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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏

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第330話 連行されてしまった三人……

 一方、エルフとナナトスらに目を移すと、まだ尋問めいたことが続いている。


「…………理由は分からんが、この森は要人を歩かせられるほど安全なところではない。故にますます怪しく感じる……とりあえず縛り上げろ。拘束して町へ連れて行く。そっちの自称水の国の空間魔術師には、≪マジック・シール≫が解けても大丈夫なように、一応魔力封印の魔道具を付けておけよ」

「しかし、お連れが国主様となると、国際問題に発展したりしませんか?」

「そうかもしれんが、コイツらが嘘を言ってる可能性も否定できない」

「水の国の空間魔術師と言うと、女王の側近中の側近ですよ?」

「そうだ! だからこそ嘘臭い。何で女王の側近がこんなところに居るんだ? しかも樹の国の政務官と一緒に。もしもう一人の同行してた女がアルトラルサンズとかいう国の国主だと言うなら、要人だらけでこんな危険な森の中を歩いてたってことじゃないか」

「確かに……」

「それにアルトラルサンズなんて国は知らんぞ? 新興国か? 俺たちは武装の民ではないから用心するに越したことはない。もう二度と森賊を入れるわけにはいかないんだ!」


 アルトラルサンズの国主である私に、樹の国の政務官のトリニアさん、水の国の女王側近の空間魔術師のルイスさん……確かに要人だらけでこんな森の中を歩いてるのは変に思われるかもしれない。

 それにしても、過去に何かあったためにこれだけ用心深くなったってことなのかな?


「おい、緑のお前たち、お前たち二人はこの辺では見慣れないが何の種族なんだ?」

「俺っちたちッスか? アルトラ様からはトロル族って名付けられたッスけど」

「アルトラというのが国主の名前なのですか?」

「そうッス」

「体の色を見るにあなたたちはグリーントロルといったところでしょうか?」

「そ、そうだと思うッス。別種にレッドトロルもいるッスから」

「なるほど、我々もトロルという種族を知っていますが色以外の容姿は確かに似てますね。しかし、彼らはそんなに頭が良くなかったはずですが……別地域で随分進化したんですね。…………それにしても……アルトラ? どこかで聞いたような……」


 へぇ~、トロルって別のところにもいるんだ。


「ああ、それなら、アルトラ様が頭を良くし――」


 ああ~~!! それは言ったらマズい!! 最重要機密!!


「――ムグッ」


 慌ててロクトスがナナトスの口を押えた。


「……それはアルトラ様の許可無く言わない方が良いかもしれない……」

「何だ?」

「……いえ、何でもありません……」


 ロクトス、ファインプレー!

 危なかった~~……


「ではそのアルトラもトロル族なのか?」

「え? トロルではないッスよ。ある時フラッと俺っちたちの村に現れたらしくて (※)、瞬く間に生活改善していったッス。伝承に出てくる天使みたいに金髪で白い羽があるッスけど、ツノ生えてるし、常に闇を(まと)ってるし、本人は『人間』って言ってるんで、どれがホントか分からないッス」

 (※フラッと現れた:アルトラが村に来た時にはナナトスやロクトスは村にはいなかった。詳しくは第32話参照)


 ああ……そんな個人情報をペラペラしゃべらないで~……


「闇を(まと)ったツノがある天使? でも人間を自称する? 変わった生態ですね……雷の国(エレアースモ)のヘルヘヴン族は天使に似ているという話ですが、ヘルヘヴン族でしょうか?」

「しかしヘルヘヴン族にツノがあるという話は聞いたことがないが……」

「だとしたら何かとの混血? しかし本人は『人間』を自称する……言葉だけ聞いても実際に見てみないと分かりませんね……ではその『自称:人間』が国主をやっているということですか?」

「まあ、そッスね」

「この魔界で人間が上に立っているというのも珍しい話ですね。彼らはかなり非力と聞いたことがありますし、亡者でない人間は希少だというのに」

「あ、アルトラ様は(もう)……ムグッ」

「……ややこしくなりそうだから、それもバラさない方が良い……」


 再びのファインプレー! ありがとうロクトス!


「言えないことが多そうですね。まあこの場は良いでしょう。町に連れ帰ってからじっくり聞くとします」

「では、お前たちはどんな重役に付いているんだ?」


 ロクトスとナナトスも要人ではないかと思ったのか、二人に役職を聞く。


「ロク(にー)、俺っちたちに役職なんかあったッスかね?」

「……無いよ、うちの兄弟で役職があるのはイチあにぃだけだ……」

「役職が無い? では護衛か? 護衛の役職は何だ? 若く見えるがその若さで国主の側近か護衛長か騎士長か何かなのか?」

「そもそも俺っちたちは護衛じゃないッスし……アルトラ様は護衛なんかいらないくらい強いッス……」

「……むしろ俺たちが守られてるくらいで……」

「お前たちの国主は魔王でもないのに護衛より強いのか!? そしてお前たちは国主の護衛でもない!? じゃあ何なんだお前たちは!?」

「さ、さあ? た、ただの同行者ッスかね? よいしょ要員とか?」


 ナナトスによいしょされたことなんて記憶に無いが……


「ますます訳が分からなくなった……」


 要人が連れて歩いてる同行者なのに護衛でもないことを聞いて、エルフのリーダーらしき男性、頭を抱えちゃったよ……


「………………まあ良い、嘘でないなら第二首都(ユグドフロント)に連絡すればその国主様とやらが引き取りに来てくれるだろ。連れて行け。ああ、コイツらが真実を言ってる可能性もある、いずれの場合も想定してくれぐれも丁重に扱え。尋問を行う場合も丁重にな」

「はい。さあ、こっちに来てもらおうか」

「アルトラ様~~……」


 え~~~っ!? ホントに連れて行かれちゃったよ……

 唯一彼らに知られているトリニアさんが認識阻害の魔法で見えないもんだから、不審者として捕まえられちゃったみたいだ。

 かと言って、彼女だってまだ裸だから出ていけないし……


 透明のトリニアさんに向かって話しかける。


「トリニアさん、近くに居ますよね?」


 まだ透明だから近くに居るかどうかすら分からなかったが、見回すと湖面に空洞があるから、多分まだそこに居る。


「はい、まだ湖の中です」

「とりあえず彼らが全員去るまで水草の影に身を潜めておきましょうか。出て行くにしても服着ないと仕方ありませんし。丁重に扱ってくれるようなことを言ってましたし、危害は加えられるような様子ではありませんでしたから、その後に迎えに行くということで」

「はい、服を草の影に隠したのは正解でしたね」

 悪魔のようなツノと羽があって、常に闇を纏って、天使の輪と羽があって、しかし自称してるのは『人間』……

 アルトラって何なんでしょうね?


 次回は3月23日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第331話【三人が連れて行かれたエルフヴィレッジへ】

 次回は木曜日投稿予定です。

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