボンダみたいだわ。

 でも耳で空を飛ぶなんて、引きちぎれたりとかは大丈夫なんだろうか?


「鼻の長い生物ならもう一匹居たッスよ」

「もう一匹?」


 鼻が長いって他には思い浮かばないが……幻想生物かな?

 天狗とか? いや、あれはどちらかと言ったら亜人寄りな気がする。


「バクって言うんスけど。悪夢を食べる生物らしいッスよ」

「あ~、バクね。聞いたことあるわ」


 そういえば地球のバクと違って、幻想生物のバクは鼻が長いんだった。


「悪夢って美味しいんスかね……どちらかと言ったら幸せな夢の方が食べてて美味しいと思うんスけど」

「苦いものが好きなんじゃない? 悪夢が苦いかどうかは知らないけど」


 この後もグリフォンの話やら、マンティコアの話やら、氷の鳥の話やら、火を食べる鳥の話やら、闇を集めるネズミやらの話など、他にも様々な幻想生物の話を聞いたが、それは語る時が来た時にでも。


「ところで、昨日行ったピラミッドの私が行かなかったルートにあったトラップってどんなのがあったの?」

「……え~と……風で上空高くへ飛ばされて地面に叩きつけられるトラップ、風で切り刻まれるトラップ、風で壁の杭に串刺しになるトラップ……上空へ飛ばされるやつはピラミッドの外のちょっと外れたところに石が積まれた塚があった。多分空中から落下してきて潰れた獣人たちをそこに埋葬したんじゃないかって説明してくれた……」


 恐っ!!


「……切り刻まれるのと串刺しになるのはもうそのままの意味……切り刻まれる方は怪我で済むレベルじゃないとか……どのトラップも動くところは見せてくれたけど近寄れるようにはなってなかった……危ないからって理由で……」

「もう一個のルートは枯れた木があったッスね」

「枯れた木?」

「もう枯れてて死んでたみたいスけど、床と天井に根っこが張り巡らされてて、その木の周囲を歩くとその木が反応して、無数のトゲで獲物を串刺しにするらしいッス。それで滴った血を栄養分にするらしいッスよ。吸血樹(ヴァンパイア・ツリー)とか言われてたとか。獣人が串刺しになったらしき痕跡もあったッス」

「恐ぁ~……」

「ちなみに、森の中にあると気付かないうちにその範囲に侵入することがあって、物凄く危ない木ってことで大昔に絶滅させたらしいッスよ。今現在は樹の国にも存在しないそうッス」

「へぇ~」


 確かにこの森に生活する者たちにとっては、そんな木を残しておくメリットより、デメリットの方が多い気がする。


「あと、石化させるような部屋があったッスね。大分風化してたッスけどその部屋には犠牲になった獣人の石像が沢山あったッス。化石樹(フォッシル・ツリー)とかいう植物があって、吸うと体内から石化するっていうガスを発生させてるそうッス。でもその植物が何のためにそんなことするのか分からないらしいッス。これも今は絶滅してるみたいッスね」

「ふ~ん……聞いてる限り、全然神殿って感じじゃないわね……神殿と言うにはあまりにも死者が多過ぎる気がする……」


 神殿と言うよりは城塞とか砦の方が近い気がする。いやむしろ実験場みたいだ。

 でもメインは神を降して神託を得ることだったから、そう考えるとやっぱり神殿なのかな~?


   ◇


 食事を終え、入浴後――


「じゃあ、お土産でも見に行く?」


 ということで、旅館にあるお土産コーナーに来た。


「買ってくれるんスか?」

「まあ、あなたたちはツリン持ってないだろうから私が出すよ」


 付き合わせちゃったのも私だしね。


「何でも良いんスか?」


 まあ所詮お土産コーナーだし、物凄く高いってのは無いでしょ。


「良いよ」

「よっしゃ! じゃあ高いの買うッスよぉ~」


 私もカイベルとリディアに向けたお土産を選ぶ。

 まあ、ここら辺は毎回のようにあるエピソードなので割愛。


   ◇


 そして翌日、ユグドマンモンを発つ日。


「アルトラ様、疑似太陽の件、叶えていただきありがとうございました~」


 マモンさんが来られないため、魔王代理のトライアさんが挨拶に来てくれた。


「こちら今回の依頼料です、お納めください~」


 木で出来たケースを渡された。


「い、いくら入ってるんですか?」

「二億ツリンほどです~」

「にッ!? も、貰い過ぎじゃないですか!?」


 確かに『疑似太陽』の相場とかは考えてないけど、今までで最高額だ。


「しかし、あの疑似太陽を作れる方が魔界の歴史上出現したことがないので、もしかしたら二億でも足りないのではないかと」


 と、トリニアさん。


「それと、何か叶えられることがあれば仰っていただければと思いますが~」


 う~ん、街中に居たあのゴーレム、労働力としてちょっと欲しいなと思ってたのよね。


「じゃあ、紋章術師を少しの間貸していただけませんか? ちょうど建設事業のために重い物を運べたらなと思ってたところなんですよ」

「それでは少し日にちをいただけますか~? 三日後に迎えに来てください~」

「分かりました」

「アルトラ様、大森林からここまで随分長い間お付き合いいただきありがとうございました。道中わたくしの知らぬ色々な体験ができて楽しかったです」


 そして道中一緒だったトリニアさんが挨拶してくれた。


「こちらこそ、見たことない生物や植物ばかりだ楽しかったです」

「次は大使派遣の時にお会いしましょう~」

「はい」


 トライアさんと握手を交わす。

 そうだった……今後そんなイベントもあるんだっけ……


 この後、いつもの別れの時同様、創成魔法で作った宝石をトリニアさんに贈り、ゲートでこの地を後にした。

 ちなみにトリニアさんには琥珀を贈った。

 さて、去年の年末辺りから続いていた第13章ですが、本日のエピソードで終了です。

 本文でもトリニアさんが言ってますが、およそ半年、ここまで随分長い間お付き合いいただきありがとうございました。

 次回からは新章になります。新章は火の国の思惑が露わになるエピソードとなる予定です。お楽しみに(^^)


 ここまで追いかけて読んでくださってる方々、ブクマ、評価、いいね、感想をくれた方々、ありがとうございます(^^)

 よろしければ評価、いいね、感想、レビューなどしていただけると狂喜乱舞して喜びます(笑)


 次回は6月8日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第363話【発電施設の予定変更】

 次回は木曜日投稿予定です。

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