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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
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第319話 樹の国産の風変りな植物 その2(結晶糖と虹色のイモと鬼栗)

「他には?」

「こんな綺麗なのがあったッスよ」


 取り出したのは、トゲがウニのように沢山重なった水晶のように綺麗な物質。


「鉱石?」

「……いや、これ食べ物みたいだよ……指を擦り付けて舐めてみたら甘かった……」

「これが!?」

「これは『クリスタルシュガー』ですね。透明の樹液を出す木が生成する砂糖の一種です。とても濃厚で甘いですよ。通常は砕いて粉にしてから使いますね」


 そこは普通の砂糖と同じような用途か。


「へぇ~、これが砂糖……」


 砂糖の結晶は見たことあるけど、こんなトゲトゲしていない。でもこの『クリスタルシュガー』はコンペイ糖より更にトゲトゲしている。これがこの種類の特徴ってわけか。


「他には?」

「これとか」


 次に取り出したのは、見た目がちょっと長めのジャガイモという感じ。


「普通のイモに見えるけど? ちょっと長めのジャガイモみたい」

「切ってみたら凄かったッス!」


 縦に真っ二つに切り分けたところ、イモが七色に分かれている。


「何コレ!? 凄い!」

「全部の色食べてみたッスけど、全部味が違うッス」

「それは『虹イモ』という種類のイモですね。色ごとにそれぞれ味が違っていて、赤色の部分が甘いが強い辛味、橙色が甘い、黄色が甘酸っぱく、緑色が甘くて青臭い。青色が甘いがほんのりしょっぱく、藍色が甘じょっぱい。紫が甘苦くなっています」

「へぇ~、面白いね」


 色ごとに食べ比べてみる。

 橙色部分はサツマイモに似てて確かに美味しい。緑色のところはメロンから水分を奪ったような感じの味、青臭いが甘くて美味しい。


「赤いところは注意した方が良いッスよ。甘さもあるけど結構キツメの辛味ッス。俺っちとしては橙色のところくらいが良い味ッスね」


 赤部分、確かにかなり辛い。が、この身体の『ダメージを抑制する効果』が働いてるのか、私にはスパイシーで美味しい程度に感じる。

 その他の色も概ねトリニアさんが言った通りの味。黄色のところはイモにレモンケーキの酸味を足したような人を選びそうな味だった。

 全体的に見れば、アノ味もコノ味もと楽しめるという感じで、沢山の味を楽しみたい人には良いんじゃないかな。


「美味しいね! 他には何かあった?」

「コレとかどうッスかね? 一応木にはなってたんスけど、とても食べ物とは思えないんスよね」


 取り出したのは金属質のイガに似たもの。

 あ~、これ以前カイベルが言ってたやつじゃないかしら?


「トリニアさん、これってもしかして鬼栗?」

「よくご存じで! まさにそれです」

「アルトラ様、食べたことあるんスか?」

「一度だけね。栗の部分は美味しかったよ。でも調理が物凄く大変らしくて、こじ開けるのに一苦労するとか。カイベルが居ればやってもらうところなんだけど……」 (第209話参照)

「そうですね。このイガは硬すぎて、収穫したら金属扱いで輸出されます。金属としてはかなり上質らしいんですよ」

「でもそんなに外殻が硬いんじゃ、繁殖出来ないんじゃないんですか? 肝心の種が出て来ないんじゃ土に埋まらないじゃないですか」

「そこは名前通り、種 (栗)も鬼みたいに強いんですよ。地面に落ちて少し経つと種が自力でイガを歪めて出てきます」


 どんだけ強い種なの!?


「それなら売る方も(かった)いイガのまま売らないで、栗が出てきたらそれを収穫すれば良いんじゃないんですか?」

「その段階になってしまったら、最早食べられるほど柔らかくはありません。何せ金属質のイガを自力でこじ開けるくらいですから」


 そりゃそうか。種 (栗)の方が硬いからイガが歪むんだし……


「鬼栗の木は寿命がかなり短いので繁殖力もそれなりにあります。でもこの鬼栗、落下すると落ちたところの木や根っこにダメージを与えるので、専門の農家でしか栽培されてないはずなんですが……こんなところに自生してたんですね、伐採するので見つけた場所を教えてもらえますか? そのままにしておくとどんどん増えてしまいますから」


 ロクトスに場所を聞いている。

 後々ユグドフロントに連絡して、伐採する作業員を寄越すらしい。


「他に変わったものあった?」

「他は物凄く変わってるってのはないッスね。アルトレリアでも見たことあるものが多かったッス。イチゴ、リンゴ、メロン、梨、柑橘系のもの、大根、ニンジン、ジャガイモ、その他の果物・野菜もろもろ。この森は食べ物の宝庫ッスよ! あと、肉はでっかい牙がある豚と小さい鳥がいたんで、それを獲って来たッス」


 でっかい牙がある豚は、多分イノシシね。

 鳥はちょうど鶏くらいの大きさの鳥。


「鳥の近くに卵とか無かった?」

「卵ッスか? あったッスよ。でもあれ不味いじゃないッスか。臭いし……」


 この卵が臭いって言うのは、最近になってアルトレリアに飛来してきた鳥に原因がある。

 アルトレリアで『バルバルイス』と名付けられた鳥、この卵のにおいがキツくて食べる者を選ぶ。 (第299話参照)

 そういうわけでナナトスも卵を持ってくるのを避けたらしい。


「卵も全部が全部臭いってわけじゃないし、美味しい卵かもしれないよ? アクアリヴィアから輸入してる卵は美味しいでしょ?」

「そういえばそうッスね……最近アルトレリアで出回ってる量が少ないから忘れてたッス……」

「もしかしたら食用になるかもしれないし、悪いけど取って来てもらえる?」

「え~~!」

「その間に夕食作っておくから」

「わかったッス……」


 無理言って取りに行ってもらった。もし美味しい卵なら明日の朝食が楽になる。

 う~ん……今日は適当に焼肉かな。いや、長ネギと白菜っぽいものも採って来てくれたからシシ鍋にしようか。豆腐があれば最高だったんだけど、生憎持ち合わせていない。

 鳥も鍋に入れる。シシ鍋じゃなくてトリシシ鍋だ。

 昨日トリニアさんが採って来てくれたキノコがまだあるからそれを入れよう。


 虹イモも使う。大根と人参と併せて煮物にした。色んな味が入った大分風変りな煮物だけど。

 それとフルーツ使った盛り合わせ。あのグリーンフェイスも切って並べるか。顔の形してなければただの果物だし。

 と、ここで悪戯心が疼いて、顔がある面を上にして並べようかと思ったが、わざわざ食卓をマズくするのもどうかと思って思い留まった。

 鬼栗は……私には扱えないってことで放置。


   ◇


 夕食を食べ、就寝時間。

 皆それぞれ、さっき決めた階層へ移動する。


「じゃあ、おやすみなさいッス」

「……おやすみ……」

「おやすみなさい」


 男三人は二階へ上って行った。

 全員が上に行ったのを確認すると、トリニアさんが話しかけてきた。


「アルトラ様、さきほど大声を出したのは、マンドレイクに惚れ薬の作用があることを知られないためですか?」

「まあ……知られない方が良いかなと。こういったのを使うのは反則かなと思いますし、使われる相手の気持ちってのもあるので……」

「惚れ薬の効果はありますが、一時的なので大丈夫ですよ」

「持続的な効果があるわけではないんですか?」

「ありません。量や体質にも依りますが、せいぜい二日から長くても一週間ってところですね。それと薬作る工程が結構面倒ですので、ちゃんと作り方を知ってないとほとんど効果がありません。せいぜい身体が火照(ほて)るくらいの効果です」


 そこまで心配するほどのことでも無かったか?

 まあ、もう逃がしてしまったことだし、別に考える必要も無いか。

 私としては虹イモについて、そういえば日本にもこれに似たような食べ物あったな~と考え、子供の頃に食べたのでそれが何であったか思い出していたところ、思い至ったものがあります。それは――


 『三色ガム』


 検索しても当時食べていたものが出て来なかったため、正式名称は分かりませんが、「甘い」、「すっぱい」、「超すっぱい」という三つの味があったと思います。流石に七つも味があるわけではないですが、あれに似てるなと考えて書き綴っていました。

 今はガム自体食べなくなりましたね~……(遠い目)


 次回は自己都合で明日の投稿になる予定です。

 2月22日という日が好きなのです(^_^;)


 2月22日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第320話【vsマンイーター その1】

 次回は明日投稿予定です。

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